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Trick or Sweet 〜トリック・オア・スイート〜  作者: かがみ透
第四夜 『亡国の皇女』
14/16

偽りの恋

「国が襲われた時、私は、すぐに避難させられた。その時、婚約していた隣国の王子に、助けを要請する手紙を書き、使者に届けさせたのだが、……助けは来なかった。王子は、私の国を見限ったのだ。私の国よりも大きな国の王女と、結婚の約束をしたと、旅の途中で聞いた」


 荒れ地から離れた二人は、まだうろつく野盗の目から逃れるため、宿屋の一室を借りることにした。短時間だけだからと、カイルが値切ったのは言うまでもない。


 いくらか落ち着きを取り戻したイザベラは、淡々と語っていた。

 窓から外の様子を見張りながら、カイルは、黙って、話に耳を傾ける。


「お前には、貴族の色恋沙汰など、取るに足らないものに聞こえるだろう。特に、王族や皇族などの婚姻は、ほとんどが政略結婚で、庶民のように、恋愛が成就して結婚に結びつくことなどは、稀なのだからな。


 彼とは、たまに顔を合わせる機会はあり、会えない時には文でやり取りし、お互いに恋愛のような気持ちがわいていた、と思っていた。私は、政略結婚のための、不幸な道具などではないと思っていた。だが、……すべて幻想だった」


 譫言(うわごと)のように話すイザベラの横顔を、カイルは、垣間見ていた。


「敵国に攻められ、皆散り散りになってしまい、なんとか逃げ延びてここへ来るまでに、私の周りで何人犠牲になったことか……! 本当に助けて欲しい時に、信じていた者に……愛する者に、まさか、手を払い除けられ、真実を知ることになるとは……。そんな目に合ったのだ、もう人を信じたり、愛することはないと思っていた。だけど……」


 イザベラは、カイルを見つめた。


「お前は、助けてくれた」


「当たり前だ。ジーナに『前金』もらってるしな」


 カイルが冗談口調で応え、笑った。


 俯いてから、イザベラが、ためらいがちに口を開く。


「最初に会った時に、お前は言った、恋人になれば自然と守る、というようなことを。あれは、……今でも、有効か?」


 カイルは無言でイザベラを見つめた。


 彼を見上げるその表情は、ひどく頼りなかった。

 普段の冷たい視線ではなく、彼を頼っている。


「今になって、覚悟が出来た。カイル、……私の用心棒になってくれないか? 私だけの……」


 イザベラのストレートな長い髪に触れ、カイルは頷いた。


「いいぜ。お姫様の用心棒になってやるよ」


 二人の目が、閉じられていく。

 重なり合った唇が離れた時、イザベラが頬を染め、俯き加減に微笑んだ。


「……実は、私も、……初めてだったのだ」


「え? だって、婚約者とは……」


 驚いたカイルを、イザベラがくすくす笑って見る。


「そういうところは、王子は真面目でな。……ああ、もしかしたら、私には、最初から、気がなかったのかも知れないな」


 力のない笑顔のイザベラを、カイルは抱きしめた。


「皇女」


「イザベラでいい」


 口づけは何度となく繰り返され、ベッドに倒れ込んだ二人は、一際激しく、熱く抱き合っていた。




 ジーナの胸中は、複雑だった。

 今や、カイルとイザベラは公認の仲であり、イザベラは、ヴィルフレド王国に着いた暁には、カイルには金品だけでなく、身分も保証する、つまり、貴族にすると約束していた。


 家臣たちは、当初は反対していたが、野盗から皇女を守り、その後も、魔法剣で魔物を退治し、また別の野盗たちをも撃退するカイルを、どうやら、普通以上の戦士としての才能を持っているのではないかと考えるようになった。


