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眠りながらにして花は愛でられない / 青い想い
「眠りながらにして花は愛でられない」
快晴の空 蒼い空
浮く僕の歌声を
誰かが聞けばまた過去へ遺し
遠く山の朝焼けを
誰かが聞けばまた未来想う
明くる朝 見えず花の色
風は行く
人は語り部。
また夏が来る
君は春
風鈴の音、知らせ 君を探すと
あゝ美しきや 根づく花
瞼が閉じたとて 見える様に
白く焼きつく花を僕は選ぶ
向こう日きっと、君届く
白む空 明くる朝
君は行く
人は語り部。
どうか聞け
「青い想い」
貴女の影を追い、
暗い、月のない夜
星のない夜
水に濡れたレンズの奥に
オレンジ色の落星を
一度見た日を忘れずに
声を、姿を、名前を、
全て分からない
ぼんやりとした女性の記憶だ
私の知る誰でもない
ただ そういう存在なだけだ
貴方は貴方でしかない
少し赤と黄を帯びた街灯
色。
海は暗い。暗青。
手を置いたその煉瓦はいつから
寝静まる