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昨日のわたしに、さよならは言わない。  作者: みもざちゃん


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新入社員とわたし(2)

岩下鈴いわしたすず:社会人1年目のOL。面倒見がよく思いやりがあり、真面目な性格。田舎を飛び出して都会に上京してきた。過去の輝かしい栄光に苦しめられている。

月岡昴つきおかすばる:中途採用されてきた新入社員。イケメンで高身長だが、不器用で仕事ができない。寡黙でシャイだが、誠実で優しい性格。とある過去の記憶を抱えている。

山田真衣やまだまい:鈴の勤め先にいるとても美人な先輩。勤務歴は10年目。基本的には優しいが、ライバルには絶対に勝ちたいという競争心を隠している。上司のお気に入りになることが得意。

川口晴美かわぐちはるみ:鈴の親友。子供の頃からの夢だった教師になり、新任として奮闘している。気配りができて人に寄り添う優しい性格。仕事で悩みを抱えている。

岩下登紀子いわしたときこ:鈴の母親。真面目で家族想い。保育士として働いている。

岩下茂雄いわしたしげお:鈴の父親。お茶目で楽観的な性格。消防士として働いている。

「月岡くん!ここに置いてって言った資料、どこにやった?」

「あれ?月岡くーん!これ両面印刷って言ったのに片面印刷になってるよ!?」

「ポストに投函しておいてほしいって言った資料、ここにあるのなんで?月岡くん!」

あれから1週間。私のオフィスは朝から夕方までてんやわんやだった。なぜかというと…単刀直入に言えば、月岡くんのミスがあまりにも多すぎるからである…。

あんなに月岡くんにメロメロだった山田先輩もさすがに怒りを隠せない様子である。

「月岡くん。ちゃんと指示を理解してから動いてる?分からなかったら聞いてねって何度も言ってるわよね?」

「はい…すみません。」

月岡くんは小声で謝ることが精一杯のようだった。私は彼があまりにも可哀想で仕方がない。

「まだ入りたてだからミスが多くなるのは当たり前だと思うわ。でも、あまりにも多すぎるわよ?十分気を付けてちょうだい。来週からはもっと慎重に丁寧に仕事と向き合って。分かった?」

山田先輩がビシッと言うと、彼は「はい。」と先ほどより少し大きい声で返事をした。山田先輩も他の社員も17時きっかりに帰っていった。みんなの冷たい視線が月岡くんに注がれていた。私はまだ自分の仕事が残っていたので、最後にオフィス掃除をしている月岡くんと一緒だ。正直、ちょっと気まずい。

