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第十二話 「式典Ⅲ」

今回もアリア視点。

絶望の広がる世界において、ただロゼ様の言葉のみが響き渡る。


「ちなみだがな、現在の人類が二千五百万ほどに対して魔族は一億六千万といったところか。ふふ……順調に魔族は増えてきていではないか」



それがどれほど具体的な数字であろうとも、あまりに莫大なソレではもはや頭が理解することを拒絶しそうになる。

それでも思考を停止してしまえば何もかもが終わってしまいそうな恐怖に身を飲まれそうで。

ロゼ様が語る事実から、この世界の真実から、何もかもから逃げ出したくなりそうで。

だからこそロゼ様が語る言葉を聞こうとするのだが。


既にロゼ様の語る言葉に世界は支配されているようなものだから。

ならばこの後にどのような言葉があろうとも。

もはや此処まで聞いた以上は、ロゼ様が語る言葉の全てを受け止めてなおその先に繋がる希望を見つけてみせようと……そう最初にロゼ様に誓った言葉を想いだしながら、ロゼ様が語る言葉を待つのだが……。


「…………ん?」


ロゼ様は今まで朗朗と話してこられたというのに、そこで突然の間が開いたかと思うとそのような呟きを漏らした。

そしてしばらく待とうとも続きを語られないロゼ様にどうしたのだろうと思い、知らず知らずのうちに下を向いていた顔を上げロゼ様の御顔の方に目を向けると――――。


――そこにあったのは、それまでとは違う笑み。それまでの笑みがどこか悠然とした笑みならば、それはまさに口を歪めたような……愉悦に染まったような笑み。


その瞬間にこの身を襲ったのは、それまでとは比べものにならないほどの……恐怖。

それまでの話が余りに現実離れし過ぎていたために、麻痺していた恐怖が現実の形として襲ってきそうな予感

まさに神が世界の終わりを告げる瞬間のような圧迫感がこの身を襲う。



「……ろ……ロゼ様?」



余りの恐怖からか。気が付けば彼女を名を口にしてしまう。

震える声で、その名を呼ぶのは……初めて彼女のその姿を見ることとなったあの神殿のときのようで。

もはや彼女の出会ってからの想いも、彼女に誓ったはずの言葉も。

世界に比べれば何もかもが小さすぎて。

何もかもが吹き飛んでしまいそうな恐怖にさらされる。

世界を覆う暗闇も、先ほどまでは彼女の奇跡に触れるという喜びを感じていたはずなのに。

今はこの世界にたった一人で残されてしまったかのような感覚に襲われて。



「フフ………クハハハ……運が良いのか悪いのか……。諸君たちに伝えねばならぬことが増えてしまったでないか」


楽しそうに愉悦に口を歪めて伝える言葉は一体なんであるのか……。

気が付けば服が全身に張り付くほどに汗が流れ出ているほどの重圧の中で紡がれる言葉は――。


「私の目と耳は、この場に居ながらも世界へと繋がっているのだがな。だからこそそんな私の元に届いてくるのよ……ふふ……数千万を超える魔族による大侵攻に――そしてそれによる――」


――東部諸国の壊滅がな。


そんな言葉が世界に広がった。


「………う……そ……」


それまでとは違い余りに具体的な言葉。

抽象的でも概念的でもないこの現実を表す言葉。

国が滅んだという余りに分かりやすい言葉に……それでも頭がその言葉を拒否してしまう。


「東部諸国……確か東部連合王国だったか? 東部地方六国からできた王国……ふむ……人口は全てで百万と少しといったところか……。その東部連合王国の全てが魔族の侵攻によって――――壊滅……民の八割が死滅……いや……ふふ……今も増え続けているからあるいは全滅かもしれんな」