 さらに、彼の美しい金色の髪と、貴族の男にはないたくましさに、整った女受けする顔も、好印象となっていった。


 イザベラの隣には必ずカイルが連れ添い、彼女が求める時はいつでも、人目もはばからず、カイルが口づけることは多々あった。

 それは、最初の晩に、物置小屋で、自分に口づけられたものと、明らかに違うと、ジーナは思った。


 軽く口づけられただけでも、彼の優しさを感じられたジーナは、恥ずかしさもあったが、少し嬉しく思ったことを覚えている。

 以来、彼と話すのが楽しいと思うようになった。


 だが、彼の笑顔は、自分だけのものではなかったのだ。

 今の彼は、イザベラを見ている。

 彼らの口づけを目の当たりにすると、自分と彼との口づけが、幼稚なものに思えてきてならない。


 彼は、イザベラを愛している。そう思うと、ジーナの心が締め付けられ、泣きたくなるのだった。


 そして、イザベラに対して、羨ましく思う嫉妬の心が芽生え、気が付くと、そんな考えを持ってはいけないと、直ちに戒める。


 ジーナは、二人を見るのが辛かった。

 なぜ、そんなことが自分の中で起きているのか、それも、漠然とであったが、理解していった。


 だが、しばらくすると、熱々だった二人は、やがて、口論が絶えなくなった。

 イザベラは、彼を従わせたがったが、彼は、例え、恋人であっても、全て従うのは嫌であった。そこが、彼女には、納得がいかない。


「私を愛しているのなら、当然だろう?」

「あのなぁ、愛とこれとそれとは、全然違うんだよ」

「どこが違うのだ? それは、お前が、私を本当には愛していないからだろう!」


 イザベラが声を荒げると、上等だ! とばかりに、カイルも立ち上がる。


「そもそも、恋人同士ってのは、お互い対等なもんだろ? なのに、お前は、俺に上から言うばっかりで、結局は、俺のこと、身分が低いからって、見下してるんだ」


「だって、それは、……今は、仕方のないことだろう。まだお前は、貴族ではないのだから」


「へー、あっ、そう! 貴族以外は人にあらずってワケか?」


「お前だって、『ツンケンしていたお前が、俺の前では、ネコになるところが可愛い』と、言ってくれたではないか! なのに……!」


「ああ、前はな」


「なんだと!?」


 イザベラの怒りの平手は、むなしく空を切った。

 さらに、平手が飛ぶが、その度に、カイルが軽々とよけるので、余計にキーキー悔しがる。


 家臣たちは、始めのうちはイザベラ側に付き、一方的に、カイルを悪者扱いしていたが、このところの言い争いには、介入しなくなっていた。むしろ、くだらないと言わんばかりに呆れていた。


 ジーナには、それは、男性として、カイルに同意しているように見えていた。

 ならば、自分は、同じ女性であるイザベラと同意見かというと、そうは思えず、貴族ではない自分の身に置き換えて見てしまい、カイルの味方をしているような気がしていた。


 なによりも、イザベラの我が儘が助長しているようにさえ、思ってしまっていた。

 カイルと恋人でいられるだけでは、満足しないのだろうか、それだけで充分とは、思えないものなのだろうかと、考えてしまう。


 そのいさかいさえも、恋人同士であるが故なのかも知れないと、経験のない自分には、理解出来ないのだと、自分を納得させるしかなかった。


「まったく、面倒臭い女だな!」

「この私に向かって、面倒臭いとは何だ!」

「あ〜あ、恋愛慣れしてない女なんか、簡単に相手にするんじゃなかったぜ。今度からは、もっと物わかりのいい女を選ぶことにするか」

「し、信じられない……! なんということを……!」


 イザベラの怒りは頂点に達していた。

 だが、やはり、殴ろうとしても、彼には届かない。


 ついに、イザベラとカイルは別れた。

 たかだか、十七歳男と、十八歳女の恋である。稚拙な付き合いとケンカにより、別れるのも当然だと、老人たちはすんなりと受け入れ、どこかほっとしている様子だった。最初から上手く行くとは思えなかったなどと、ひそかに囁かれたりもしていた。


