未来編 XXX-1 未来視
まさか、こんな事になるなんてな!
タイムリーで変化し続ける未来を見せられ続ける
12人
彼らは固定されたメンバーではない。
ある者は今日、世界を揺るがす数式を書き換え、
ある者は明日、誰も見たことのない感情を歌にしてトレンドを塗り替える。
常に「今、最も未来に近い12人」が自動的に選出され、その席に座るのだ。
「また替わったよ」
モニターを見つめていたレイが、苦笑交じりにコーヒーをすする。
画面のインジケーターが明滅し、12番目の座にいた老政治家の名前が消え、代わりに10代の環境アクティビストの名が滑り込んできた。
彼らが発する言葉、選択する行動、あるいはただそこに存在するという事実そのものが、数時間後の世界にフィードバックされ、歴史の濁流を形作っていく。常に変化し、決して留まらない。
それこそが、このシステムが「タイムリー」と呼ばれる所以だった。
「未来を見せ続けるっていうのは、疲れる仕事だな」
私は呟いた。
席が変わるということは、昨日までの『正解』が、今日からは『過去の遺物』になるということだ。12人は人類の道標でありながら、同時に激流に浮かぶ木の葉のようでもあった。
変化の予兆
その時、ルームのメインサーバーが重い駆動音を立てた。
12人のシグナルが、一斉に激しく明滅を始める。これまでにない異常な同期。
「見て。これ、変化のサインじゃない」
「……ああ。12人全員が、同時に『次の未来』へ押し流されようとしている」
モニターに映し出された彼らの瞳は、怯えてはいなかった。
むしろ、新しく書き換わる世界を待ち望むような、狂気にも似た輝きを放っている。
変化し続ける12人が、ついに「現在」という境界線を完全に踏み越えようとしていた。




