花舞うひな祭り!!
短編になってますが、前回の「花咲くひな祭り!」の続きです。すみません。
こんにちは!皆様、春がやってまいりますね!
今日は、皆様にご報告がございますの。
……以前、お話しした私が気になると言っていた鎧の殿方のことは覚えていらっしゃいます?
そう、端午の節句の、あの方です。
私、ついにあの方とお話できたんです!そのときのことを、少しお話しさせてくださいね?
ちょうど今から1週間ほど前のことです。
私達を持ってくださっている奥様が、ついに私達の入っている押し入れをお開けになったの!
そのおかげで、私達の入っている押し入れがぱっと明るくなりましたわ。
外の光が中に射し込み、私は久しぶりにガラス越しの外の風景を見ましたの。
私は押し入れの中を見渡しました。
まぶしいえるいーでぃーのらいとに照らされて、あの端午の節句の殿方が入っていらっしゃる段ぼーるの箱はすぐに私の目にうつりましたの。あの方は段ぼーるのけーすに入っていらっしゃいましたが私にはわかりましたわ!あの男らしい、堂々とした雰囲気の、おーらというかなんというか、、、とにかく、そういうものを感じましたの。
私、勇気を振り絞って声をかけましたの!
今まで、ほとんど殿方とはお話ししたことは無かったのですけど、どうしても、どうしてもあの方が気になったのです。
「すみません、私、桃の節句の雛人形の三人官女の者なのですが……」
このあと、彼と仲良くなるのに時間はかかりませんでしたわ。
なんと、彼も私のことを見ていて下さっていたの!
ああ、運命ってあるんですわね!
その日から、私達は毎日ずっとお話しておりました。
私達、とっても気が合うみたいで、一昨日までずーっと楽しく過ごせましたわ!こんなに幸せなこと、今までありませんでしたわ。
雛人形の他の方に声が大きいとか、にやにやしすぎだとか、ちょっとしかられたりあきれられたりしましたわ……。三人官女の右側の方はなんだかとても悲しそうな顔をされていた気がしますけれど、もしかしたら彼女も殿方とお話したかったんでしょうか?それでも、皆さん私を応援して下さっていますの。
本当に良い方々と一緒だったことがわかりました。
なんて、ありがたいんでしょう!
もう、このまま人形生が終わってしまってもいいくらいですわ!
でも、そんなこと言ってられませんの!そうです、もっと大事なことがありますの!
実は私たち、昨日が桃の節句ですのでちょうど一昨日に押し入れから出されましたの。なので、彼とはつかの間のお別れなのですけれど……。
でも、私達が押し入れから出される前、彼とある約束をしてしまったんですの!
ああ!どうしてあんなに急いでしまったんでしょう!
私、彼とは5日程しか話していなかったのに、とっても長い間一緒にいた気がしてしまって……。
……もうお分かりかも知れませんけど、、、そう、私彼に想いを伝えようと思うんです!3年前から気になっていたと言うことを!ずっとお話したかったことを!あなたに見惚れてしまったことを!そして、付き合ってほしいと!!
そして、私一昨日こう言ったんです。
「私がまた押し入れに帰ってきたとき、あなたに大事な話がありますの。そのときまで、待っててくださる?」
と。彼は少し驚いたご様子でしたが、私に優しい声でこう言って下さいました。
「拙者も、そなたに伝えたいことがあるでござる。そのときまで、ずっと待っているでござるよ。」
……なんて、なんてことでしょう!待っていて下さる上に伝えたいことがあるだなんて!!伝えたいことって、いったい何なのでしょう!でも、こういう時ってそういうことですよね?そうですわよね!……あぁ、私幸せすぎてどうしていいかわかりませんわ。
早く押し入れに戻って彼に気持ちを伝えたいですわ。でも、もし万が一断られたらと思うととても不安にもなって……。でもでも、
もし付き合って下さるっておっしゃったら……。
あぁ、この時間がとてももどかしいですわ!
……すみません、また私の話を長々と話してしまって。
こんな私の話を聞いてくださって、本当にありがとうございます。私、少し不安だったんです。このどうしていいかわからない気持ちを誰かに聞いて欲しかったんです。人形のみなさんは桃の節句で少し忙しそうで、しかも何故かすこし悲しそうにしていらっしゃるのでこんな話をできる雰囲気でもなくって……。でも、もうすっきりしましたわ!押し入れに戻ったら、上手く気持ちを伝えて見せますわ!
そういえば、関係ないのですけれど、少し気になることがございますの。いつもなら、私達は奥様方より少し高い位置に置いていただいているのですが、今年はなぜか奥様の足元の辺りですの。しかも、どういうわけか大きなびにーる袋に入れられていて……。
そして、もっと不思議なのが、私達がいつも置かれていた場所に私達より大きながらすのけーすのようなものの角が見えるのでございます。
……いったいどういうことなのでしょう?
まぁ、そんなことはどうでもいいことですわね!こうしていつもと違う場所とはいえ、飾っていただいてるわけですし。今の私にとって、全く問題ではありませんわ。今の私にはあの方のことしか考えられませんもの。
ほほ、早く押し入れに戻れないかしら。
私、がんばりますわ!
こんな私の話を聞いてくださってありがとうございます。
また、何かありましたら報告いたしますわ。
ふふっ、きっと、いい報告ができると思いますけれどっ!
読んで下さってありがとうございます。
あと1話か、2話続き書くかもです、、、。
短編とか言ってすみません。