表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪運の星の一般人《エキストラ》  作者: 島草 千絵
弍章
42/47

42話 持ち主は誰?


3人は首を傾げる。

視線は同じ一点に向けられる。

今日彼らが散々見てきた古代の戦士の遺骨。今、目の前にある亡骸もそれら有象無象と何ら変わらないのだが、その亡骸に握られた錆び付いた棒状のもの、それを見て彼らは首を傾げたのだ。



「あのーポルタ、アル、これって……」



「多分そうだと思う。 この感覚はそうとしか………」



「いやいや、間違いないぜ! そもそも俺はそれ用に作られた経緯もあるからな!!」



二人が唖然としているところアルが興奮したように遺骨からひったくるようにそれを手にした。 見た目は完全に錆び付いてて乱暴に振り回したらすぐに折れてしまいそうな見た目なのに、アルが持った程度では形が崩れることなく、むしろしっかりとした芯があるようにも見える。

アルは手に持つ錆びた棒を()()()()()()()()振り、確信を持ってポルタとアトスに答える。




「これは間違いなく、『聖剣』だぜ! これは大発見だぜ!!!」




































ポルタたち3人は屋敷に戻り、例の『聖剣』をマリーに報告した。 彼女も最初は信じられないという表情だったが、現役勇者二人とマリーがアルに付けた()()()()に反応したということで現在はフィーナたちと解析作業に取り掛かっている。

報告を終えた俺たちはメインルームへと移動した。 今日の仕事はこれで終了したのだが、解析作業にベガまで引っこ抜かれてしまったため夕食がいつもより遅くなるという。 なので時間つぶしでも、と思ったのだ。

メインルームにはすでにアミとポルタの2人とサラがいた。




「しかし、本当なのか? 『聖剣』というものは君たち勇者に与えられたものだろう。 それが遥か昔の時代にあったりするものなのか?」



どうやら彼女たちの間でも例の物の話になっていたようでサラが発見者である俺たちに確かめるように聞いてくる。



「知らねーよ。 なんせ俺らは専門家じゃないからな。 ただあの感じは間違いなく『聖剣』だった」



「確か君たちは聖剣の持ち主が近くにいるとわかるんだったな」



「はい。 勇者の間では『共鳴』と呼ばれているようですよ。 詳しいことは僕も勇者じゃなかった期間が長いのでわかりませんが」





サラの言うように俺たちは互いの存在を知る第六感のようなものがこの世界に送り込まれた時に自動に備わっていた。 勇者たちの間ではこれを『共鳴』と言うたいそうな名前をつけて呼んでいるのだが、別にそれが何かの役に立ったという例はない。 なにせ相手が勇者、つまり聖剣を持っているかどうかわかるだけで相手の強さだったり聖剣の能力だったりはわからない。 一説によれば勇者同士の無用な戦いを防ぐためとは言うがはっきりいってそれに役に立っているかどうかは甚だ疑問である。














そんな使い手がわからない謎の能力だからこそ妄想を膨らませる奴もいる。



「真実はどうあれ、実際にそれが聖剣だったら私たちの先輩ってことになるんだよね? どんな人かな!?」



「なにを楽しそうにしてるのよ。 その強くてかっこいい先輩は邪龍に殺されたんでしょ? だったらこの前出てきた邪龍が復活でもされたら大変なことになるじゃない」



「アミ……、誰もかっこいいとまではいってないですよ?」



「私の予想はこう、ゴツくて歴戦の傭兵っ!て感じの人です!!」



「それはそれでこえーよ。 つーか、そんなやつ勇者にいたらもう魔王なんてイチコロだろ」



「ポルタはわかってないなぁ。 そう言う感じの人は仲間の囮になって『ここは俺が食い止める。 世界救ってこい』ってタバコ咥えてニヤッと笑って大量の軍勢を一人で食い止める役じゃないですか! きっとその聖剣を持っていた先輩もそうして壮絶に散ったんだよ!」



「それはいくらなんでもマンガの読みすぎですよ……、ダル」



くそまじめに考え込むサラをよそ目に俺たちはあーだこーだ妄想を膨らませる。

こんな光景を目にしたらマリーもそして名も顔も知らない勇者だと思われる人もきっと哀れな目を俺たちに向けるに違いない。

そんなくだらない話で盛り上がっている中、いつのまにかこの部屋に来ていたナナがアトスの袖を引っ張る。



「ねぇねぇ」



「なんですか? ナナちゃん」




「そのゆうしゃはかわいー女の子だったってことはないの? せかいをすくうでんせつのまほうしょうじょ!」



しゃがんで目線を合わせて話を聞こうとしたアトスが絶句する。






「おい、誰だ! ナナにこんなこと仕込んだやつ」



「あのクソオタエルフね。 そろそろ制裁が必要かしら」






















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