「月岡くん。」

私が名前を呼ぶと、彼はほうきを片手にこちらを向いた。

「今週、本当に疲れたよね。お疲れ様。掃除も私がやっておくから、今日は早く帰っていいよ。」

「ありがとうございます…でも、お気持ちはありがたいですが、そういう訳にはいきません。ちゃんとやっていきます。」

月岡くんは丁重に断って掃除を続ける。私は彼のことが心配でたまらなかった。

「月岡くん…大丈夫?その…心の健康というか…。結構山田先輩に厳しく言われてたから。」

私の言葉に彼は何も言わなかった。私はますます心配になって話を続ける。

「無理しないでね。愚痴とかちゃんと吐き出してほしい。1人で抱え込んでほしくないし、休みたかったら休んでもいいし。あまりにも辛かったら…辞めてもいいんだよ。」

月岡くんは顔を上げて私を見た。

「それって、僕に…辞めてほしいってことでしょうか…?」

「え…?いや!いやいやいや!違う!全然違う!」

私が慌てて否定すると、彼は首を傾げてクエスチョンマークを頭に浮かべた。

「つまり、私が伝えたかったのは…自分をすり減らしてまでこの会社に依存しなくていいってこと!」

違う言葉で言い換えると、彼はようやく腑に落ちたみたいで顔を明るくした。

「なるほど…すみません、理解力がなくて。ありがとうございます。そんなこと言われたの初めてです。」

「ううん、私の伝え方が良くなかったかもしれないから。初めて言われたの?働いていたら誰かしら言ってそうだけどな。」

「僕が前に働いてた会社、かなりブラックで。毎日残業だったし、毎日怒鳴られてたんです。だから…ここの会社はすごく優しいと思います。」

月岡くんはほうきで床を丁寧に掃きながら話をしてくれた。私は「そうなんだ…。」と頷きながら彼の話に耳を傾ける。

「ここの会社はどうしようもない僕を採用してくれたんですから、九転び十起きで頑張ってみます。まだまだご迷惑をおかけするかと思いますが…。」

「いえいえこちらこそ…って、うん?今何ていった?九転び…十起き?」

私が眉間にしわを寄せると、彼はキョトンとした。

「はい、ことわざでありますよね…?」

「それを言うなら、七転び八起き…では?」

「あ…そっか。それです。」

彼の言い間違いに私は思わず吹き出してしまった。すると彼も、恥ずかしそうに笑った。彼のくっきり二重の目が細くなって、それがまた可愛らしく思えた。


私の仕事と月岡くんの掃除がちょうど同じタイミングで終わったので、私たちは2人で帰ることになった。

「私、歩いて10分くらいで家に着くんだけど…月岡くんは?」

「僕も大体それくらいです。」

「そうなの!?じゃあ…もしかして私たちの家、近いのかな?方向も一緒だし。」

「僕はアパートに住んでます。チェリーブロッサムガーデンって言う名前の。」

月岡くんの言葉に私は目を丸くした。

「そのアパートって…私の家の隣のアパートじゃん。ピンクの屋根でしょ?私のアパート、緑の屋根のところだよ、パインツリーガーデンって言う名前の。」

「そうなんですね。じゃあ、隣にいるんですね。」

こんなことを話していたら、あっという間に家に着いてしまった。私と月岡くんは手を振ってお互いのアパートに入っていった。

私は家の中に入ると、思わず口を手で押さえた。

「こんなことある?隣のアパートに住んでるなんて、ドラマか映画でしかないじゃん?すごいなぁ…。」

冷蔵庫からカレーを取り出し、電子レンジにかける。私がソファに腰を掛けると、スマホに着信が来た。私は誰からかも見ず、反射的に応答ボタンを押した。

「もしもし。」

「鈴?久しぶり。突然ごめんね。晴美だよ!」

私が唖然として何も言えないでいると、彼女は話を続けた。

「昨日メッセージ送ったのに既読に一切ならないから心配で電話しちゃった。最近元気かなって思ってさ。」

「あ…ごめん、返信した気になってたかも。うん、元気だよ、ありがとう。」

ようやく私が口を開くと、彼女の嬉しそうな声が聞こえた。

「良かった!声が聞けて安心したよ。あのさ…。」

「晴美、ごめん…実は私…ご飯もお風呂もまだで。」

私が申し訳なさげに言うと、彼女は「こちらこそ急に悪かったね!またね!」と言って、潔く電話を切った。

晴美は相変わらず聞きやすいはっきりとした声でハキハキ話していた。きっと幼いころから目標にしていた教師になって、この聞きやすい明るい声で子供たちと話して楽しんでるんだろう。彼女ならきっと上手くやっているに決まっている…私とは違って。

私と晴美は小中高だけでなく大学まで同じで、どちらもずっと成績優秀だった。一緒に生徒会活動をやっていたし、同じ夢を抱いていたこともあって、私たちは良きライバルであり最高の親友だったのだ。でも、2人で向かってきた夢を私は途中で諦めた。彼女はその夢を持ち続けてちゃんと叶えた。私たちにはもうこれと言った共通点はなくなってしまったように感じている。きっと彼女もそうだろう。