余りの言葉に思考が止まりそうになっていたが。

それでもロゼ様から語られる言葉に……その意味するとこを考えずにはいられなくなる。


東部連合王国。

ノイル王国。リシュテイン王国。ティグルス王国。テーベ王国。アムル王国。アムリア王国。

大陸東部地方六王国から出来上がった連合王国。

一つ一つの国力は我がウィンダム皇国の十分の一なれども、互いの国々が一つとなり協力しあうことで数百年以上も東部地方の要となってきた王国。


それが滅んだ。

我がウィンダム皇国に一切の連絡を寄越す間も無く壊滅。

ここ百年ほどは街道にも魔族が表れるようにはなったが、それでも国の精兵が飛ばせば三日で到着する距離である。

先日この皇国が魔族の侵攻に襲われたときでさえ、それでも連絡のみは隣国にある全ての国に送ったのだから。

つまりそれは、今回の東部王国はそれ以上の魔族の大侵攻に襲われたということ。

連絡を送る間もなく東部連合王国の全てが三日……いや二日以内にその全土が壊滅したことを意味し……そして民の八割の死滅……いや、それはもはや文字通りの全滅に等しく。


そんな余りの内容に、それまで堪えてきた想いも吹き飛び。

ロゼ様の言葉であろうとも信じることなど出来ずに否定しようと思わず口を開こうとロゼ様を見つめたところで……ロゼ様はそれを待っていたかのように口を開く。


「ふふ……私の言葉が信じられんか? まぁ……良い。今日は特別サービスだ。国の滅びゆく様を存分に見せてやろうではないか」


私達がロゼ様の言葉を信じようとしないのを楽しんでおられるかのように笑い、そしてロゼ様はそう言うと再び指を鳴らす。

パチンという音が世界に響くと、ロゼ様の真上、皇宮の上に大きな鏡のようなものが現れる。

あるいはこの時でなければ、ロゼ様が造りだしたその造形物の美しさに見惚れていたかもしれない。

その奇跡に触れて喜んでいたかもしれない。


だが今は……もはやこの時になれば、彼女が起こす行動一つ一つに恐怖を覚え、もはや目を瞑り耳を塞ぎ、この場から、ロゼ様の前から逃げ出したいという思いにのみ囚われる。

もはやそれをしないのは、この事態を引き起こしたのは私自身なのだからという……その私が逃げ出すわけにはいかないだろうという皇女としての矜持に縋っているのみにすぎないのだけれど。

そしてそんな私を見向きもせずにロゼ様は、その手を頭上に掲げる。

全ての民がその鏡を見るように誘導するかのように。



「さぁ――――壊滅劇の開幕といこうではないか」



そうロゼ様が紡いだ言葉の後に、世界をただ反射しただけのその鏡に映っていたものは――――。


まさに――煉獄。


幾千の人間が魔族に踏み躙られていく。

幾万の人間が魔族に食い千切られていく。

逃げまどい、泣き叫び、血眼になって逃げまどう人間たちにその数百倍の魔族どもが群がってり、血を撒き散らし、内臓を世界に振りまくその様はまさに地獄。

それはもはやただの蹂躙であった。

戦いの形跡など何処に見受けることなどできずに、人々はただ嬲り殺されていく。

その惨状を造りあげているのはまさに魔族。魔獣。

千でも足りぬ。

万でも足りぬ。

もはや数えることなど出来ぬほどのも魔族の群れが、僅かな隙間もなく映る世界全てに雪崩れ行く。

もはや、地形すらも変わるほどの侵攻にさらされながらも、僅かに見える人工物からそれが東部連合のものだと……嘗て見た東部地方にのみある独特な美しい建物であったというのが分かり…………彼女の言葉が………東部連合が壊滅したのだという言葉を理解させられる。

余りに圧倒的な映像に。暴力的なまでのそのあり様に……もはや、否定する気持ちなど沸き起こりそうにもなかった。

もはや何かを考えることなど出来ずに……ただ……ただただ目に映る惨劇から目を背けることが出来ずに呆然とそれを眺めつづけことしかできなかった。


「ぅ…………おぇ……」


誰かが嘔吐くように声を漏らす。

もはや悲鳴を上げる気力すら湧かぬほどの絶望。

欠片ほどの希望すら見いだせぬ絶望。


先日の我が国への侵攻とは比べものにならないほどの惨劇。

私達が地獄だと思っていた場所は未だその入り口にすら到達していなかったのだと理解させられる。

鏡が映し出すのはその光景のみのはずなのに……そこに映る映像が余りに鮮明で、魔族に食い殺される者たちの慟哭が聞こえてきそうで……臓物の朽ち果てる汚臭が漂ってきそうで……。


「……っ!」


思わずに声が漏れそうになる。


それは彼女の……ロゼ様の名を呼ぼうとしたためか……?

