表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女が幸せになるルートを選択したら何故か、俺が迎える筈のバットエンドが消し飛んだ  作者: 星雷はやと@『論破してみたら~』4月10日発売!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/13

第七話 帰還

 


「……し! 失礼いたします!!」


 スプーンを口に含む寸前のところで、扉が乱暴に開く。そして弓使いのパルスが駆け込んできた。


「……っ!」


 俺は思わずスープを飲む手を止める。


「な、何事だ!? 王太子殿下の食事中だぞ!?」


 ビュレット公爵は突然入ってきたパルスに怒鳴り声を上げる。パルスの乱入により、俺がスープを飲むことを止めた。それにより、俺を傀儡人形にするタイミングが中断したのだ。ビュレット公爵が怒りを露にするのは仕方がないことである。


「そ、それが……侵入者が……ぐえっ!?」


 パルスが弁解を口にしょうとすると、彼の背後にある扉が吹き飛んだ。そしてパルスはその扉の下敷きになる。


「こういう理由ですよ。お久しぶりですね、ビュレット宰相?」


 凛とした声が響くと、廊下からジュリアが姿を現した。


「……なっ!? 聖女ジュリア!?」


 ジュリアが突然登場したことに、ビュレット公爵は驚愕の声を上げた。それはそうだろう。ビュレット公爵が出した命令により、ジェームズたちが処分したと思い込んでいたのだ。ジュリアの生存は、ビュレット公爵にとって大変都合が悪いのである。


「……ジュリア?」

「はい! アレン様! 只今、聖女ジュリア戻りました」 


 ゲームの展開よりも帰還が異様に早い。俺は不思議に思いながら、ジュリアの名前を呼んだ。するとジュリアは、花が咲くような笑みを俺に向けた。彼女が無事であるのは大変嬉しいが、少々ゲームの進行とは異なるようだ。


「くっ! 何故、無事なのだ!? 何故此処に居る!?」

「私は貴方の恐ろしい計画を阻止する為に戻ってきました」


 俺がジュリアの無事に安堵していると、ビュレット公爵が叫ぶ。ジュリアが無事であり、王城にいることが信じられないようだ。それに対してジュリアは、冷静に帰還の理由を告げた。


「なっ……なにを根拠に!? その様なことを……」


 ビュレット公爵は、落ち着いたジュリアの言葉に苦しそうな表情を浮かべる。


「私を魔王国との国境で、激流へと落とす際にジェームズたちが得意げに語っていましたよ。アレン様を操り、ブルーリナ王国を乗っ取る計画だと。そして一部の魔族と取引をして、私腹を肥やす算段だということも知っています」


 ジュリアは毅然とした態度で、ビュレット公爵の計画を告げた。如何やら計画が露見したのは、ジェームズたちが原因のようだ。優位な立場になると、得意げに語りたくなるのは良くない癖である。だからジェームズは騎士団長の器ではなく、今までなれなかったのだ。


「っ!? アレン王太子殿下、あの者の言葉など信じてはなりません! 聖女ジュリアではありません! 聖女を語る逆賊です!」

「……ビュレット宰相」


 形勢が不利だと判断したビュレット公爵は、俺を誤魔化そうとする。ジュリアとビュレット公爵のどちらの言葉を信じるかなど、初めから決まっている。俺は憐れむようにビュレット公爵を見た。


「……っ!? 殿下! 私は!」

「無駄です! アレン様はビュレット公爵の計画を見抜いておられます。このお守りを渡して、私を守って下さったのです!」


 ビュレット公爵は表情を強張らせると、尚も言い募ろうとする。しかしそれはジュリアの追撃により阻まれた。


「ちっ! ジェームズ! リンジー! 何処だ!? この侵入者たちを排除しろ!!」


 話し合いでは埒が明かないと判断したビュレット公爵が、廊下に向かって声を張り上げた。ジュリアは強いが、二人を呼ばれたら多勢に無勢である。


「無駄だ。奴らはルーク騎士団長が倒した」


 俺がジュリアの心配をしていると、廊下から新たに一人の男が姿を現した。漆黒の髪に頭部に生えた黒い角。


 魔王であるシベリウスが立っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