えげつない作戦会議と一滴きの可能性 2
頑張りました許してください。
ストックで貯めてた分を徹夜で前の文とおかしくないか直していました。
……いや書きますよ?ただ休息ください。失踪はしません。
あと一瞬でも反応してくれた皆様ありがとうございますm(_ _)m
この世界に来てたくさんのことが起きたけど、ただ一つ変わらなかったことがある。
八千代や町子ちゃんのように外部から来た奴には作用されていないのか、それから今のところアークネスには反応はないけどこの世界に生きる人、全てに共通なのかまでは分からないが明らかにそれがあることによって状況が変わっている。
「じゃあアークネスの前に俺からひとついいかな?」
「へ?あっ、はいどうぞ凪人さん」
俺から案が出ることをあまり予想してなかったのか、すっとんきょうな声を出しながら返してくる八千代。
「俺からはこの世界に既に作用しているものについて話がある」
「作用ってなんかあるかな?全面的に凪人くんに不幸が降りかかっていることぐらいじゃない?」
そう言いながら首を横に傾げる町子ちゃんだが、この世界に来たのが今しがたなのでわかっていないのだろう。八千代やアークネスも含め、みんなみんなわかっていない様子だ。
「単刀直入に言うと、この世界にBLの本が認知されているのではと俺は思っている」
「「え?な、なんで?」」
「BL本ってなんスか?兄貴」
やっぱり最初はそんな反応をすると思った。称号が届いたと同時に俺も『は?なんでこんなよくわからない称号もらはなきゃならんのじゃ!』とは思ったが、ファルスと戦ったことでより明確となった。
「BL本の説明は後にしてこの世界に来て1番最初に俺たちがこの世界にもたらしたものはなんだと思う?」
「それがBL本とかでも言うんですか?凪人さんが作った公園だと思っていたのですが……」
「いや公園は作るのが少し遅れたし、何よりもセシリア達を雇う交換条件としてBL本が先に裏で出回っていたんだ」
俺も薄々おかしいとは感じていたが、まさかここに来て作用しているとは思いもしなかった。
「確かにこの世界に来てからのBL本の恩恵は素晴らしかったと思います。セシリアさんとの交渉材料だったのに一躍有名になって新聞にも書かれていました」
「いやそれだけじゃないんだ。明らかに関係ないであろうファルスにも作用が働いていて、あれほど殺気があったはずなのに一度攻撃するのをやめた」
まさかファルスに効くはずがない、と思っていたが一か八かやってみて正解だった。町子ちゃんの本は本当に余計だったけど…。
「だからここに来た時成り行きではあるけど、エウリアさんが『何かここにはないものを建てくれ』と言っていたことで、この世界に外部から初めて干渉が働いたのではないかと推測した」
「じゃあ一歩間違えていれば『BL本』じゃなくで『公園』がこの世界に作用していたってことですか」
「そういうこと。これが真の不幸なのではと正直疑いをかけてはいるし」
もしもの可能性を考えてみるが、公園だった場合は世界各地に公園が突如現れた可能性もあるのではないかと思ってしまう。
逆に公園だったら公園内限定で不幸が起こらない効果があるかもしれないけど、持ち運べるものでかつ簡単に量産できる物でよかっただろう。
そういう意味ではセシリアが交渉材料を必要としてくれていてある意味助かった。
もしかしたら、交渉材料を用意しなければいけないという不幸に対して、持ち運べないし作るの一手間な公園といった不幸な選択肢が、同時に作用し不幸がぶつかり合って相殺されたのではないかとも思ってしまうが考えないようにしている。
いや、怖いから途中から考えるのをやめた、の方が正しいが。
「それなら有名になったのも納得いきます。考察の観点が素晴らしいし、凪人さんなら私たちのような国の中心で働くことだってできそうですね」
「じゃあその『BL本』って言うのが兄貴達によってこの世界に作用されたって感じッスか?」
「そう言うことになる。そこでだ!あの聞きたいことがあるんだが、これはセクハラになるかもしれないけど町子ちゃんか八千代でBL本を持っている奴はいないか?」
我ながら変な質問をしてはいのだがアークネスを使って試してみたいことがある。実験体になってもらうのは申し訳ないが、幸いなことにここにBL本の影響をまだ受けていない奴がいて助かった。
「も、持ってないですよ。セクハラですかなんなんですか!」
「あ、僕は持ってるよ〜。たまに参考にさせてもらうこともあるからね、創作のオカズにも使えるし」
……前者と後者で反応が真逆じゃないか。それに町子ちゃんに関しては平気な顔でオカズとか言っているし、やっぱりこの人たちといると、女の子の思考回路が分からなくなってくる。