だがなんて……?


彼女の名を呼んでなんとする?

もう止めて下さいと言うのか?

言ってどうなる?

もはや民達はロゼ様の言葉を聞き絶望に広がる光景を見せられたのだぞ。

今さら彼女を止めてどうするというのだろうか……。


この事態を招いたの私。

ロゼ様の言葉を求めたのは私。


ロゼ様が私達の守護者などではないと頭では理解していても、それでも彼女の世界に魅了されてしまった私が招いたことなのだから。

彼女の言葉ならば例えどれほどのものであろうとも私なら耐えられるという意味のない虚心。

彼女の言葉ならばどれほどの絶望に覆われたものであろうとも、それでもきっとその先に繋がるものだろうというあまりに独善的な思い。

ロゼ様に触れ、ロゼ様と語り、ロゼ様と過ごし余りに舞い上がった私の浅慮。


そして絶望的なまでの運の悪さ……である。

なぜこの時に? 

なぜこのタイミングで東部連合が堕ちてしまったのか。

先日の侵攻からそれでも生き残れた私達が、それでも藁にも縋る想いで開いた式典の日に起きた最悪なまなでの惨劇……が……。


あぁ……。

そうか……。


縋った…………縋った……。

そう……縋ったのだ。

私は結局のとろこロゼ様に縋ったのだ。


ロゼ様が式典にて言葉を語らえると言われた時に私の中にあった想いは結局のところそれだったのだと……今さらながらに理解させられる。

ロゼ様の姿に魅了された……。ロゼ様の起こす奇跡に魅せられた。

だからこそロゼ様の語る言葉に必ず意味があると……そう思って……。

だが……結局のところそれは、絶望的なまでのこの世界を変えてくれたという……あの日、魔族に覆われたこの国を一瞬の後に紅蓮の炎で浄化したその奇跡に……目を奪われていただけだったのではないだろうかという……身を引き裂きたくなるほどの悔恨。


だからこそ、この事態はそんな私が招いた必然の事態。

私が願い出なければロゼ様が式典に出席されることもなく、例え東部連合の悲劇があろうともそれでもその惨劇を民達に見せることなど無かったというのに。



あぁ……だけどそれを見なかったからどうなったというのだろうか。

東部連合が堕ちたとなれば、魔族は次はこの皇国に流れ来んでくるかもしれないというのに。

そんな事態になったどうする……?

また私だけこの国から逃げ出すというのか……?


あぁ…………違う。そうじゃない。

私は希望に。民達の希望になると誓ったのだから。

だからそうじゃなくて……それでも……だからこそ私達は民達に希望を見せなければ……。


希望……希望……に。

希望……?

東部連合を僅か一日近くで堕とすような魔族の大侵攻の前にどんな希望があるというのだろうか……?


