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第21話 季節外れの雪③


 トゥルク連峰。

 バルドゥル王国の最北端に位置する山々。


 その連峰の中でも一際高く、頂上に近づくにつれますます鋭くなっていく山がある。


 この地方では、その山は『氷雪の霊槍(アイスジャベリン)』と呼ばれる。

 そこには高位の氷の精霊たちが住んでいると信じられている。


 イフリートと俺がこれから目指す山はまさにそれである。

 しかし、生憎と雪が降り続いており、地上からその山頂を見ることは出来ない。


 そういうわけで、今日は降雪の中、イフリートと魔法の訓練を行うことになった。


「ケントは4体の精霊王と契約をしているから、ある程度強い魔法を使っても魔力切れを起こすことはない。魔法の出力を上げるだけならばすぐに出来るはずだ」


 イフリートは上空に向けて、巨大な火柱を作りながら言う。


「うん。特に難しくはなさそうだ」


 俺もイフリートを真似て、どんどん火柱を大きくしていく。


「一方で風魔法で空を飛ぶという行為は、どの方向にどれだけの風を発生させて浮き上がるか、さらに空中で常に体勢を維持することも考えなければならない。つまり、複雑な魔力の調整を必要とする魔法なわけだ。これには訓練がいる」


 俺は昨日、エリナを助けようとして飛翔し、雪山に猛スピードで突っ込んだことを思い出す。


「それで、どんな訓練をすればいいんだ?」


「ケントは4属性の魔法を使えるからな。やはり風魔法の飛翔か。あるいは、地魔法で岩を作って、それを自分の飛ばしたい方向に風魔法で正確に飛ばす。そんなところであろうな」



「炎魔法じゃないんだな」


「炎魔法を扱う人間は火力ばかりを求める傾向があって、あまり魔法をコントロールする訓練はしないようだな。ただし、炎魔法も調整が上手くなると、こういうことが出来るようになる」


 イフリートは先ほどよりも更に巨大な火柱を作る。

 そして、それをどんどん手元に凝縮していく。


 最後に火柱は、紅色の長剣となった。

 その刀身から炎のオーラが放たれているのが見える。

 そして、その剣からは、今にも爆発しそうなほどの強力なエネルギーを感じる。


「まあ、近接戦闘用だな。威力は物凄いぞ」


 イフリートは、長剣を見ながら自慢げに言った。


 それから俺は、飛翔と炎の剣作りをひたすら練習したのだった。



 ***



 魔法の訓練をすること、2日、3日、4日……。

 カヤニ村に降る雪は一向に止まなかった。


「飛翔も炎の剣作りも、すっかり出来るようになってしまった……」


 俺はイフリートに言われた魔法の訓練をひたすら繰り返し、目標を達成してしまった。


「うーむ。基本的な魔法の使い方は習得したようだな。まぁ、炎の剣はまだまだ魔力を込めることはできるがな」


 ……なるほど。

 炎の剣はもっと強く出来るわけだな。

 今の実力で剣の形を保てるぐらいの魔力量に抑えているからな。


「炎の剣にもっと魔力を込める訓練はこれからも続けるとして。次は、属性の違う魔法を同時に使う訓練でもすれば良いのではないか?」


「この前、イフリートが言っていた岩石飛ばしみたいなやつか」


「あれは一度岩を作ってしまえば、地魔法を使い続けるわけではないからな。ケントは4属性を使えるのだし、組み合わせもたくさんあるわけだが……。例えば、炎の剣を維持しながら、風魔法で身体の動きを加速させるとか」


「なるほど。近接戦闘の幅が広がるな」


 まぁ、俺は戦闘狂でもないし、どちらかと言えば争いごとは嫌いなんだけどね。


「最強の魔法使いへの道は、始まったばかりだな!」


 いや、最強の魔法使いなんて目指していないんだけどね……。


 まぁ、山の天気も回復しないし。

 自衛のためだと思って、魔法の訓練を続けるか。


 この日から、俺は属性の違う魔法を同時に使いこなす訓練を始めた。



 ちなみに、最終的にはこんな訓練をすることになった。


 地魔法で作った大きな岩石を、風魔法で空中に浮かべる。

 その岩石に向かって、水魔法で上空から水をジャボジャボと注ぐ。


 この水濡れ岩石を仮想敵とするわけだ。


 俺は炎魔法で作った剣を持ち、風魔法で加速しながら、この水濡れ岩石を斬りつける。

 そして、斬りつけられて壊れた岩石は、地魔法で修復し続ける。


 ……もう、何が何やらという感じではあるが。

 俺の魔法の調整力向上と魔法の複数使用の訓練は着々と進んでいくのであった。


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