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「懐かしき風景」秋月 忍
担任視点
見つめあうことはしないけれど、時折、ちらりちらりと目をお互いが追っていることは、教壇からは良く見える。
少年と少女の距離は、未だ縮まらない。
周囲もそれとなく気が付き始めているであろうに、お互いはまだ、思いを秘しているつもりなのであろう。
席替えのくじ引きを、真剣祈り、運命とばかりに息をのむ様子は、ほほえましくもあり、うらやましくもある。
少女と少年に挟まれる形になった、少年が、居心地悪そうに肩をすくめるのを見て、私は同情する。
――わかるよ、君、辛いね。
そう声をかけたくなりながら。
私にも、あんな時代があったな、そんな風に思い、空を見る。
昔と同じ、青い空に、白い雲が浮かんでいた。
詩にならなくて、ごめんなさい