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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.黒きトップガン再び

 落とされたのは八機。生き残った敵機は互いにラバーズをリンクして再び戦闘に臨む。

 敵は一瞬で作戦を変更してきた。

 残った四機は狙いを上方からの攻撃を阻害するシュティレへと変えた。

 その他の全機はレニウムから再度ミサイルの攻撃を受けないように、散らばり始める。

 状況を見てレニウムはシュテレィ大佐へ指示を送る。

「奇襲はもう通用しないか……サポートする大佐。集中砲火のポイントから外れろ」


 合計で四十八発。残り二十四発の大量の弾頭を保持する、レニウムの新型ヘルダイバ。

 強力だが攻撃範囲は狭い。無駄撃ちは出来ないから相手が集まったところを狙う必要がある。

 レニウムは手にしたブラスタ砲を、上方の部隊へと、連続で打ち込み、シュティレの援護行動に出た。

 両手をクロスさせて身を守る、シュティレのヘルダイバ。レニウムのサポートとして、敵の攻撃を一身に受けており、重装備とはいえかなりのダメージを受けていた。

「緊急冷却をします。受けたダメージエネルギーの熱を放射開始。90秒性能ダウン。高度降下中」

 さっきまでの舌足らずな話し方なく、冷静な口調に変るシュテレイのラヴァーズ。

 三基の核融合炉のエネルギーを、回復に使うシュテレイ機は推進力を失い、高度を下げていく、地上付近から点滅、光が放たれた。

「今度は下からか。盾とランスを装備!」

 シュティレの指示で素早くラバーズが、ヘルダイバを動かす。

 地上で光ったものは、束となり、構えたばかりの盾に閃光残を残す。

「くそ、もう援軍が来たのか。情報を!」

 シュティレの言葉に、ラバーズが戦況の再確認を行う。

「第一陣、八機撃墜。残り四機は上昇して上方の中隊と合流。下降からは四十八機、四個中隊が接近中。予定にない数と早さです。その殆どが大佐を狙ってきています」

 クク、笑みを浮かべたシュティレ。

「どうやら私から落としたいらしい。裏切り者の私ならば当然か。だが、そう簡単にいくと思うな!」

 急降下していくシュティレ。一瞬で相手の大部隊の中へと飛び込む。あまりの思い切りに、反応が遅れた敵機へと狙いをつけた。巨大なランスを前面に押し出して身体ごと敵のヘルダイバにぶつけると、大きな衝撃、弾き飛ばされる敵機、背中の飛行用ブラスタを横に向け、直角に軌道を変えて、こんどは隣の敵の機体を狙うシュティレ。気づいた帝国銀の白いヘルダイバも応戦する、ブラスタ砲から打ち出される光弾。まだダメージ回復中のフルアーマには攻撃を受ける力はない。正確に盾で受け止め続けるシュティレ。少しでも外せば本体へのダメージは大きい。

 敵機のサイドに移動した瞬間、右手に持ったランスをクルリと回してから一直線に突くと、ヘルダイバの頭部に突き刺さるシュテレイの純白のランス。火を噴き落下する敵の二機のヘルダイバ。


「まずは二匹。すぐに次が来る! まだか。装甲の回復は……」

 シュティレの呟き。ラバーズからの回復完了の言葉はない。

 帝国軍はアーマの機能が落ちている今、シュティレが単独で突入するとは考えてなかった、地上からの援軍の部隊は作戦を変更。六基ずつに編隊を組みなおし上下左右に展開した。

 シュティレの機体を狙う、たくさんの照準。重装備が災いして回避するのは困難。

 数多くのミサイル、ブラスタ砲がシュテレイを捉える。

「被弾、肩に二発。背中に三発。アーマの回復が遅れます」

 危機に落ちたシュティレを助けようとするレニウム。

「危険だ。待ってろ大佐!」

 レニウムの行動を牽制する為に、上方から急接近する敵軍。

「邪魔すんなよ」

 背中から引き抜いたスパイラルソードを構えるレニウム。

 二人を合流させない為の作戦を選択した帝国軍。


 最初の六機がレニウムに近距離戦をしかけた、三機同時のスパイラルソード実剣による攻撃が開始され、一太刀めを身を下げかわして、右手の剣を横に振るレニウム。

 相手のヘルダイバは防御せずに攻撃をそのまま受けとめた。

「なに!? ち、しまった!」

 スパイラルソードが食い込み動きが止まったレニウム、敵のヘルダイバが二機がかりでレニウムの剣を抑え込む。後方の三機がスパイラルソードを抜き、全速で接近、無防備のレニウムの背中を狙った。

 背中を切り裂く三本のスパイラルソードに火を噴くレニウムの新型ヘルダイバ。


 素早くダメージを測るレニウムのラバーズ。

「ダメージ甚大。前の三機に拘束され動きが取れません。次来ます」

 ループを描きながら姿勢をこちらに向けて後方の三機が再び攻撃態勢に入った。

「くそ、だめか……クロム」

 最後の瞬間、思わず戦友の名を口にしたレニウム。

 その時、急速に接近する黒い機体があった。

 接近した黒いヘルダイバのショルダーがオープンして、レニウムの後方の三機に強烈な光を浴びた、敵の機体は強く輝き炎につつまれる。


「敵三機を光子レンズ砲による攻撃で破壊したよ。これからどうすんの?」

 口の悪いラバーズそれは操縦者の振る舞いのせい。

「とうぜん、全部叩き落す」

 不敵な笑みを浮かべた、身長は190CM、体重は100KGオーバー。

 ヘビー級の格闘選手のような獰猛な身体の上には太い首。その目は力に溢れている。F101式ヘルダイバ。反乱軍の最新兵器でありトップガンのクロムの乗る、黒き機体だった。


