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「熱」秋野 木星/「湯気の向こう」小鳩子鈴
「熱」 秋野 木星
自分の部屋へ帰り 息を整える
ドキドキが止まらない
彼女の顔が 離れない
心臓が爆発しそうだ
どこに持っていけばいい この熱さを
伝えたくなる この思いを
僕は仰向けにベッドに寝転んだ
・・・あいつがっ・・好きだ
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「湯気の向こう」 小鳩子鈴
ちゃぷん
揺れる水面を両手で掬えば
ぽたりぽたりと雫が落ちる
何度試しても
どうして溢れてしまう
手は、閉じているはずなのに
ぱしゃん
諦めて解けば
瞬く間に手の中は空
目が合った気がする
それも、何度も
気付かれてしまったのだろうか
溢れないように閉じているのに
ぴしゃん
のぼせる頬を叩き
ぷくぷく
泡で遊んでも
とめられない
胸に広がる波紋
「熱」八行目:初出時より作者了承の上、語句変更しております。