突然の来訪者~質問&虚偽~
今日1日で色んな事が起きた宗太であったが夜になっても終わらなかった。
突然の来訪者にビクッとしながらも質問し続ける宗太はどうなるか!
H29/7/2 修正致しました
やる事を決めた宗太だったが、ふと窓から外を見ると空が暗くなってきだした。
宗太が空を見て言った。
「もう夜か――色々とやらなきゃいけないけどまた明日からだな…………あぁ~やっぱり戸締まりはした方がいいよなぁ」
そう言った宗太は部屋から出て宿の方に行き、明かりを消して施錠していく。裏口や窓を閉め、最後に正面玄関を閉めた宗太が建物を眺めている。
「早くこの宿にお客さんを泊めれるように頑張ろう!」
宿を見て決意表明をした宗太は、宿を後にして部屋に戻った。
イスに座りながら言った
「そういえばここお風呂がないんだよなぁ~……宿にも常設じゃなかったし、この世界ではお風呂は一般的ではないのかなぁ」
宗太がそんな事を言っていると急に扉をトントンと叩く音がした。
いきなりのノックにビクッと宗太の身体が震える。するとすぐにまた扉を叩く音がし、今度は声もした。
「すいません。どなたかいらっしゃいますか?」
どうやら女性の声のようだ……返事をするべきだろうか。
宗太がん~と悩んでいると扉の外から声が続く。
「旅の者ですが夜になってしまい身動きがとれません。もしよければ泊めていただけないでしょうか?」
お困りのようだが信用していいものか……でも困ってるし…………とりあえず警戒しつつ開けてみよう。
宗太が鞄から解体用の鉄のナイフを取り出して腰にさし、立ち上がった。
「・・・今開けます。」
そう言っておそるおそる扉を開けると――――そこには大人の女性と小学生位の女の子がいた。2人供フードを被っているが顔は見えているし女性である事は見て分かる。
宗太を見た女性が申し訳なさそうな顔で言った。
「突然すいません。先程も言ったのですが、旅の途中で夜になってしまい身動きがとれなくなってしまいました。
どうか泊めていただけないでしょうか?」
ん~なんか困ってそうだし、とりあえず話を聞いてあげた方がいいかな~……。
「…………とりあえず話を聞くので中にどうぞ。」
とりあえず入り口で立ち話ではよく分からないし、警戒してるのが出てしまう。2人しかいないし恐らく大丈夫だろう。
中に入り念の為扉は施錠して宗太は2人ベットの方に促してた。
「すいません。イスがこれしかないので、ベットで申し訳ないですがかけてください。」
「とんでもないです…………ありがとうございます。」
2人が座ったのを確認した宗太が大人の女性に質問を始めた。
「とりあえず話を伺いたいんですが、とりあえずお互い名前もわからないんじゃ話しにくいので自己紹介をしますね! 俺は宗太と言います。実はこれからここで宿屋を始める予定でして……外で見たと思いますが、隣の建物は宿屋なんですよ!」
先に宗太が自己紹介をすると女性も慌てて自己紹介をしだした。
「あぁ……すいません! 私はリュシアと言います。こっちは娘のミリアです。」
やっぱり親子かっと想って2人を見ると、やはり向こうも警戒しているようで顔や身体が強ばっているのが見てわかる。しかし、宗太は確認の為に質問をした。
「では、リュシアさん何点かお伺いしてもいいですか?」
とりあえず話を聞かなければ何もわからないので尋ねてみた。リュシアが震えた声で小さく返事をした。
「はぃ…………」
ん~ホントにただの旅の途中なのかな? 表情とか格好とか旅人なのか疑問に思ってしまう感じだしなぁ……とりあえず聞いてみるか。
「とりあえず旅の途中と言うことですが、荷物とか武器とかはお持ちではないんですか?」
リュシアとミリアはボロボロの布で全身を覆ってるが、布の下は荷物を持っているようには見えなかった。
宗太の質問に対してリュシアは目をキョロキョロとしだし、口がまわらなくなったのか若干テンパりだした。
「えっえ~とっ…………荷物は途中で落としてしまって……武器は…………そう! 壊れてしまったので棄てました。」
完全に嘘だろう…………ってのが判る位演技が下手出し、考えてないんだろうな。
「2人で旅をされてるみたいですが、森を2人で抜けて来たんですか?それに親子と言うことなんですが……大変失礼ですが旦那さんはどうしてらっしゃるんですか?」
この質問に対して、途中からミリアの手には力が入っていくのが見ていてよくわかった。
旦那というかこの娘にとっては父親の事で何かしらあるんだろうな。
一方リュシアの方はさっきと同じようにテンパりながら答えていた。
「え~とっ……はい。2人で森を抜けました……主人は…………死にました!」
最後の一言かなり力が入っていたな……悲しいって言うのではなく、憎しみに近い感情がある言い方だ。
「これが最後の質問ですが……お二人供……普通の人ではないですよね?」
身体は布で覆いフードを被ってるので顔が少ししか見えない状態だが、身体を見れば2人供女性である事は一目瞭然であり、フードで見えないが明らかに頭に2つの突起した部分がある。
今までで一番キョドりながらリュシアが返事をした。
「えっ! ……わっ私達は…………ふっ普通の人ですよ?」
大慌てで取り繕うリュシアと下を向いてしまったミリア。
ここまで嘘をつくのであればホントに何かしらあるんだろうな。このままここにいてトラブルを起こされても困るし丁重にお引き取りいただくか……。
宗太は申し訳なさそうにただはっきりとリュシアに言っていた。
「リュシアさん! 何点かお伺いしましたが話を聞いた限りあなた方の嘘は簡単にわかってしまいました。こちらとしては何かしらトラブルを起こされてもあれなので申し訳ないですが、お引き取りいただけないでしょうか?」
ここはかわいそうだけどちゃんと言っておかないとなぁ。
しかし、宗太の言葉を聞いたリュシアが諦めまいと食い下がってきた。
「そっそんな……うっ嘘じゃないので泊めて下さい! 何でもしますから! …………せめてこの娘だけでもいいので!」
涙が目にたまって今にも泣きそうな声で悲願するリュシア。
罪悪感にかられるがここは自分を守るためと宗太は話を続けた。
「え~と泣かれ……」
すると、宗太の話を遮って娘のミリアが言葉を放ってきた。
「待ってください! お母さんを許して下さい……嘘をついたことは認めますし、謝ります! お願いだから許して下さい。ごめんなさい!」
そうミリアがはっきりとした声で頭をしっかり下げて謝罪をした。そんなミリアを見て宗太が聞いた。
「ホントの事を話せるかい?」
若干戸惑いがあったのか、少し間があったが俺の目を見てミリアが返事をしてきた。
「はい!」
泣きそうになっていたリュシアもミリアの姿にビックリした顔をしていたが、息を飲んでからこちらを見て謝罪をしてきた。
「ソータさん。大変申し訳ありませんでした。嘘をついたことは認めますので……もう一度だけ話を聞いていただけないでしょうか?」
そう言って頭を下げて来たリュシアの横でミリアもまた一緒に頭を下げている。
それを見て宗太ははぁ~とため息をついた。
「……わかりました。ただし、次に嘘をついたらもう聞きませんからね。」
そう念の押すと2人は真っ直ぐ宗太を見て「構いません」と答えてきた。
その返事を聞いた宗太は長くなりそうだが、次はちゃんとした話を聞けるだろうと気を引き締める宗太であった。
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