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セブンスドール  作者: こうえつ
(最終章)まだ宇宙に神はいない
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A.D.4021.銀河の真実

 アイアンサンドがテーブルに差し出した、メモリカードには録画画像が入っていた。

 画像は今は亡き、前国王のエール十四世が銀河に向けて放送した、フィフス司会の創世記念日で、映っていなかった部分、王の言葉が本人によって語られる。

「これはオフだろうな」カメラを気にするエール前国王。

「人類の未来……公平にか……フフ、王族と貴族だけが対象だがな。人類が急速に人口を減らしたのは、資源の枯渇が一番の問題なのだ。永遠の王国を築く為には、300億でも多すぎる。だが、あまり少ない個体では種族を維持できない。ドールの永遠の身体を手に入れれば、それも解決する。一万の高貴な優れた人類だけで、エターナルキングダム(永遠の王国)を創造する……それまでは平民にはドールの生産、魂の移行を高い意欲で奉仕してもらわないと困るからな……クク」


 前国王の本心を見たレニウムは青ざめた。

「ばかな……世界の人間300億を見捨てて、一万人の貴族だけ生きながらえる!? そんな事が許されるわけない」

 レニウムの言葉にテルルが心配しすぎだと口を出す。

「でも、前国王は死んじゃったんだから、その政策は中止になったんじゃん。王女はドール化計画は中止だと言ってたでしょう?」

 アイアンサンドが首を振る。

「ああ、確かに人間をドールにする計画は中止されたよ。だが現状はもっと酷いものになっている」

「どうゆうことだ?」

 レニウムの問いに話を続けるアイアンサンド。

「正式には発表されていないが、月に一千万近い人間が死んでいる。原因は貧困。前国王の時は資源の発掘を優先していて、その為に貧困層にも鉱山など重労働だが、仕事が与えられていた。しかし、現在、アルモニア、調和を掲げる王女は、全ての新規の資源開発を止めた。それだけではなく、科学の研究の禁止。機械製品の工場閉鎖。それは人々の生活必需品にさえ及び、今、帝国は食糧難に陥ってる」

 信じられないと顔を見合わせた、レニウムとテルル。

「おかしいでしょう? そんな事をすれば社会基盤が崩壊して、貴族たちも含めて滅びの道を……え? まさか王女の考えって……」

 アイアンサンドが頷いた。

「そうだ。現在の帝国の独裁者は、人類そのもの、全ての滅びを良しとしている」

 右手で額を押さえたレニウムが、苦しい表情で一言もらす。

「最悪だ」

 二人の少女の奥に立つ、フードの男が口を開く。

「そうだ、人類にとって最悪だ。だから今、王女を倒さないとだめだ。だが帝国の規律は固く、王女の考えを知らない兵士たちを反乱させるのは無理だろう。だが、手はある、アイアンサンド頼む」

 フードの男に視線を向けて頷いた、黒髪の少女がレニウムに次のメモリカードを見せた。

「これが希望。このカードで我々は王女を倒す」

 レニウムが首をふる。

「どんな情報かしらんが、それ一つで帝国を変えられるとは思えない」

 レニウムの言葉に頷く少女。

「我々もそう思う、だが直接、王女を倒せば、この破滅的な計画を止められる」

 今度はレニウムが首を振る。

「出来るわけない。今の首都星の守りは尋常でない」

 またもレニウムの言葉に頷く少女。

「そうだな。戦艦二千隻、ヘルダイバ五千機以上が首都星を守っている。だがな、セブンスドールならどうだ。あの進化したフェニックスであれば、王女に剣が届くかもしれない」

 顎に手を添え、考えるレニウム。

「確かに。俺たちは見たあの強さを。首都星ごと破壊しかねない暴力的な力。だが、セブンスは廃人同然で、フェニックスも消えたままなのだろう?」

 少女が浮かべた微かな笑み、微かに希望を持つと教えていた。

 その手で少女が新たな希望、もう一つのメモリカードを差し出す。

「これをセブンスに見せろ。そうすればフェニックスは蘇る」

 右手で額に手を置き、悩むレニウム。

「そんなに間単にいくのか。だいいち、セブンスは監獄星に捕らわれている。簡単には救出出来ない。それにフェニックスが動かせたとして、首都星への攻撃は多くの犠牲を生む。フィフスを倒した武器が使われたら、百億の民に危険が及ぶ」

 笑みは微笑に変わり、少女は自分の黒髪に触れ、力強く自信を持った口調になった。

「私の髪が好きだったフィフスが言った。セブンスを絶望が包んだ時にこれを見せろと、さすれば銀河の希望となると。あのフィフスの言葉だ。間違いはない」

 少し憂いを見せた少女。口にしたフィフスの名に、思い出が横切ったようだった。

「ふむ……そうか。あのフィフスが全て見通していた。それならば可能性に賭けようというのも、まんざらではないか」

 レニウムは自由連邦を何度も退けた、最強のナンバーズドールの力と賢さを思い出した。

「フィフスの予言かあ。どうせ、他に方法はないしね。デッドオアライブ。いいんじゃない? うちららしい。で、あんたたちも手伝ってくれるわけ?」

 勿論と頷く二人の少女とフードの男。

「そうか。まずはどうやってセブンスに、このカードの内容を見せる?」

 フードの男が前に出た。

「見せる必要はない。送ればいい」

 首を傾げたレニウム。

「どうやって? どうやら暗号化されてセブンス以外は、見ても意味は分からなそうだが、捕らわれた星は帝国の外れ、しかも数万の兵士が守っている」

 フードを脱ぎ男は顔を見せた。

「首都星に、帝国全土に中継可能な放送システムがある。創成記念日でフィフスが使っていたものだ。帝国のディスプレイには、強制割り込み機能が組み込まれていて、放送システムから指定すれば、銀河全部のディスプレイに映し出せる。君が言うとおりセブンス以外には意味は分からないだろう」

 顔を見せた男は浅黒く中年に入った頑強な戦士だった。

「銀河全土へ一斉中継か……作戦は分かった。ただ、あなたの名前は教えて欲しい」

 クロムの言葉に頷いた男。

「私はシュティレ大佐。以前、首都星でフィフスと戦った。国王の親衛隊隊長だった」

 思いもしない帝国軍の幹部に、驚くレニウム。

「すごいのが味方になったな。まあ、フィフスは強さだけじゃなく魅力も凄かった、驚く事ではないのかもな」

 アイアンサンドが亡きフィフスを称えた言葉に、一瞬、目を閉じ、そしてもう一つの希望を述べる。

「これを見てくれ。もしかしてもう一人、大物が参加するかもしれない」

 アイアンサンドのきれいな指が、メモリケースの一枚目、なにも入っていないくぼみを叩く。

「クロム・サード。この消えた一枚のカードはフィフスから彼宛てだったと私は思っている」

  

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