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異世界でもチートがあれば幸せになれるのか?  作者: 立花
1 エゴイスティック≒ヒロイック
1/10

1.私、直感は信じるタイプなので!


初めまして皆様、ご機嫌よう。

私、秦野朔と申します。

ついノリでご機嫌ようとか言ってしまいましたがごく普通の中流家庭で育ってます。

中学生の頃に両親を事故で亡くし、以来母方の祖父母、つい最近までは姉と共に暮らしていました。

現在高校3年生。

といっても卒業式は終えているので高校生といえるかは微妙なところですが。

まあ私の身の上などはいいんですけれども、それより聞いてください。今の私の状況を。


えー端的に申しますと、現在私初対面の男性のお腹の上に跨っているところです。しかも場所はベッド。

うん、痴女かな?

おかしいなーさっきまで友達と遊んだ後でうっきうきしながら帰路についてたんだけどなー?

綺麗な月夜、青く静まり返った道路のシチュエーションに心くすぐられすぎてスキップしたのがいけなかったのかなー?

足が着地した途端地面がぐにゃりと凹んで気づいたら空中に投げ出されてた。

そんでなぜか男の人が寝てたところに落ちた。

下に人がいるのに気付いた瞬間幸いなことに落下速度が非常にゆっくりになったので押し潰してはいないはずだが、「うっ」って言ってたのでやっぱり重かったみたい。

というか考えたらそもそも余裕あったし避ければよかった話。大変申し訳ないです。


「わっ!」


早く退こうとベッドに手をつき直したらそのまま大きな手に掴まれた。

ベッドの上で男の人に手を掴まれるというなかなか身の危険を感じる状態のはずだけれど、不思議と危機感はない。びっくりはしたけど。

こう、力の入れ加減が絶妙なのだ。

動かせないけど力を入れられている感がない。包み込まれているという感じといえば分かりやすいだろうか?

寝起き襲われて(襲ってないけど!)ほぼ無意識下でこの対応。

彼、もしかして普段から気遣いができるタイプの人なのかもしれない。

もしくはめっちゃ女性に触れ慣れているか。

顔立ちもとても端正だし可能性は大いにありそう。


……いや本当に綺麗な人だな。

ホワイトアッシュの髪に白い肌、日本人ではまず有り得ない色彩を持った人。

モデルさんとかならとても人気がありそうだ。あんまりモデルさん知らないけど。

髪もさらさらしてる。

男性で背中まで髪が伸びている人は初めて見たけれど、繊細な美貌によく似合っていると思う。

私は曾おじいさんに似て髪が太めだし天パではないが時折思い出したように跳ねる、よく言えば…言えるとするなら無造作ヘアなので羨ま……恨めしい!

などと現実逃避していたらお兄さんが本格的に起きた。

ぼんやりとしていた瞳が真っ直ぐにこちらを向き、深い海のような優しい色に捕らわれる。


「ーー?」


あっ何言ってるか全然わからん。

そうかなーとは思ったけど、やっぱりわからない。不味い。

納得してもらえるかは別として、弁明しないと私は夜にお宅に不法侵入した上男性に跨る痴女に問答無用で確定なのに!

とりあえずどうにか彼がなんて言ってるのか理解しないとーー


「なるほど、刺客ではなさそうだ……となると夜這いかな?悪い子だね」


はい、突然言葉がわかるようになりました。

そしてやっぱり痴女認定されそうになってた!

大変に困る…有罪になったらなにか替え難い大切なものを失う気がする。

でもこんな言語初めて聞いたわけだし、当然喋れない弁明できない。

急に言葉がわかるようになるなら、急に話せるようになったりもしないかなーなんて。無理か。

仕方ない。

英語の佐藤先生曰くコミュニケーションは心!つまり大事なのはテンション!頑張って押し切ろう!いざ尋常に!!


「夜這いじゃないです信じてください私も訳がわからないんです!あと上に乗っちゃってごめんなさい!!この体勢重くないですか苦しくないですか!!」


……はい、何故かスピーキングもできるようになりました。

この際特に理由は考えないです。

まずはこのラッキーに感謝しつつ誤解を解こう。

それとお兄さん後者だったっぽい。

夜這い仕掛けられたかもと思ってもこの余裕。というか若干歓迎されてるまであったよね。

しかしそんなお兄さんも流石に私の勢いに呆気にとられている様子です。

ごめんなさいお兄さん、でもついでにひとつ聞きたいんです。なんとなく自分の中に確信があるので、これは確認に近いのだけれど。


「ここはどこ……じゃなくてええと、なんという国ですか?」


「え?……エストラフ王国だけれど」


お兄さんの目が怪訝そうに細められる。

そうですよね。こんな質問変ですよね。

なのにちゃんと答えてくれてありがとうございます。あと本当に苦しくないですか。声を聞くに余裕そうですね。よかったです。

そして案の定聞いたことない国だな。

センターガチ勢だった私は、試験用に地理と世界史を勉強してる際に国名は結構覚えた。

もちろんそれは全部ではないが、覚えてないにしても聞き覚えすらない国はそうそうないはずである。


……私の世界の話なら。


お兄さんは私が混乱していると思ったのか(実際そうだけど)、今度は気遣わしそうに眉を寄せた。

どうやらお兄さんは前者でもあったらしい。


「君は……?」


問われて、今更ですかなんて笑うこともできず返事に窮した。

さっきまでのハイテンション空元気で乗り切っていい場面じゃない。

それに私にとってもこの質問は慎重に答えるべきものだ。

問題は、話して信じてもらえるかではない。

そもそも話すかどうか、この人を信頼するかどうか。

だって見知らぬ場所、初対面の人だ。

信頼したとして、もし彼が善人の皮を被った酷い人だったらどうする?

一度信じてしまえば、無知な私は彼に何をされたかすらわからないまま利用されてしまうかもしれない。

誤魔化してしまおう。

弱い私が囁く。

勢いに任せて適当に誤魔化して、さっさと逃げてしまえばいい。きっと彼は無理やり引き止めはしない。

どこに逃げるかなんてわからないけど、まあ一晩くらいなんとかなるだろう。

今後のことはそれから考えたらいい。余計なことなんて言う必要ない。


(でも……)


掴まれていた手は、今は僅かに触れているかいないかというくらい緩められている。

……私がいつだって逃げられるように。

彼が起き上がろうとしないのは、多分混乱している人をより怖がらせないためだ。

彼は私へ出来る限り誠実に応じようとしてくれている。こんな、誰かもわからない人間のために。

その優しさが不安に揺れる私には酷く嬉しくて、嬉しかった。

だから、


「初めまして。私、朔といいます。多分異世界から来ました」


言って私は精一杯の笑顔を浮かべる。

初対面の相手に話しかけるときはまず誠意を込めた笑顔から。それなりの年数学生生活を積み重ねてきた私の処世術のひとつである。

私に敵意がないと伝わればいい。

そしてできれば、できたらでいいから、話を聞いてくれたら嬉しい。



だって私は、貴方を信じると決めたから。


















観覧ありがとうございます!


こういうTHEラノベみたいなタイトルの作品をずっと書いてみたかった!

タイトルつけただけで満足…しちゃだめですね、頑張ります。


執筆速度の遅さはもうどうしようもないんじゃないかってレベルなんですが、あと5話くらいは導入なのでそこだけでもテンポ良く上げたい(願望)


プロットの時点でもう長そうでいつ作者の心が折れてもおかしくない感じですが、朔ちゃんには異世界での経験を通じてどんどん変わったり成長していってもらいたいので出来る限り頑張ります(2回目)


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