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美形天才王子の長期戦 ~周りから完璧王子と言われるけど、彼女は難攻不落だったので長期戦で行きます~  作者: りなる あい
番外編

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7. 「あの子を見ていると、まるでわたしのようだ」

(王様視点)


「あの子を見ていると、まるでわたしのようだ。」


王族に生まれたというだけで、多くのものを背負わせてしまっている。

婚約もその一つだ。

国同士の安定のためにと、わたしはラングリンド王国のシアンヌ王女とソランティアの婚約の話をつけた。


「国王陛下が下された命であれば、従います」


ソランティアは一切文句を言わずに、その婚約を受け入れた。

何も考えていないのか、平気なのか、それとも王族の責務だと思っているのか…


留学の期間も決まり、夏休みに王城で最後の時間を過ごしている時にソランティアから提案があった。


「父上、留学前に、一つだけわがままを言ってもいいでしょうか?」


第二王子だから、国交のために婚約をさせたのだ。

一つくらい、わがままを聞こうではないか。


「それはなんだ?」


「留学を一ヶ月、待っていただけないでしょうか?学期初めの青春祭に出てから、留学へ行かせていただきたいのです。」


「そういうことか、いいだろう。大切な学校行事だ。好きにしたら良い。わたしの方からラングリンド王国へ伝えておこう」


ソランティアの目がキラッと輝いた。

それほど青春祭に出たかったのか。

なんでもスマートにこなすものだから、このような学校行事に精を出すのが意外に感じられた。


それから王子は毎日忙しそうにしていた。

何をしているのかはわからないが、机に向かって何かしているかと思うと、虹色ベールの魔法を使って、何か練習を繰り返しているようだった。

息子が真剣に取り組む姿をみて、わたしも微笑ましかった。

その時のわたしは、その後の衝撃の事実など知る由もなかった。



✳︎



青春祭が終わり、家に戻ってきたソランティアに声をかけた。


「青春祭はどうだった?」


「間に合わないかと思いましたが、なんとか発表することができました」


ソランティアの言葉に驚いた。

あれほど一生懸命準備していたのに、それでも時間が足りなかったのか?

自分で言うのもなんだが、息子のソランティアは魔法の才能がある。

何でもそつなくこなすタイプだ。

そんな息子でも難しいとは…

いったいどんな魔法で演出をしたのだろうか…


「存分に出し切ったので、もう心残りはないです」


そう言うソランティアは切ない表情をしているようにわたしには映った。

まるで、目から光が消えたかのような気がしたのは、わたしの気のせいだろうか…


自分の息子だが、わからないことだらけだ。

このことをティアーナに伝えると


「そうね、とても一直線な子よね。あなたみたいに」


と言われた。

どうして私みたいだと、妻は思ったのだろうか…



✳︎



青春祭でソランティアが披露したのは、3曲のバラードだと後日聞いた。

第二王子ソランティアの作詞作曲ということを伏せて、リリースしたところ、街中で人気曲となっているらしい。


その曲を妻と一緒に聴いた。

繊細な感情を表現している歌詞を聞いた時、これはソランティア自身のことを歌った歌だと直感した。

誰かを思って、この歌を書いたのではないか?

恋をしていない男が、こんな曲を書けるとは思えない…

わたしは何か間違ったことをしてしまったのではないか?

息子に無理やり婚約を押し付けてしまったのではないか…

わたしの中でさまざまな感情がうずめく。


ソランティアに確認しようにも、留学中だ。

すぐに息子の気持ちを聞くことができないし、本当の気持ちを話してくれるとも限らないのではないか…


わたしの横ではティアーナがゆっくりとバラードに聴き入っていた。

自分の思考は置いておいて、ただ’感じる’に集中している彼女が美しかった。

全て聴き終わってから


「ソランティアの想いが、その人に伝わったら良いわね」


と穏やかにいう。

王族、婚約、しがらみなど関係なく、1人の人へ向けた想いが届いたら良いなと思えている妻の純粋な心が、わたしは綺麗だと思った。



✳︎



ソランティアは年末に留学先から一時帰省のために王城に帰ってきた。

ゆっくりするのかと思えば、すぐに支度をして、今夜、学校で行われる冬の舞踏会に参加するそうだ。

息子のことだ、騒ぎなど起こさずに密かに行って楽しんでくるのだろう。


………



「ただいま戻りました」


案外早く帰ってきた。

舞踏会から帰ってきた息子を見た時、一瞬泣いているのかと思った。

憂に満ちていて、切ないような、悲しいような表情をしていたからだ。

わたしはかける言葉が見つからなかった。

息子が何か感じているのはわかったが…


「お帰りなさい。楽しんできた?」


そう言って優しく声をかけるティアーナに救われた気がした。

彼女もきっと、何か感じている。

でも、いつものように接している。

これも優しさだと思った。

その日は疲れていることもあり、ソランティアはすぐに寝床へいったようだ。

数日間、王城で過ごすということだったから向こうの留学の話を聞いてみた。


「ラングリンド王国では、よくしていただいてますよ。攻撃特化の学び、実戦も多いので、吸収したいことばかりです。とても恵まれた環境で学ばせていただいてます」


ソランティアがそう言うから、わたしは少し安心した。

けれど、息子の核心部分にはなぜか触れられない気がした。





続きは明日投稿します!

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