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セブンスドール  作者: こうえつ
決戦
47/74

A.D.4021.フィフスの選択

黒と赤の戦闘マシン、フィフスドールとセブンスドールが対峙する。


 フィフスドールが先に動く、四隅に置かれた大型ガトリングガンで重厚な実弾を多数打ち出すと、グラビティフォースを展開して、真正面から全弾受け止めるセブンス、強い重力を張り、全ての弾丸の速度をゼロにして着弾前に空中で止めてしまう。

 フィフスドールは回転を始め、四本の大型カッターを四方に差し出す。

 高速回転でセブンスへ向かった黒きマシン、その動きを察知して、一瞬、シールドを解除、自機の周りに止まった実弾を解放、フィールドをリセット、フィフスドールの回転カッターを重力で受け止める。


 アタックを止められた後、あらかじめ薄めに突入してすばやくバックするフィフスドール。操縦席からフィフスがセブンスを見た。

「ほう、少しは地上戦にも慣れてきたようだな。馬鹿みたいにシールドを張り続けるのは止めたようだな」

「そう? 驚くのはこれからよ姉さん!」

 空中に留まるフィフスドールにセブンスが、重力シールドで体当たりかける。

「ク、おまえの重力には取り込まれないよ!」

 フィフスの黒きマシンは急速上昇、同時にアンダーカウルが空いて、大型ミサイルを大量に打ち込んだ。

 セブンスドールの周辺で大量の爆発後、大量の反射式チャフが舞う。

「さて、これで重力フィールドは使えない……なに!?」

 驚くフィフス、セブンス重力シールドは展開していなかった、重力の剣でミサイルを切り落としているセブンス、爆発してチャフは拡散するが超重力で空間ごと異世界へ送り込まれる。

「なるほど。徐々に戦いのセンスが発現しつつある。こうじゃないとな」

 セブンスはチャフミサイルたたき落とし、重力の剣をファイブドールへ振り下ろす。

 命中した瞬間、フィフスの黒き機体は横向きから縦へと姿勢を変化。セブンスの剣が表面をすべる。

「ダメージが与えられない!」

 今度はセブンスが声をもらす。


 瞬時に距離をとったフィフスは回転を早め、セブンスは剣での迎撃を行うが、命中した直後姿勢を変えられて、ダメージを与えらえない。

「なぜなの? 当たってるはず。私の攻撃は確実に当たってる。アカエイのように攻撃力を阻害しないようにシールドは障害物を解放しているのに」

 疑問が解けないセブンスにフィフスが口を開く。

「私の周りにも重力シールドが張られている。まあ、ブラックホールエンジンみたいな物騒なものは積んでないから、ささやかな能力。五十センチほどの膜をはっているだけだ。だがそのささやかな層が、おまえの強力な重力の剣に少し反発するのだ。それがゼロコンマ秒の遅れを生む。だから簡単さ、当たったら向きを変えればおまえのパワーは流される。剣は本体には届かない。だが……やるようになった。セブンス、クク」

 フィフスは嬉しそうに四方に出るカッターを最大まで張り出し、空中へ舞い上がり、一気に下降、高回転で紅のマシンへと一直線。

 シールドを全開にしたセブンスドールに、重力に引かれる事を恐れずに突撃をかけたフィフス。

 巨大なカッターが回転しながらセブンスドールの機体触れ、装甲が刻まれる。

 だが、セブンスドールのシールドが産みだす重力に捕らわれ、その回転を止めた。


「ここ! シールド解除、重力剣最大パワー」

 紅のマシンの左手に握られた剣が大きく広がり威力を増大させた。

 セブンスが間髪おかず、剣を縦にフィフスへと振り込んだ。

 絶対絶命、だが不敵な笑み。

「フフ、アンカー発射」

 フィフスドールの下部から大型のアンカーが打ち出され、振り下ろしたセブンスドールの左腕に巻き付いた。

「おしいけね。リズムが一緒なのねぇ」

 フィフスの言葉と同時に、黒きマシンは回転を始め、アンカーが引っ張られ、セブンスドールは地上に叩きつけられた。

「戦いはね、相手の呼吸を読む必要があるのよ。いい動きをするようになったけど、リズムが同じ。シールド解放から剣の攻撃の呼吸がいつもおんなじ。そこに私を”倒せる”と興奮してるのだから、逆を取られるのも当然なわけさ」

 セブンスは悠然と空中に浮かぶフィフスを見上げる。

「やっぱり姉さんは強い。でも、クロムの命がかかっている……あっ!」

「なにを呆けている!」アンカーの鎖を振り回すフィフスに、地上に何度も叩きつけられるセブンス。


 高い高度から脱出艇で二人の戦いを見ていたリンとアイアンサンド。本来はフィフスドールの搭乗者だが、特別な命を受けてフィフスと別行動中だった。

「一方的じゃない。あたしの不安はハズレね。あのフィフスが負けるわけないもん」

 リンの感想に複雑な顔をしたアイアンサンド。

「今のままならな。だがセブンスは感情を得て激変する。フィフスが心配だ」

 二人のフィフスドールの操縦者は、本来なら一緒にいるはずのフィフスに思いを寄せる。

「それはそうだけど。でも、セブンスが変化する兆候なんてないじゃない? このままフィフスが勝つでしょ?」

 アイアンサンドはヘルメットを脱ぎ、自分のストレートに伸びる黒髪に触れた。

「フィフスは私の黒髪が好きだった。自分のはカールがかかっているからと……あの馬鹿は、たぶんやる。どうしてもセブンスを変化させる気だ」

 リンが身体全体で完全否定。

「そんなことない! フィフスは、このまま勝ってまた私達三人は一緒で……セブンスなんか関係ない!」

 目を伏せたアイアンサンド。

「前にフィフスが言っていた。あいつの親父が”調和か革命”どちらかを選べと自分たちに言ったと。あの性格だ、フィフスは女王の唱える、調和、つまりなにもしないで滅亡を待つなんて、絶対に選ばない」

 リンの声が小さくなった。

「……それじゃあ、フィフスはセブンスに」

 アイアンサンドがうなずいた。

「レべリオン(反抗)に一票ってところか。人類の未来と二千年の恋が大切?。フィフスまったく……自由気ままなおまえらしくもない」

 うっすらとアイアンサンドの瞳が潤んだ。


 地上では徹底的に叩きのめされたセブンスドールが地上に横たわる。

「セブンス、右手に続き左手も破損、剣を振るう事はできません。機体の損傷も甚大、ブラックホールエンジンも不安定な状態です」

 絶望的なファルコンの言葉に、思わずセブンスは操縦桿を放し天を仰ぐ。

「もう降伏か。つまらんね。じゃあ、こうすれば死ぬ気で戦えるかな?」

 フィフスドールが悠々と空中で旋回して、ガトリングガンが一点に狙いをつけた。

「だめ! 姉さん!」

 地上で地に伏したセブンスの叫びの中、フィフスのガトリングガンは三キロ先のクロムの身体を粉々にに打ち砕いた。


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