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水屋詩集  作者: 水屋 燈
33/40


僕らは春を失っていた。

夢を賭けていた、

春を失っていた。

奪われたわけでも、捨てたわけでもない、

ただ、春を失った。

年中の冬。

冷たい日々の中で、

普通の、典型的な、平凡な、マンネリ化した、

思い出を経て、

夏を過ぎた。

暑い夏だった。

幸運ではないが、不幸ではない。

僕らの夏だった。

何にも、誰にも、奪わせない、

誰も失えない、

夏だ。

僕らの春だ。


明日、また、夏が来る。

しかし、

それは欠けてやってくる。


春が来なくったって、出会いはやってくるのだ。

春が来なくったって、別れはやってくるのだ。

春が来なくったって、四月はやってくるように。

夏はやってくる。

特別な、

僕らの思い出のために。

やってくる。


欠けた月は美しい。

けれども、僕に、本来の現実を押し付ける。

冬が終われば、春が来ること。

春が終われば、夏が来ること。

そして、夏は終わり、秋が来て、冬が来る。

春が来る。

夏が始まる。


春を失った僕らに、

また夏がやってくる。

夢を失った僕らに、

夢を与えた、

夏がやってくる。

幸福だった僕らの思い出を、

過去にするため、

夏がやってくる。


僕らのために。

夏はやってくる。


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