私は電子レンジからカレーを取り出し、炊飯器から器に盛ったご飯にかけた。私はまた月岡くんの顔を思い浮かべてしまう。あの笑顔がやっぱり頭から離れていないみたいだ。

「私…月岡くんに会ってからずっとこんな感じじゃない?なんか…変だよね?」

私は一人で呟きながら、大塚課長に言われた言葉をふと思い出した。

ー「新入社員でも表彰されている人だっている。それなのに、岩下くん…君はまだ目立った成果を出していない。もう少し気を引き締めて仕事と向き合ってくれ。ここの支店の成果にも関わるんだからな。」

カレーを食べるスプーンを皿に置いて私はしばらく俯いていた。私は仕事に集中しなければならない。新入社員を気にしてる場合じゃないんだ。成果を出さないといけないんだ。

私は決めた。もう月岡くんのことを家で考えることは禁止にする。会社では、ただの新入社員の1人として向き合う。深く関わるのはやめよう。私は1人で大きく頷いて、またカレーを食べ進めた。


青空の下、久しぶりに海に来た。自転車で30分くらい走れば、こんなに綺麗な景色を見れるんだから都会も悪くないなぁとつくづく実感する。海を眺めながら美味しいランチが食べられるカフェでゆったり1人時間を過ごすのが私の休日の過ごし方なのだ。今日は珍しくお店が空いている。

「お客様、本日のオススメは明太クリームパスタです。これにします?」

顔見知りの店員さんが言ってくれたので、私は即決で「それでお願いします!」と笑った。店員さんも嬉しそうな表情をして厨房にオーダーを伝えてくれた。彼女は金髪が良く似合う美人な方で、貝殻の形をした可愛らしい名札には「中村」と書いてある。でも、名前で呼び合う程の距離感ではない。

私はバックから書店で買った本を取り出した。「後輩のサポート方法とは?」というテーマの本を2冊も購入してしまった。私は思わず自分自身に頭を抱える。

「もう…Tくんのことは考えないって決めたのに…。こんなの買って、めっちゃ心配してる人じゃん。」

昨日の誓い以来、月岡くんのことを「Tくん」と呼ぶことにしたのだ。

「あれ?お客様、課長とかになられたんですか?」

店員さん…中村さんが初めて声を掛けてきた。今日はお店がガラガラで余裕があるからだろう。私は驚きつつも、ゆっくりと口を開いた。

「あ…いや、全然そういう訳ではないんですけど。最近会社に新入社員が来たんです。それでこういう本を読んでおいた方がいいかなって。」

「えー!めっちゃ優しいですね。後輩思いすぎますよ。まだお若いのに。」

中村さんは人を褒めるのが上手いらしい。私は謙遜しつつも褒めてもらっていい気分になった。

「いえいえ。でも…その人が働きやすい環境が作れたらなって思ってるんです。その人は何か…ミスがかなり多くて上司に厳しく言われてたんですよね。だから、すごく心配になっちゃって。余計なお世話だろうけど…。」

「え?何がそんなに心配なんですか?」

意外にも中村さんがキョトンとしたので、私はさらに話を続けた。

「えっと…Tさんが…じゃなくて!その人が無理をしないかどうかです。抱え込みすぎたり、辛くなりすぎたりしてほしくなくて。」

「へえ~そこまで思えてるのって…もう愛ですよね!?」

中村さんが口に手を当てて言った。今度は私がキョトンとしてしまう。

「あ…愛?」

「はい。だってもうその人の母親みたいな考え方ですよね。最近の新入社員ってことは、まだ会って数回だろうに、そこまで深い愛を築けるなんて…。その人のことを心から大切に思ってる証拠ですね。」

私は思わず黙り込んだ。彼女に返す言葉が見つからずにいると、彼女は私の席から離れて厨房に向かった。私は彼女から言われた言葉が図星であることに気付き始めていた。

「お客様、お待たせしました!こちらが明太クリームパスタです。どうぞごゆっくりお過ごしください。」

「ありがとうございます。」

明太クリームパスタを早速口に運ぶ。クリームが濃厚で明太子のピリ辛がちょうど良くてとっても美味しい。私がちらっと厨房の方を向くと、中村さんがニコニコしながら私を眺めていた。私は思わず会釈して、すぐに視線を反らした。あんなに露骨に見られてるなんて、こちらとしては何だか食べづらい。

