3/3
眠気
ポンヤリしていると、カナが来た。
「ヒマだね」
カナが言った。
「…うん」
「どうしたの?」
「…いや。僕って、入院する前、どんなだったんだろうと思って」
「…そういえば、全然覚えてないんだもんね」
「名前までね」
僕は自分の名前を知らない。
それだけじゃない。名前を知ってるはずの医者たちも、教えてくれないのだ。
「いつか、はっきりする日がくるよ。あの女の子たちも含めてね」
「だといいんだけど」
それから、僕は一人で病院の中を歩いた。
窓から外を眺める。
雲が青空をゆっくりと流れていく。
こんなゆったりした生活に戻れるんだろうか?
僕は眠気を感じて、病室に戻った。