 彼らの一番気になるところであった用心棒の仕事だが、カイルは、別れても、用心棒の仕事は、きっちりやり遂げる、と言い切ったので、老家臣たちはますます安堵した。


 ジーナも、やっと安心出来た気がした。


 イザベラはカイルを見もせず、口もきこうとしない。


 カイルの方は、これまでと変わることなく、相変わらず、ジーナをからかっていた。

 ジーナは、それでいいと思っていた。彼と話せるだけで、充分、嬉しかった。


 それでいいと思っていないのは、イザベラだった。




「やあ、カイル、やっと会えたな! 元気でやってるか?」


 にっこりと笑顔で声をかけてきたのは、見覚えのあるハットを被った青年だ。


「アッカス! 久しぶりだな!」


 カイルは満面の笑みになり、アッカスと、がっしり腕を交差させて、再会の挨拶を交わした。


「これ、ユウさんに頼まれたんだ。通信出来るペンダントだって」


 アッカスが渡したのは、銀で出来たロケットで、開くと、ユウの酒場の絵が入っていた。


「なんでも、昔、付き合いのあった魔道士からもらったもので、古くて壊れてたから直した……とか言ってたぜ」


「へー! 通信って、どうやるんだ?」


『やあ、カイルくんかい?』


 突然、ロケットから声が聞こえ、カイルもアッカスも驚いた。


「……ユ、ユウさんなのか?」


『うん、そうだよ。友達からもらったものでね、ちょっと改良してみたんだ。使い方は、簡単だよ。ロケットを開けるだけでいいんだ』


「へー、すごいなぁ、これ!」


『なにか困ったことはない?』


「う〜ん、そうだなぁ……。うっかり面倒臭い女に手ぇ出しちゃって、最近、別れたとこなんだけど、いやぁ、まいったぜ!」


 カイルが、明るく笑ってみせた。

 アッカスは、拍子抜けしていた。


『そ、そういう話は、今度、僕のお店で、混合酒でも飲みながら……ね!』


「うん、わかった。そうするぜ!」


『アッカスくんには、水晶球で見てから、計算して、ドリノの町方面に行ってもらったけど、そこで合ってた?』


「ああ、まさに、ここは、ドリノの町だぜ! これから、東に向かう予定だ」


『大分、目的地に近付いてきたね』


「そうだな! やれやれ、これで、もうすぐ用心棒の仕事も終わりか。俺にかかっちゃあ、どんな仕事も楽々だけどな!」


 カイルの笑い声に合わせて、苦笑いをするユウの声が聞こえる。


『そこから東に行くって言ったね。「天使の声」に気を付けて』


「天使の声?」


 カイルは顔を上げ、アッカスと顔を見合わせた。


『「天使の声」が聞こえると言われている魔の森が、そこから東にあるんだよ。普通の森のどこかにあるっていうから、間違えないように気を付けて。足を踏み入れたら、悪魔に付け込まれると言われているんだ』