明太クリームパスタがあまりにも美味しいので、私はすぐに平らげてしまった。中村さんがすぐに食器を片づけに来てくれて、私は温かい紅茶を追加で頼んだ。それから早速、本に目を通すことにした。

「後輩をサポートするには…その人の得意分野を見付けてそれに合う仕事を割り振ってあげる…か。なるほど。あとは、その人を否定しない…その人の出来たことを些細なことでも褒めてあげる…うんうん。」

「へえ~そうなんですね。」

いつの間にか中村さんが隣に立っていて、私は「わ!」と声を出してしまった。彼女は「あ!ごめんなさい。」と謝りながらも、私が手にしている本の内容に夢中になっている。

「でも…何て言うか、これってただのマニュアルですよね。」

「ただの…マニュアル?」

私が眉間にしわを寄せると、彼女は慌てて首を横に振った。

「こういう本を読むことを否定してるんじゃないですよ!むしろ、素晴らしいことだと思います。でも、私的にはこういうのって誰にでも当てはまるものじゃないって思うんです。結局は、目の前にいるその人に向き合って、その人に合う方法を見付けるしかないんじゃないかって。」

彼女は窓から海を眺めながら、何度も自分の言葉に頷いている。

「絶対そうだと思うんですよね…だって人間って、十人十色ですもん。」

「十人十色…。」

私はふと月岡くんの言葉を思い出した。

ー「九転び十起き」

思い出しても、私はやっぱり吹き出してしまった。中村さんは目を丸くして私を見つめる。

「あ…すみません、思い出し笑いです。気にしないでください。真面目な話をしていただいていたのに…。」

「何ですか、それ。もしかして例の新入社員に関してのですか?」

中村さんは勘が鋭い人らしい。私が目を泳がすと、一発でバレてしまった。

「お客様、その感じだと…新入社員のことが気になってますね?」

「気に…なってる?それは、その、心配だからですよ。」

「違いますって!そうじゃなくて…。」

中村さんが少し間を開けると、厨房から「中村さーん!これ運んで!」と呼ばれてしまった。彼女は我に返った様子で厨房に走って行ってしまった。私はなぜかそのことにホッとし、また本を読み始めた。

それから1時間半ほど経って、私はようやくカフェを出ることにした。本は全て読み終えることができた。会計を済ましてお店を出ようとすると、「お客様!」と中村さんに引き止められた。私が振り向くと、彼女は小声で私に言った。

