4/16
「素直になれなくて」遥彼方
彼女の親友、彼の幼馴染み
ふう、と息を吐いて
私は親友の肩を叩く
靴箱に隠れ熱い視線を注いでいた親友は
ひゃあ、とかわいい声を上げた
おはようと声をかける私に
はにかんだ笑みでおはようと答える
ああ、かわいいな、こんちくしょう
バレー部主将、タッパはお察しの私は
そんな私の肩ほどの親友の頭を
くしゃくしゃと撫でる
控えめな抗議の声を無視して
私は廊下をみやった
遠ざかる憎い背中に
ふんと鼻息を吹いてやる
この子の隣はまだ私の位置だ
奪うんなら覚悟しとけよ
小さくてかわいい親友
男勝りでがさつな私
幼馴染みの腐れ縁なアイツへ
悪態をついて胸の疼きを誤魔化す
窓の外からはうるさいほどの蝉の声
あんたたちみたいに素直な求愛が
人間も出来ればいいのにね
皆さんが書いていなかった、彼女の親友目線にしてみました。ちょっぴりトライアングルを匂わせて。結末は読者さまのお気の召すままに。