そもそも――。


そもそも――ロゼ様は始めに言ったではないか。


この世界は神に見捨てられた世界だと。


そんな世界に一体どんな希望が残されているというのだろうか。



「ふふ……存分に世界に絶望し、世界を呪い始めたようだな。では――」



私が自身の暗い思考に囚われていようともロゼ様の言葉は続き、そしてロゼ様はそこまで語ると一拍間を置くと。


「世界よ灯せ」



そう呟かれた次の瞬間に――それまで消え失せていた光が世界に戻った。



「……っ!」



それまで暗闇の世界に慣れていたために突然の光に目が眩む。

思わず、突然の光に襲われた民達が動揺しパニックを起こすのではないか。

そう思ったのだけれど、それでも目が慣れるまで待とうとも世界は静かなままであった。


そして、光に目が慣れた私の目の前に広がった光景は――。


ある者は地に頭を付け肩を震わせ。

ある者は神に祈ろうと手を結ぼうとしたところで呆然と立ち竦み。

ある者はただただ涙を流し嗚咽し続けている。

民達に限らず皇宮に仕える文官や武官も変わらずに皆が打ち拉がれている。

それは文字通りに国中全てが絶望に覆われているかのような光景。


あぁ……分かっていた。ロゼ様の言葉を、彼女が見せた光景を見ればこうなることぐらい分かっていたころだろう。

神の見捨てた世界。

魔族の親が人であるという世界のあり方。

人に対して余りに莫大な魔族の数。


そして――東部連合の崩壊。


どれか一つでも絶望してしまいたくなるようなものだというのに。


だからこそ……。今だからこそ私は、私の誓った言葉を守らなければならないというのに。

国が絶望に覆われたというのなら私こそが希望になってみせると言ったのだから。

だから今すぐ何かしらの行動を起こさなければいけないというのに。

だというのに、体は動かず口は一切の言葉を発しようとはしなかった。


そしてそんな私を見向きもすることなく、ロゼ様はさらに言葉を紡ぐ。


「さて……絶望に暮れる人類諸君に私から改めて言わせて貰うぞ。私を……この私を魔族の手から逃れるために縋るなよ。人類諸君から生み出される魔族どもの片付けをやらせるような……掃除屋の如き役割を私に期待するなよ。私にこの世界のあり方を変えるほどの力は無いのだからな。ゆえにあの日この国を救ったのはただの一度の気紛れりに過ぎん。これ以降いかなら惨劇がこの国を襲おうとも、それは私の知ったことではないということを。そのことを……ゆめゆめ忘れるな」


まさに今の私の心を打ちぬくような拒絶の言葉。

それは民達に向けて言った言葉のようで、どこかでロゼ様に縋っていた私の心を見抜いていたかのように、私に向けて……皇女である私に向けて紡いだかのような言葉。


そう理解した瞬間に――――ポトリと。

瞳から涙が零れ落ちる。

父上が亡くなった時も、母上が亡くなった時も、兄上が無くなった時も、それでも流さなかった涙を流す。

恥も外聞もなくぽろぽろと流れ出る涙に。


あぁ……。

私はなんて。

なんてなんてなんてなんて浅ましい。


ロゼ様の世界に魅了され、どんな言葉もどんな出来事も受け止めてみせると想ったはずなのに。

民がどれほど絶望しようともそれでも全ての民の希望になってみせると誓ったはずなのに。


そんな私の想いもたった僅かな時間に全て崩れ去ってしまった。

皇女としての矜持も誇りも何もかもが崩れ落ちた後にあったのは、私は民と同じように傷つき絶望してしまったという情けない少女である事実。私は、私が思う以上にあまりに矮小な存在だったという思いのみであった。



そして、そんなふうに絶望した私に――私達にロゼ様の言葉が世界に響く。

それは今までとは全く違う声。

それまでの冷酷なまでの声とは真逆のまさに――慈愛の、聖母のような慈愛に満ちたような声が世界に広がる。


「ふふ……。私が語ったことは僅かな瑕疵もなく、余すことなく真実ではあるのだが、だからこそそれを知った諸君は目の前にあった僅かな希望も、蜘蛛の糸とも呼べる救いの道を余すところなく引き裂いてしまったのは私だからな。ゆえにそんな人類諸君にたった一つだけ救いの道を用意してやろうではないか」


