A.D.4021.シルバの正体
クロム、レニウムの戦いは激しいものになっていく。だが、その中でクロムが語ったシルバの言葉には、レニウムも驚きばかりだった。
「それでシルバの最後の言葉は?」
レニウムの問いに半信半疑のクロムが答えた。
「シルバはこう言った。運命というのは皮肉なものだ。この時代に哲士が生き返った事により、コドクシステムは混沌を極めた。哲士も七海の想いを受けて彼女を再生しようと考えたのだ。同時に蘇生時に失った体の組織と年齢により、変わってしまった自身の、代わりを造り出そうとしたのだ……始まりのドール、ファーストは哲士そのもの、体を強化改造して二百年間生き延びている。そしてセカンドはおまえの兄、サードがクロムおまえだ。哲士の生まれ変わりととして認められた、三番目のドールがおまえだ。クロム・サードと呼ばれる所以だ……とな。俺は立ち上がり両手でテーブルを強く叩いてシルバに詰問した「俺が造られた? 三番目だと? 哲士として認められた? じゃあ兄貴はセカンドは失敗作ってことかよ!? それにその話からいくと……おまえは……」
そこまで話すとクロムは大きく首を振り、信じられない言葉を口にする。
「……かつて七海の恋人。シルバつまり私が哲士。最初のナンバーズドールファースト」
無言になったレニウムにクロムが言う。
「俺が哲士の生まれ変わりで、セブンスは七海。そして真の神と戦う運命……真偽の確認は後だ。シルバとの会話の後、またあの不思議な予言でここに飛ばされた、まずは勝ち残れという事だろう」
二千機もの敵機、最初はバラバラに動く相手に囲まれないように動きながら、戦いをコントロールしていた。クロムのラバーズが主となり、レニウムの新型のラバーズがリンクして、連携で攻撃を繰り返す、だが四十機ほど倒した時に、相手の動きが変わった。一斉に引いて、二人を囲むような陣形を取り始めた。
「鶴翼の陣かよ。また古典的な陣形を」
クロムの呟きにレニウムが頷く。
「確かに。だが、自軍が多勢の場合は確実な戦法だ。向こうの隊長機に全機がシンクロできたようだな」
始めにシュティレがつっこみ、乱戦に持ち込んだ。相手の懐に飛び込んだのは一見無謀に見えたが、相打ちが心配な為に、近接戦闘オンリーにもっていけた。
この状態であれば、自分の後ろをレニウム、クロムがお互いにカバーすれば目の前の敵、二、三機を相手にすればよく、なんとか戦えていたが、二千もの敵がリンクして順序立てて戦われると、分が悪すぎる。
「どうするクロム。大佐を見習って突っ込むか?」
ディスプレイを見て首を振ったクロム。
「距離が離れすぎた。このままつっこめば、たどり着く前に集中攻撃を受ける、さすがにあの数からは撃たれたくないな」
攻撃を中止して潮が引くように、敵が引いていく。敵の攻撃に備え、二人も後ろに下がり距離をとる。
二つの軍の間に空いたスペース。
その時、上空から真っ赤に燃える物体が飛来した。
「なんだ? 敵の攻撃か……それか隕石?」
レニウムの言葉に疑問を返すクロム。
「まだ陣形が整っていない、敵の攻撃はねえな。隕石がこのタイミングで落ちるか普通?」
落下物は二つに分かれ、空いたスペースに向かう、地上に激突直前、自ら炎を吹き出し、急ブレーキをかけて地上スレスレで停止した。周りを偽装していた石片が剥がれ落ち、金属のカーゴが現れた。扉が開き、それぞれ二機のマシンが地上に降り立つ。先に姿を見せた一機はパープル色のヘルダイバ。その姿は初期のセブンスドールによく似た、細身の女性タイプ。
「うーーんと、ジャーナルには毎度の事ながら載ってないよ。やくたたん。たぶん新型かなあ」
口の悪いクロムのラバーズが報告するが、主人はディスプレイにくぎ付けだった。パープルの機体から通信が入り、相手のパイロットの顔が写ったからだ。
「お、おまえは……まじか」




