第一話 報告
「王太子殿下、ご報告いたします……」
緊張が支配する謁見の間。俺の目の前には3人の男女が跪いている。鎧を身に纏う騎士である、ジェームズが重々しく口を開いた。
「その……聖女ジュリア様は、魔物との戦闘でお亡くなりになられました」
その報告を耳にし、俺は『嗚呼、やはりな』と一人納得する。送り出した時には4人居たメンバーが、帰還時では1人欠いているのだ。その人物がどうなったかは、明白である。
「魔族たちは、我々の話も聞かずに突然攻撃をしてきました。聖女様は我々を逃がす為に、自ら残られて……」
「私たちも共に戦うと、申し上げたのですが……。殿下に、戦況の報告をするようにと託されました……」
パーティーリーダーである、ジェームズが発言したことにより他2名も報告をする。弓使いのパルスと、魔法使いのリンジーだ。3人とも、苦悶の表情である。
「聖女ジュリア様を失うという痛手……申し訳ございません。しかし! 王国騎士団と魔術師団の総力戦を上げて、魔族たちを根絶やしにしましょう!! 聖女様もそれを望んでおいでです!!」
痛いほどの静寂を破り、ジェームズが魔族との全面戦争を提案する。聖女ジュリアを含めた4人を送り出したのは、魔族との和平交渉の為だ。しかしそれは、聖女ジュリアが欠けたことにより絶望的な状況になった。
「……そうか、報告ご苦労。皆、疲れただろう。ゆっくり休んでくれ」
俺はジェームズたちに労いの言葉をかけると、謁見の間を後にした。




