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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.ナンバーズドールの秘密

「神を創り出す……科学、哲学、宗教……全ての学問に携わる者には、禁事であり、そして欲望でもあるんだよ」

 思い起こすように、目を閉じ腕をクロスさせたシルバ。

「二つのプログラムはその時代で、最高のプロセッサーを持つAIに引き継がれ、計算が続けられた。神の出現を望む者によってな。私も含めて二つのプログラムから発せられるシグナルを、解読できる知識と、背徳の欲望を持つ者たちによって、続けられてきたのだ」

 大きく首を振って理解不能だとクロム。

「馬鹿な。小娘達のオママゴトを、進んだ未来の大人達が真剣に考えた? ずっと引き継がれた? アホか!」

 個人の願いが二千年もの間、造られ続けた二つのプログラム。

 それは人間のサガ、未知のものへの好奇心によるものだった。


「オママゴトか。今の魔法のごとき科学からは、そう見えるかもしれないが、概要ロジックは画期的で完成度が高かった。二千年前の七海、沙耶の特異性を示すものだろう……そして人間は二千年経っても、まったく成長などしてない……」

「結果はどうなったんだ。やっぱり俺たちはコドクに操られているのか?」

 苛つき、シルバの語尾を削り、クロムが結論を求めた。

「……結果どうなったか。コドクプログラムは既に完了している。ワクチンはコドクの神の亜種を産みだし、今も作動している……そして」

 シルバの結論を聞くのが何故か嫌な気になるクロムが不安をまじえて発言する。

「亜種だと!? コドクは完了したんだろう? お前の言うことが正しいならな。神が出現して……亜種の神も現れるって事になるぞ!」

 矛盾と嫌な予感から荒れて、憤るクロムにシルバが冷静に現状を述べた。

「既に存在する神は神になることを拒否している。亜種のセブンスは神に等しい力を得ようとしている」

 両手を上げて、信じられないとアピールするクロム。

「セブンスが亜種? 雑種なのかよ? いったい何のために造られたんだ!?」

「それは……」クロムが本能的に聞きたくなかった事を話し始めたシルバ。


「もう気づいているだろう。ナンバーズドールは七海の遺伝子から造られている。そしてセブンスには七海の左目を与えた。つまり七海の生まれ変わりだ。もともと神ではないのだ」

 ふん、クロムが不満を態度で表わした。

「生まれかわりだと? おまえが造ったんだろ!? シルバ」

 目を閉じて昔を思い出す様子のシルバ。

「七海はマイ神を造ろうとしたが、後を継いだ科学者達は反対だった。パーソナルな神など、本物の神とは呼べない。ましてや個人の遺伝子と体の一部を与えるなど絶対に間違っていると。神から造られるのが人間なのだと」

 黙り込むクロム、シルバが続ける。

「セブンスは沙耶がなんらかの考えで造った亜種。その意図は私にも分らないが、本当の神は七海の願いは叶えないと、思っていたようだ」


 頭をかかえて椅子に座ったクロム。


「その本物の神は七海が設計したんだろう? なぜ望みをかなえない」

 シルバはまた思い出すように目を閉じた。

「最初はそうだった、七海の願いを叶える神。だが後の科学者や哲学者が思い浮かべるものは”絶対神”だった。私でも神の定義を聞かれたらそう肯定するだろう」

 髪をクシャクシャにかき回しながら、クロムが疑問を口にする。

「どう違うんだよ!? 七海の思う神とあんたらの絶対神とやらは?」

 目を閉じたままで答えるシルバ。

「絶対神は、人には触れることも見ることもできない、話すこともできない、存在があるだけの者。人の希望を直接聞き入れるなどあり得ない。二千年前、七海は恋人を無くし正気を失っており、自分の遺伝子と左目を与えた神を自分の望みどおりに動かそうとした、だが最初の段階で沙耶はその矛盾に気が付き、ワクチンにより亜種を作り上げたのだ」

「亜種? セブンスの事か!?」

 クロムが驚きの表情を見せる中、シルバの話は続いた。


「セブンスは神と等しい力を使える。七海が望んだ哲士の救出は、亜種のセブンスによって実行されるはずだった……だが、歴史は滑稽な事をしてくれた。今から二百年前に助けられたのだ……哲士が。偶然考古学チームが地球を発掘中に、氷漬けの哲士を発見して蘇生を行い、この時代にに生き返ったのだ」

 哲士が生きている、その言葉に今までの事、激しい戦いや鈴々の死を思い出すクロム。


「なんだと!? じゃあ、全て無駄なのかよ!? 七海の願いは哲士を助ける事だったんだろう?」

 聞きなおすクロムについに大いなる真実を告げるシルバ。


「運命というのは皮肉なものだ。この時代に哲士が生き返った事により、コドクシステムは、混沌を極めた。そして……」

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