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「放課後の密かな日課」「帰り道のハプニング」山之上 舞花
「放課後の密かな日課」
部活の練習の休憩時間
彼は蛇口から直接
頭に水を被っている
タオルで拭いているけど
もうタオルはびしょ濡れだろう
手に持ったバックをギュッと握った
この中には渡しそびれているタオルがある
この前の彼の誕生日
勇気が出なくて渡せなかった
練習が再開となり
グラウンドに戻る彼
模擬試合でも手を抜かずに
走る姿に私は釘付けになる
決まったシュートに小さく拍手
彼がこちらを見た気がしたけど
気のせいと木の陰へと隠れたの
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「帰り道のハプニング」
着替えをして門を出た
いつもは自転車通学の俺
だけど今日は歩きだった
徒歩通の奴と別れた先に
見覚えがある後ろ姿
少し速足で歩いて行く
足音に振り返って
まん丸に見開いた目に俺が映る
パンクしていた自転車に感謝
さあ、なんと言って声を掛けようか