 黒きクロムのヘルダイバの、飛行用ブラスタが強烈なイオンを吐き出す。

 勢いをつけて、レニウムの右手を押さえ込んでいた、二機を体当たりではじき飛ばず。

「レニウム!」

「クロム!」

 レニウムとクロムの機体が空中でクロスする。

 自由になったレニウムの右手のソードでクロムは背中から引き抜いたアックスで、二機の帝国軍を各々、切り裂く。


 落ちていく敵機を見ながらレニウムが大きな声を出す。


「クロム、おまえは今までなにを!」

 レニウムの言葉を遮り、クロムがシュティレへと降下を始めた。

「レニウム、説明は後だ。まずはこいつらを蹴散らす」

 右手に備えたリニアレールガン、クロムの機体のみが持つ兵器。数ミリの金属片を電磁伝導で、光の速度打ち出す。


 シュティレが視界に入った瞬間、クロムのレールガンが放つ光の筋が敵機に続けて命中する。シュティレを攻撃していた、三機の帝国軍が吹き飛び後方に飛ばされる。状況が把握できない前衛に出ていた残りの機体が後方に下がる。

「よし、ここだ! いけーー!」

 チャンスを狙って、レニウムの新型ヘルダイバの特殊兵器が起動。ショルダー装甲がオープンして、残り全ての弾頭を放出した。

 後退中で背中を向けた帝国軍は次々に、背中の飛行用ブラスタを破壊され地上に落ちていく。


「敵、残り二十機。後退を始めました。本機の修復も89%終了しています」」

 シュティレがラバーズの報告を受けて頷く。

「助かった。レニウム。それに君がクロムか」

 ディスプレイに写った、頑強な身体で獰猛な目つき、クロムが答える。

「ああ、待たせたな。シュティレ大佐。よくこんな勝算のない戦いに参加してくれたもんだ」

 クロムのあきれ顔の挨拶に答えるシュティレ。

「一部の人間による世界の支配。まだそれは我慢できた。だが人が人の生死を選ぶ権利はない。たとえ負けても、そんな体制の中にはいたくないからな」

 フッ、笑ったクロムとレニウム。

「物好きだな大佐。レニウム、テルルはどうなっている?」

 クロムの問いに、レニウムが計器を確認して答えた。

「順調に進んでいる。もうすぐ通信塔に届く」

 不安げな表情のクロムが口を開いた。

「二人とも聞いてくれ。この奇襲計画は仕組まれている。全てはシルバの手の上で行われいる」


「!」驚くレニウム、シュティレ。


「バカな。なんの意味がある? 我々をここまで引き寄せて、なにをさせようとしているんだ?」

 ハッと気が付いたレニウムが叫ぶ。

「それが本当ならテルルが危ない! こちらの意図が分かっているなら、先に向こうを堕としにかかる]

 白い重装備の機体がくるりと向きを変え、背中のブラスタをオンにする。

「どこに行くんだ大佐?」

 レニウムの問いにシュティレが短く答えてから発進する。

「私はテルルを守る。こっちは任せた。無敵のクロム氏が参加したならここは大丈夫」

 背中のラッパ型のイオン放出口から、エネルギーを全開で光らせて加速を始めたシュテレイの機体。


「クロム。うちらはいいのか? いっそ全員でてるるを助けに行った方が」

 レニウムの言葉に、考えをめぐらしているクロム。

「陽動は必要だ。全員が一カ所に集まる方が危険だと思う。それにシルバは計画を帝国軍に完全にはを知らせていない、そんな気がした」

「クロムの野生の感は当たるからな」レニウムの言葉に複雑な顔をしたクロムがつぶやく。

「感じゃない。シルバがそう言っていた……」

「シルバにあったのか?」クロムの何気ない言葉に驚くレニウム、その時、クロムのラバーズが警戒を発した。

「敵軍の援軍が接近中だよ。数は……2048機。相手はうちらを殺す気満々だ」

 気楽に報告するクロムのラバーズに、レニウムが呆れながらも感心する。

「ラバーズは操縦者に似るが、二千機くらいの敵は恐れないというのは、クロムがいつもどんな戦いで恐れなど感じないからだろ」

 頭をかきながらクロムが苦笑い。

「こいつは特別口が悪いからな。だが、戦いの前に何を恐れる? 運が悪くても自分が死ぬだけの事だ」

 深く頷くレニウム。

「そうだな。そのとおりだ。今はテルルがセブンスに通信を送ってくれるのが、大事な事。俺たちの生死は……」

 クロムが操縦桿を強く握り迫る二千機の敵を睨む。

「そうだ。俺たちは戦士は向かってくる敵を叩き潰すのみ」


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