「悪魔って、魔族か?」


『結構、強力な魔族だという噂だよ』


「そうか。といって、その森を通らないとなると、右手は山で、登るには高過ぎるって言うし、左手の林は平地だけど、底なし沼があちこちにあるって聞くし……」


 カイルは腕を組み、少しの間、眉間に皺を寄せて、考えていた。


「魔族にも、魔法剣の『浄化』って、効くよな?」


『効果はあるよ。ただし、その剣の魔法って、魔力を貯めておかないと……』


「ああ。だから、いつも、考えて使ってる」


『そうか。それじゃ、大丈夫だね』


 その後、他愛ない話をしてから、カイルはユウとの通信を終えた。

 アッカスは、ユウから言付かった魔法の小袋を数種類カイルに渡すと、植物採集をしてからヒョン・カンに帰ると言い、カイルと別れた。


「どこに行っていたのだ?」


 戻ったカイルを、イザベラが睨む。


「別に。町で友人に偶然会ったから、話し込んでただけだぜ」


 面倒臭そうな態度で、カイルが答えた。


「女ではないだろうな?」

「はあ?」


 カイルが、思い切り嫌そうな呆れ顔で、イザベラを見た。


「例え女だろうと、もうお前には関係ねぇだろ」


「お前は、私を弄んだのだな!」


「弄んでねぇって! 何度言ったらわかるんだよ!」


「ジーナ、私の服の直しは終わったか!」


「は、はい、ただ今取りかかっております!」


 イザベラの着ていた町娘の服のひとつが、ほころびたところを、侍女ジーナが縫っていたところだった。


 イザベラが、「遅い!」といってジーナの頬を平手で打つと、カイルが間に入り、八つ当たりをするなと怒ると、イザベラとの喧嘩が再発するのだった。




「誰だよ、喧嘩するほど仲がいい、なんて言ったのは! 実際は、ウザくて仕方ねぇもんだな!」


 カイルは、誰にも聞かれないよう、口の中で、ぶつくさ言っていた。


「お前は、可愛さで、男の気を引こうというのか!」


 イザベラの怒りの矛先は、ジーナに向いていた。


「い、いいえ! そんなことは……!」


「さぞ気分が良いだろうな、私にはない可愛らしさと初々しさで、男たちからも庇ってもらえて!」


 あまりのジーナに対する八つ当たりに、ついには、老家臣からも注意されたイザベラは、彼女にさらに当たるようになっていた。


「おい、いい加減にしてやれよ」


 見るに見兼ねたカイルも、呆れた調子で遮ると、彼女の怒りはカイルに向けられる。

 この頃は、カイルだけでなく、ジーナも、イザベラの怒りの標的となっていた。


 翌日、カイルは、森までの道を偵察に行き、ジーナは、イザベラに頼まれた小物を買いに、町に来ていた。


「よっ!」


 振り返ると、カイルだった。彼の手にした木のコップを不思議そうに見ながら、ジーナが問いかけた。


「カイル、偵察は?」

「ああ、森までは、あと少しだった」

「そうなの? 良かった!」

「ジーナ、ちょっと付き合えないか?」

「えっ?」


 カイルはジーナを誘って、森の手前まで行った。

 崩れかけた石の壁のすぐ裏を、そうっと覗く。


「……わあ!」


 ジーナは、小さく声を上げた。

 石の上に草が敷かれていて、その上には、小さなネコの赤ん坊が数匹と、母ネコが横たわっていた。


 カイルは、捨ててあったものを拾ってきたのか、ふちに割れ目のある木の浅い皿へ、コップの中のミルクを注ぎ入れた。

 母ネコは、ちびちびと、寝転んだまま飲んでいる。


「さっき、食堂で、ミルクを、ちょっとだけ分けてもらったんだ。母ネコも、乳あげて体力消耗してるからな。チビネコたちも、可愛いだろ?」


「ええ、とっても!」


 ジーナが笑った。

 カイルも、安心したように、彼女を見る。


「良かった。やっと笑ったな!」

「え?」

「ジーナ、元気なかったから。イザベラにイジメられて」


 後半、カイルは、わざとらしい口調になっていたので、思わず、ジーナが吹き出す。


「そんなことないわ。イザベラ様は、お疲れなだけよ」

「はあ、まったく、どこまで人が()いんだか……」


 カイルは肩をすくめた。


「侍女だから、あいつに言い返せないのはわかる。だけど、たまには、息抜きしろよ。こんな風に、身近にある幸せを見つけ出して、乗り越えるんだぜ!」


 子供のような笑顔だと、カイルの無邪気な顔を見て微笑むうちに、ジーナの目からは、涙がこぼれ落ちていた。

 慌てて、指で拭い、カイルに背を向ける。


「……そんなに辛かったのか。イザベラの仕打ちが」


「ち、違うの!」


 ジーナは泣きながら、強く言った。


「カイルが、私にやさしくするからよ」


 カイルは黙って、彼女の背を見つめた。


「やさしくって……。昔、俺も、引き取られた親戚の家で辛く当たられて、……それでも、やっていかなきゃいけないと思った時は、家を抜け出して、ささやかな楽しみを探してたんだ。だから、それと同じように、ジーナに教えただけなんだけど……」


 珍しく、しおらしい声で遠慮がちに話すカイルを、彼女は振り返った。


「……そんな過去が……」


「ああ。打ち明けたのは、アッカスって、俺の親友だけだけどな。それと、酒場のユウさんも聞いてたか」


 淋しそうな微笑みを見つめたジーナは、いたたまれなくなり、カイルに抱きついた。


「あなたも辛い想いをしていたのね、カイル。それなのに、私ったら、自分のことばかりで……ごめんなさい!」


 驚いていたカイルは、ふっと青い瞳を和ませると、ジーナをやさしく抱き留めた。


「もうすぐだ。この森を越えれば、ヴィルフレド王国まで近い。そうしたら、イザベラのヤツも、少しは落ち着くだろう。だから、もう少しの辛抱だ」


 そうではないと、ジーナは言いたかった。

 イザベラの仕打ちが辛いのではない、と。


「私は……カイルと離れるのが、……嫌なの」


 消え入りそうな声だった。

 カイルは、手を緩めた。


「……お前には、俺はふさわしくない」


 ふっと、淋し気な笑いを浮かべたように、彼女には見えた。


 自分では、彼に、ふさわしくないのだと、彼女こそ思った。

 ジーナの目には、さらに涙があふれていった。




 森を通るのは自分の帰りを待ってからにしろと、カイルが言っておいたにもかかわらず、イザベラと家臣たちは、既に出発していた。


「あいつら、俺の忠告を無視しやがって!」


 宿に戻ったカイルは、宿屋の主人から伝言を聞き、舌打ちした。


「あそこは、昼間でも安心出来ねぇところだから、待ってろって言ったのに!」


「私のせいだわ」


 ジーナが、またもや目に涙を浮かべた。


「私が、さっき、余計なことを言って、帰る時間が遅くなってしまったからだわ」


「ジーナのせいじゃない。もしかしたら、『天使の声』ってヤツに、誘われたのかも知れねぇ」


 ぶっきらぼうにそう言うと、カイルはジーナの手を引っ張り、森へと駆け出した。


「いいか、俺から離れるんじゃねぇぞ!」


「は、はい!」


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