そう考えているうちに町子ちゃんが背負っていたバックの中から、誰でもわかるように大きくR18と書かれた本を出す。
まさかのR18の方でびびったが、よくよく考えてみると町子ちゃんも歳上で成人しているわけで、改めて童顔な彼女からは考えられない物が出てきたことに驚きを隠せない。
「あっ、ありがとう。それでアークネスには過激かもしれないけど、その作用を観察するために見てもらっていいか?」
「わかったッス。これを見ればいいんスよね?」
「そう。それでギリギリ当たらない範囲で俺に攻撃しようとして、攻撃が起きなかったら作用されたことになる」
「えっ、本当に攻撃しちゃっていんスか?なんか契約している主人に攻撃するってなんか変な感じするんスけど」
「いやできるだけ当たらないようにな。振りじゃないからな、とにかく共通して作用するか知りたいだけだから。それにほら、もしなんかあった時は八千代に食い止めてもらうから」
そう言うと安心したのか渡された本を凝視しながら読み始めるアークネス。
次の瞬間、目と鼻の先に攻撃してきたアークネスの腕が止まる。
「これは判定がいまいち分からないが一応すこしは作用したということでいいのか?」
「そうですねぇ、私が見た限りではアークネスちゃんの攻撃が当たりそうになったので、一瞬凪人さんの目の前まで来たのですが、壁ができるように攻撃が跳ね返されていました」
そうかそうか、多分俺と契約したから影響はあまり受けなかったのかもしれないけど、一応作用はしていたらしい。
………というよりよくよく考えたてなによりも怖いのが、あの一瞬で俺の目の前まで来て問題なく元の位置まで戻った八千代の方なのだが……。
「確かに兄貴に攻撃した時なんか反発したような感じがしたッス」
「それで後は特に何か変わったことはなかった?」
「こんな世界があったんだなぁってためになったッスね。それからすこし、身体がポカポカして下あたりが変な気分ッスね」
「うぉいおい待て待て。とりあえず深呼吸して落ち着こう」
アークネスが興奮してしまったがとりあえずは成功した。まぁ効果がわかっただけ良しとするべきだ。
「じゃあ最後に私からいいッスか?」
深呼吸を沢山して落ち着きが戻ったのかアークネスが手を上げた。
「そうだ、ごめんな先に言わしてもらって」
「いやこのくらいいいッスよ、兄貴ッスからね。それより私からは2つほどあるッスね、これを見てくださいッス、これを!」
そう言いながら八千代が出した地図を背伸びしながら必死に指差すアークネス、ギリギリ届かない位置だったのだろうか、正直めちゃんこかわいい。
「疑問に思ったことがあるって言ったッスけどどこかと言うとファルスのいた場所なんスよ」
「……浅田から聞いたなら大体の俺らの居場所は特定出来るはずだろ?」
「いや……これは第6魔王軍にいて、かつ自由に動ける幹部だった私じゃないと知らない話なんスけど、魔王城からここまではテレポートしないと10日はゆうにかかるんスよ」
「じゃあテレポートを使ってくるしかないわけだ」
「そうなんスよ。でもテレポートが使えるのってこの世界に私を含めてごく僅かで、特に第6魔王軍は私だけだったりするんス」
ということは事実状10日もかかるからいるのはおかしいってことか。確かに出発した日にちとではかなりのズレが生じる。
「でもたまたまテレポートができるやつに会ったんじゃないか?それならおかしくはないが」
「いやこの日の朝私が起きた時には普通にいたし、テレポートができる人はこの付近には私しかいないッス。
後は何故か知らないけど、八千代姐さんは戦っている時に私がテレポートをしたら『いいなぁ』って言って使いこなしてたッスけど、本当に数えるくらいなんスよ!」
八千代さん本当にパネェっす。ここまでくるともう恐怖すら超えて一周回って笑えてくるっす。
「つまりはアークネスと八千代が知らない以上浅田に会うことすらほとんど不可能になるな」
「それは本当に気になりますね」
「僕も気になるけどさっきから八千代ちゃん凄くない?凪人くんが悲しくなる気持ちがわかってきたかも……」
「いや……もう諦めた。それよりもう一つの方はどうなんだ?」
「えっともう一つはさっきの女の子ッスね。金髪の子。あの子魔族の血がすこし入ってるッスよ?」
「え?ええええ、あの元鳥籠が?確かに人間の枠超えてるけど……」
まさかのカミングアウト、これはBL本よりびっくりしたかもしれない。まさかあのセシリアが魔族と人間の混合なんて思わなかった。
「な、凪人くん。ちょっとまずいかもしれない。何かが盗み聞きしていると思って僕扉に向かったら、そのセシリアちゃんが聞き耳を立てていたみたい」
様子を見るため町子ちゃんの方まで行ったが、そこには案の定気絶しているのか、扉の裏には口をあんぐり開けて床と平行に倒れ込んでいるセシリアがいた。




