わたしたちの仕事
「わっ、えっ?ちょっ、待っ!!」
女性の慌てた声が聞こえたあと、物が次々と倒れる音が・・・・・。
バタッ、バタッ!・・・・・・ガシャーーン!
「誰か~~!!その子を捕まえて~~!!」
少し開いてたドアをするりぬけて、逃げ出そうとする仔犬。その仔犬をひょいっと抱き上げ、
「はい。捕まえた。」
と、にこやかに言う、まだ幼さを残す端麗な顔立ちの女性。
「ありがとー!!助かったわ、さすがは唯ちゃん!!」
△▼
あははは!!
この人は、私のお母さん、伊藤香。けっこう有名な獣医師で、腕も確か。でも・・・少しおっちょこちょいなのがたまに傷かなぁ。
「あーあ、母さん。いい加減そのおっちょこちょい直しなよ。」
こっちは、私の双子の姉の伊藤由真。とても同じ歳とは思えないほどしっかりもの。でも、時々おっちょこちょいなところがあって、可愛いの。まぁ、それを本人に言うと、由真ちゃんから頭を小突かれるから滅多にいわないけど。
「まあまあ、そこが香さんのいいところじゃないか」
これが、お父さん。ここの病院の院長さん。っていっても、家族でやってる病院だから、そこまで偉いって訳でもないんだけどね。
ここは、病院っていっても、人間を治すところじゃなくて、動物を治すところなの。例えば犬とか猫とかウサギとか。主にペットかなぁ~。でね、さっき逃げ出したこの子も今月に一度の検診中だったの。、くるたびに、私達のてを焼かせるわんぱくものなんだよね。
「・・・・・・はい!今日も元気いっぱいね、異常ないわ。」
今日の検診は、これで終了。うーん!疲れたなぁ~。由真ちゃんと一緒に駅前の新しくできたカフェでも行こうかな。・・・・・・あっ!ごめんごめん、自分の自己紹介忘れてたや。