「頑張ってくださいね。仕事も…恋愛も。」

ポカーンと口を開けたままの私に彼女はウインクして手を振った。私は何も考えられないまま、ただただ駐輪場へと足を動かした。


月曜日になっても、月岡くんは相変わらずだった。先週よりは少しミスは減ったように思えるが、依然としてミスの多さは目立つものだった。

山田先輩はまるで生活指導の先生のように、月岡くんに私生活についての事情聴取を行い始めた。

「昨日寝た時間は何時ですか?…というか、いつも何時に寝てるの?」

「いつも…?日によって違いますけど、昨日は22時に寝ました。」

「え?遅いと何時なの?」

「遅くても0時には寝ますね。」

月岡くんは淡々と山田先輩からの質問に答えていた。私は仕事をしながら2人の会話に耳を傾けてしまう。

「うーん、じゃあ寝不足ではないのね。何か、悩んでることとかあるかしら?ご家庭のこととか、彼女のこととか、プライベートのことで。」

「…いいえ、特にないです。」

答える前に彼が少しだけ顔を俯けたのが気になった。山田先輩も何か引っかかったような表情をしている。

「月岡くん。もしかして…。」

そうです、先輩!なぜ今、少し間を開けたのか聞いて下さい。私は思わず2人の方をじーっと見つめてしまう。

「彼女さんと別れそうなの?」

「え!?」

私は心の声が漏れてしまったが、月岡くんも同じ言葉を発したのでギリギリ聞こえなかった。

「いや…そもそも、彼女いないです。」

月岡くんが頭を掻くと、先輩は目を見開いて彼を見た。

「いないの!?なんで?こんなにかっこいいのに…?」

ストレートな先輩の言葉に彼は「ありがとうございます。」と素直にお礼を言った。

「今までは?歴代、何人いるの?」

嫌な聞き方だ。しかも、もう全く仕事に関係のない話になっちゃっているではないか。

「いないです。今までも。」

月岡くんがあまりにも可哀想なので、私は思わず「山田先輩!」と声を掛けた。先輩と彼がこちらを向いて首を横に傾げる。私は何を言うのか全く決めていなかった。

「あ…あの、実は、私もいないです。彼氏。」

私は自分が何を言っているのかよく分からなかった。2人も唖然として私に目を向けている。

「いや…待って、すみません。今のは忘れてください…何でもないです。」

「私もいないわ。ちなみに言っておくけど。」

山田先輩が驚きの発言をする。私が「え?」と小声で言うと、彼女は月岡くんに真っ直ぐ向き直した。

「昔はいたけど、今はもういないの。月岡くん、今がチャンスよ。」

「何が…ですか?」

月岡くんの頭の上にまたクエスチョンマークが浮かび上がっている。私は先輩が彼氏さんとお別れしたことを察し、何も言えないまま仕事に戻った。

今日も帰りは月岡くんと2人きりになってしまった。私は本で読んだ内容を思い出し、「月岡くん。」と名前を呼んだ。彼はまた、ほうきを片手にこちらを向いた。

「今日もお疲れ様。山田先輩が変な質問したのにもしっかり答えていて偉かったね。」

私の頭の中には「些細なことでも褒めること」にチェックマークが付いた。

「ああ…あの謎の質問タイムですよね。あれって、何が目的だったんですか?」

月岡くんが顎に手を当てて悩み始める。私は慌てて本の内容をまた思い出した。

「まあまあ、とりあえず今は掃除に集中してみようか!掃除、月岡くんの得意分野だもんね。」

私の頭の中には「得意分野で仕事を与えること」にチェックマークが付いた。

「いや…掃除、そこまで得意っていう訳でもないな…。でも、集中してやります。すみません。」

丁寧にお辞儀をして、彼は掃除を続けた。私は少し腑に落ちない感情を胸に彼の後ろ姿を眺めた。やっぱり…中村さんの言っていたことは正しいのかもしれない。あの本に書いてあったことは単なるマニュアルに過ぎず、万人に当てはまるものではないということだ。

私はもう一度彼の名前を呼んだ。彼は「はい。」と返事をして、またこちらを振り向く。

「何度もごめん…あのさ、月岡くんの得意なことって何なの?」

「うーん、僕の得意なことは…。」

彼はじっくり悩んで、ようやく口を開いた。

「けん玉です。」

「え…?」

私が目をパチクリしていると、彼は嬉しそうに話を続ける。

「どの皿にも玉を乗せられます。一発では…たぶん無理ですけどね。」

「それって…得意なのかな…。」

苦笑いする私に彼はふふっと笑った。

「あ、そっか。これは得意って言わないのか。勉強になりました。」

私と月岡くんは顔を見合わせて大笑いした。この会話はあまりにも社会人同士のものとは思えなかった。彼は笑い涙を手で拭って、また掃除に取り掛かる。彼の笑顔を見ると、どうしても私の胸の高鳴りが大きくなって、私はそれを苦しいほどに感じてしまう。もう自分の胸のときめきを抑えることができない…そんな気がしてならなかった。


つづく

ご一読いただきありがとうございました♪次回もお楽しみに!

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