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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.シルバとクロム

首都星攻略の数ヶ月前。

 砂漠の星でフィフスに迫ったクロム。

 その時、目の前に不思議な言葉が現れた。

”クロムは砂漠の星でフィフスと戦い命を落とす”

「なんだ、このおかしな予言みたいな言葉は!?」

 クロムの言葉に、首をかしげる戦闘OSラバーズ。

「クロム、どうしたのよ。何にも写ってないわよ」

 ラバーズの言葉に首を振り、目の前の空間を指さすクロム。

「おれには見える……お、言葉が上書きされいくぞ」

”クロムは砂漠の星でメモリカードを受け取り、そこから転移してファーストと出会う”

「ばかな、なにを言っている……メモリカード? おお! なんだこの振動と光は?」

 クロムの騎乗する黒いヘルダイバが不思議な光に包まれ振動しはじめた。

 光は強くなり、ヘルダイバと操縦席のクロムを包み込んだ。

「身体が動かない。もうフィフスは目前なんだぞ! うん? なんだこの映像は……ラバーズ?」

 突然、光に包まれたクロムに驚きながらも冷静に答えるラバーズ。

「今、謎のメモリカードが出現して、勝手にディスプレイに画像を表示している。私にもまったく理解できない現象だよ」

 流される画像を見ていたクロムの表情が変わった。

「そんな事があるわけない。だが……おう、身体が消えていく」

 黒きヘルダイバとクロムは、フィフスの戦い直前に、その姿を戦場から忽然と消した。


「来たかクロム・サード」

 初老の男が振り返った。

 興奮を隠さない、強靱な体格、自由連邦の勇、クロムが部屋に入ってきた。

「どういうつもりだシルバ。砂漠の星でフィフスとの対決中に、見せられた動画、それにはおまえが写っていた。全てを知るために、ここに来いと述べていた。俺をここへ転送させたのもおまえの仕業か!?」

 シルバは趣味の良い北欧調の椅子に座り、立っているクロムに促す。

「クロム・サード、座ったらどうだ。長い話だ」

 謎を抱えたままの不満げなクロムは、乱暴に椅子を引き出し、背もたれを前にして逆に座った。

「ふふ、憤っているようだな。よく、ここに来る気になったものだ」

 不満を一杯に抱えたままのクロムが、たまらず大きな声で答える。

「普通なら来ねえよ! 自分の部隊がやられているんだ……強制的に飛ばされたんだよ俺は!」

 その時の苦渋が、少し時間を経た今でも大いに理解できるクロムの表情だった。

 

 激情するクロムとは対照的に、冷静にそして寂しさを感じ取れるシルバの表情。

 シルバが語り始めた。


「二千年前、恋人を事故で亡くした科学者で神秘学も信じる女が、自分の願いを叶える為に、マイ神様を造る「コドクプログラム」を作り出した。現在のドール達の戦いは、その結果によるものだ。つまり私もコドクプログラムに引かれて動いているとも言える」

 クロムは、思い出したように男女の名前を口に出した。

「たしか……七海。死んだ男は哲士……だったか。時々、ナンバーズドールの会話に出てきていたな」

 二千年前の二人の名前を口にしたクロムが、首を捻る。

「……なぜか、もっと前に聞いた気がする……セブンスに会った時も懐かしい感覚があった。それは鈴々やフィフスにも感じられた……なぜだろう夕日のオレンジ色が浮かぶ」

 シルバに会い、七海と哲士の名前を口にして、なにか思い出しそうになるクロム。

「くそーー! 何かが頭の奥に引っかかっているのに、思い出せねえ」

 頭を抱えるクロムの疑問に答えるシルバ。

「それはお前の生まれに関係する。やっぱり遺伝子には記憶を保持する機能があるのか。いや、沙耶が記憶を遺伝子に組み込んだのかもな」

「沙耶だと? 誰なんだそいつは!? 俺の遺伝子になにを残したんだよ!」

「長い話だ」ため息を大きく、息を吐き出し、沙耶にまつわる事を話し始めたシルバ。


「沙耶は二千年前に七海と親友だった少女。幼いが当時の科学者の中でも技術は突出していた。神を造るコドクプログラムを完成させた彼女は、信じてなかった神秘学をも拾得し、もう一つのプログラム「コドクワクチン」を造りだした。これはコドクの力を弱める力があり、また、神の亜種をも発生させた」

 クロムが右手をシルバの顔の前に突き出して、話を遮った。

「待って! 俺たちは七海が造ったコドクにやられて、こんな風になっているのではないのか? シルバおまえはセブンスを神にしようと考えたのだろう? それもコドクの影響で。なぜ抑制するワクチンプログラムが存在するんだ? それはどんな影響を俺たちに与えているんだ? だいたい、二千年も前のプログラムに世界が踊らされる!? そんなの信じられるわけないだろう!」


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