絶望に覆われた世界にロゼ様の言葉のみが広がる。

その言葉に涙を流し俯いた者たちも顔を上げロゼ様のほうを縋るように見つめている。


再構築レコンストラクション


そしてロゼ様が世界の改編の言葉を呟く。

世界に奇跡を起こすまさに神の言葉。


そう彼女が呟いた後に待っていたのは――まさに奇跡。

魔族を喰らいつくした紅蓮の炎にも。

世界から一滴の光すらも喪失させたことにも匹敵するような奇跡の光景が世界に広がる。


それはまさに――剣の丘。


皇宮に。皇庭に。街路に。広場に。屋根に。

国中に犇めき合っていた人間のその全ての前に、一本の剣が突き刺さっている。

民も。武官も。文官も。大臣も。貴族も。宰相も。

そして――皇女である私の前にも、余すことなくその目の前に一本の剣がそそり立つ。


それは過度の装飾のない質素な剣なれでも、それでも剣に対する知識すらない私ですら理解する。

その剣は、まさに神剣とでも呼べば良いものであると。

これに比べれば皇宮にある宝剣ですらただの鉄くずに過ぎないものだと。

むしろそれは剣の形をした別の何かである。

それはある種の神具であるのだと感じる。


そしてそんな、突如目の前に現れた剣に目を奪われている私達にロゼ様の言葉は届いてくる。



「さぁ諸君らが救いの道を求めるというのなら、その剣を抜き自らの心臓に突き立てると良い。さすられば僅かな痛みも一滴の血も流すこともなく、諸君らの体はこの世界から消滅し……そしてこの世界にあるありとあらゆる苦痛も、絶望からも解き放たれることとなることを私が保証してやろう。さぁ……ふふ……どうする……?」



それはまさに甘い誘惑のように絶望の覆われたこの身に優しく降り注ぐ。

冷たくなった体を優しく抱きしめる聖母の囁きが世界に広がる。


まるでそれこそがたった一つだけ残された救いの道であるかのように思え。

そしてそれを証明するかのように自身の目の前に悠然と突き刺さる剣に目を向け――それから目を離せなくなってしまう。


この剣を抜き、自身の胸に突き刺す。

それをすれば、まさに痛みも何もなくこの世界のありとあらゆる苦痛も絶望からも逃れらるのだと。

その刀身に一遍の曇りもなく光り輝く剣を見つめているとそのことが事実なのだと理解してしまう。


だがそれは……それだけはしてはいけないと。

少なくとも皇女である私がそれをするわけにはいかないのだと……最後に残った理性で考えるけれども。

それでも目の前にある剣から目を離すことが出来ずに。

甘い誘惑から身を引き離せずにいる。


そして、その葛藤はまさに国中の人間が感じているのか、まさに誰一人として身動きをとることができずに。

そしてそんな、ありとあらゆる想い悩み悲しみ絶望といった葛藤が蠢く中でなお静寂とした世界において――遂にその音が世界に響いた。


キインという音。剣を地から抜き去る音。澄んだ――本当に澄んだ剣の音が世界に響く。



「…………ほぅ」



ロゼ様の僅かに驚いたような声につられて、その時になってようやく自身の前にある剣から目を離せてた私の目に映ったものは――――私よりも幼い少女の姿であった。

皇都の端――俗に言う浮浪街とも呼べる場所に居る少女。

ここからでは遠くほとんど姿を見ることができないが、ロゼ様が呟いたと同時に、それまで隣国の惨劇を映していた鏡にその少女の姿が映る。

まさにそれは浮浪街と呼べる、親を亡くした者たちが集まる場所。国が支援を行えるだけの余裕が無いが為に生まれてしまった場所に映るたった一人の少女。

足は裸足で、ボロボロの布を纏い、布の隙間から見える体は今にも折れてしまいそうな幼子のようにやせ細っている。

まさに国が……私達が不甲斐ないが為に私などよりも遥かに多くの苦痛を与えてしまい、そしてその日を生きていくのすら命がけの……そんな少女が……されども、たった一人。

この世界において誰よりも力強く。世界に絶望し、甘い誘惑に憑りつかれた私達など一切を目を向けることなく……ただロゼ様を、ロゼ様の姿を見つめながらにその手にある剣を天へと掲げる。


それがこの世界においてたった一人、その剣を抜いた少女の姿であった。















メインヒロイン……ヒロイン? 多分今後の主役になる子の登場です。

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