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徒然短編集

君の名は

作者: RYO

徒然短編集5月分2発目!!

今月のお題は雨!!

・・・・・・・・・・・今日もの雨が降っている・・・・・・・。明日は晴れるのだろうか。それ以前に私たちに明日はあるのだろうか・・・。憂鬱ゆううつである。この研究所の外に出ることも叶わず、彼女とも会えない日々が続いている。最後を迎えるにしても一緒にいたいものだ。

20××年12月24日 ある科学者の日記


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

の雨に関する報告書

の雨と呼ばれる現象が最初に観測されたのは現在いまから数十年前、サハラ砂漠の中心近くにあるオアシスである。の雨に打たれた存在はすべてその生命いのちを止める。その現象を観測したスタッフはそのまま止まってしまい、の雨がやんでしばらくして音信不通になったのを心配したほかのスタッフがその場に到着して発見するまでその時を止めていた。の雨はそれ以来世界各国で観測されるようになった。それは音信不通になってから数時間後の事だった。

始めは北アメリカの某国、次はユーラシア大陸にある世界一の産業国、最後に南極大陸。このようにさまざまな土地に雨の被害は広がっていき、わが日本にも被害が発生した。雨についてははっきりとわかってはいない。だが、を恐れない学者たちのおかげである程度は判明してきている。

の雨に打たれている地域に住む人がその被害を避けるためには建物の中などの雨に打たれないところに居る必要がある。しかし、この雨は建物の壁を溶かす現象を起こすことも判明しているため確実ではない。

・もし体の一部でも雨に触れてしまえば最後、その人は止まってしまい、たとえ雨が止んでも打たれた時間と同じ分だけの時間その人は止まってしまう。

・雨が降る期間は基本的に一定ではない。基本的にその場所に住んでいる人口×2分間である。

の雨は降られている地域の中では何らかの特殊な雨になっているようだが、その地域を出るとただの水(H2O)になってしまうため、持ち出すことはほぼ不可能だといっても差し支えはない。

の雨に打たれた人の体組織はまるで顕微鏡で見るサンプルのように固まっている。そのため、の雨に打たれて固まってしまった人は止まっている間の記憶はない上に、年を取らない。しかし、あまりに雨に打たれすぎるとその人は夏場に外に放置していたアイスのように融けて消えてしまう。その理由は判明していない。

・これまでにの雨による死者は世界各地で13名である。そのすべてが溶けて消え去ってしまっている。最後に目撃されたのが屋外だったためだと思われる。そのうち1名は溶けかけで雨が降りやんだため暫く生存していたが、やはり頭部を含めた体の半分が溶けていたためそれから数時間後に死亡した。

の雨が日本で初めて観測されたのは20××年6月23日の事である。

・今のところ日本でこの雨が降ったのは、福山、大阪、東京、徳島、長野、北海道、秋田、愛知の8都府県である。


以上

国立科学研究所 異常気象研究室

島崎 幸村

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「・・・というのがこの間あげられた報告書だ。この報告書についてキミたちはどう思うのか、君たちの意見を聞かせてほしい。」

「このままではインフラも停止してしまい、この国も終わりでしょうね。」

「悲観論者は黙っていろ。しかし我が国の研究所は優秀だな。こんな訳のわからない現象もきちんと何があったのかを把握できるようにしてくれるのだから。」

「この雨をやますにはこの雨がなんなのか。それを把握しなければなりませんね。しかし、この報告書ではこの雨の組成どころか、何もわからないままです。どうにかならないものでしょうか。」

「君たちの貴重な意見はわかった。我が国はこれよりこの雨に対する研究をもっと行うことにする。反対意見のあるものは挙手を。」

手は上がらなかった。すなわち誰もが納得できたということだ。彼らの目には最悪の未来など見えてはいなかった・・・・。そもそも彼らはそういう役職の人達なのだから、現実逃避することが多いのである。




・・・・・・・それから数百年後

「・・・・・の世界は終わって(ザザッ)まった。雨は世界各地どころか世界中を覆ってしまい、空が晴れることはなくなった。このままわれらは飢えて死ぬのだろう。それは許されることではない。だから我々はまだ未来ある少年少女に希望を託すことにした。彼らをコールドスリープ状態にし、(ザザザザザザザザザッザーーーーーーーーー)」

ここは昔日本と呼ばれた土地の山奥にある研究所。雨は結局世界中を覆い、この世界は崩壊した。すべての人の時が止まり、動くものは何もいなくなった・・・・・はずだった。

「お~い、チサ~!飯見つかったか~?」

「ごめんカズ兄、何も食べるものはなかった~。けど、こんなの見つけたよ~。」

「なんじゃこりゃ、大分劣化してデータが飛び飛びだな。ただ、このデータが正しければ旧日本に住む人がこの辺に眠っているかもしれないんだな?」

「探すの?」

「あぁ、決まってるだろ。俺らのご先祖様の一族かもしれないんだぜ。」

世界は崩壊したが、人はいた。ただし、彼らの容姿は少し普通ではなかったが、今は割愛する。

「・・・どうやらここが研究所の入り口のようだな。入るぞ~。」

「あ、待ってカズにぃ・・・キャァーーーーー!」

「チサッ!チサーーーーーー!」

チサと呼ばれていた少女は床の崩壊とともに下に落ちて行った。残されたのは手を伸ばしかけで止まった兄の姿のみ。


「イタタタタ・・・・。あれ、ここどこ?あれは何?」

チサと呼ばれる少女が見つけたのは人が一人入れそうな長さのカプセル。まさに今使われていますとでもいうように緑のランプが上部で光っていた。

「これ開くのかな~?」

そう言ってチサがガチャガチャ横のレバーを操作すると機械が動き出した。

「開いた・・・・。」

「・・・・んん・・・・ここは?研究所じゃないのか?だったらここはどこだ!?」

カプセルに入っていたのは少年だった。少年は周囲を見渡すとチサに気付いた。

「・・・・・・ネコミミ!?シッポ!?それ本物!?」

「ウニャー!びっくりした~。」

そう、チサと呼ばれる少女、実は日本が滅んでからこの土地に栄えた獣人の少女で猫の獣人だったのである。

「あ、そうだ。君もしかしなくても日本人?」

「そうだけど・・・。今はいったい何時なんだ?それにここは研究所じゃないのか?」

「ここは研究所って呼ばれていた建物だって長老から聞いたことがあるよ。今がいつなのかは分かんない。もう夜かも。私は答えたよ。今度はこっちが聞く番。それで君の名前は?」

「俺の名前はユウジ。伊達雄二だ。」

「そっか~。ユージっていうんだ。私はチサ。よろしくね、ユージ。」

そうして二人は出会った。この出会いが滅んだ世界に何を与えるのか。それは神じゃなければわからない。一つ言えることは彼らは遺跡となってしまっている研究所から出て、チサの村で一緒に暮らし始めたということだけは語り手として語っておかなければならないことだろう・・・・・。

END


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