えげつない政府ともう一人のサポーター 1
夏休み前には書き終えようと思ってました。2017からしたら見違えるほどの更新頻度だと思います。
手持ちに後3話分あるので隙を見て投稿していきますね
やってしまった。
「そういえば2人は会っちゃ駄目なの忘れてた」
「そうでしたね。セシリアちゃん曰くアークネスちゃんが野原一帯を血の色に変えたとか言って怖がってましたもんね?」
いやアークネスに限っては絶対そんなことないはずなんだけど―
……あれ?めっちゃ焦ってない?顔からすごい汗出てるんだけど。
「アークネスちゃんが野原一帯を血の色に変えたって本当ですか?隊長もちょっと気になります」
これにはさっきまで土下座の姿勢だった町子ちゃんも乗り気になって反応する。
「わ、私はやってて、ないッスねぇ。た、多分誰かと見間違えたんじゃないんスか?」
「声引き気味になってるぞ。正直に話そうぜ」
「すいません、私がやったッス」
あれ認めんの早くない?嘘が下手なのは可愛いところだけどそんな重大な内容でもないのだろうか?
「えーっと、何から話せばいいんスかねぇ。……うん。じゃあまず兄貴はここに来てから魔物を見たことはあったったスか?」
「いや運良く見てないけどギルドの中級依頼書にも書いてあるグリフォンとかミノタウロスとかいるじゃんか。あれが魔物だろ?」
俺の答えにアークネスが歯切り悪く答える。
「いやそれもそうなんッスけど、じゃあ分かりやすく言うッスね。
スライムやオークとかの弱い魔物をこの近辺、特にアルトリアの近くで見かけたことないでしょう?兄貴達は」
そう俺たちに問いかけてくるが、アークネスの言っていることは説明不足でいまいちよくわからない。
「つまりはなんで弱い魔物が一切いないのか不思議じゃないかいというのと、もしかしたら隊長の推測だけどその魔物と辺り一面血の色だったっていう事に関係があるんじゃないかい?」
「……(コクコク)」
流石すごいところで働いているだけある。
俺が困惑しているのを見て、わかりやすいように町子ちゃんが追加説明してくれた。
「私もなんとなくわかりました。もしかしたら魔物を狩っていたのがアークネスちゃんでそれを見られていたって感じですかね?」
「……(コクコク)」
「二人とも理解力高くて完全に置いてかれているんだけどつまりその血は魔物との戦った時の返り血ってことか?」
「うーん。隊長もそう思ったんですけど返り血にしては多すぎませんか?もう一つ気になるのが、グリフォンとかミノタウロスとかの強そうな魔物がなんでギルドの中級で討伐になってるですかね?」
「それは……私たち第7魔王軍が率先して魔物を弱らせているからなんスよ。」
「どうしてわざわざ弱らせる必要があるんですか?」
それは俺も疑問に思っていたところだ。この辺の冒険者だって上から下まで沢山いるはずなのに弱らせて、そのくせ誰も不思議がらない。
「姉貴達は知らないかもだけど、数年前までこのアルトリアができる前の土地には普通の人は勿論、例えギルドにいる上級者でさえ敵わないほどの魔物がうじゃうじゃいる土地だったんッスよ。」
「え?じゃあグリフォンとかはどうなんだ?今じゃ一家に一台みたいな感じで平気で飼われているけど……」
「あーあいつらね。昔よりは大人しくなったけど今でも一ヶ月に一回は凶暴化するッスね」
「じゃああの夫婦でパン屋をやっているアストレイさん家のヌストルテ君も?」
「アストレイさん……あぁアストレイの奥さんところのやつッスか、あいつは他の個体と違って3日に一回は凶暴になるからその都度私たちが相手していたッスよ?」
……知らなかった。
普段はこんな俺にも、器用に羽を使って風を送って挨拶してくれたりしていたヌス君までもがなんて信じられない。
「じゃあアークネスちゃんは血が出るまで魔獣達相手に戦っていたってことですか?」
八千代がそう告げると未だかつてないほどにアークネスが顔を赤らめる。
「いやあれはそう言うのじゃないんスよ……本当になんでもないんッスよ?」
これはなんか怪しいぞ。
「隠しごとはなしにしようぜ。辛いこと言いにくいことがあってももしかしたら力になれるかもしれないんだから」
「そうですよ私だってアークネスちゃんの力になりたいんですよ?」
「隊長もです。まだあった間もないけどアークネスちゃんに悩みがあるのなら助けてあげたいです」
町子ちゃんが言ったところでアークネスは肩を落とし何か諦めた表情をしていた。
「タイム!……せめて兄貴は一旦外して欲しいッス」
アークネスがそう告げながら『こっち、こっち』と町子ちゃんと八千代をを手招きした。
「なんですか?」
特に気にした様子もなく八千代達が歩み寄っていく。そして何かと思えば3人で軽く陣みたいなのを作りこちらに背を向けて会話始めた。
「……あれは生理………私たちはちょうど………だったので………城にはそういう場所がなく……しかも魔族は人より……期間が多いので……夜に…」
「………そんなに大変……だから……」
「魔族以外のほとんどの種族もその日………だからわざと魔獣の血で隠し……なので……兄貴には………うまく言って…………」
一体何について話しているのだろう?時々こちらをちらちらとアークネスが見てくるのがどうしても気になってしまう。
「凪人さんももう大丈夫です。私たちで解決はしましたから」
えっ、なんだろう無性に気になる。
「それで血はなんだったんだ?返り血であんなになるほどのもんかなぁ?」
「いやあれは完全に返り血ですね。まぁしょうがないといえばしょうがないのですがね」
「あれ?でもこないだふっかけ役やってたおっさん達に聞いたら返り血なんて出ないとか言ってたような…」
ということはますますなんの血なのか怪しくなってきた。
「「「いや解決したから問題ないです」」」
えっ怖っ!
なんか聞いちゃいけないことだったのだろうかすっごい食い気味に言われてしまった。
「とにかく大丈夫なんだな。このことはなかったことにしとく、三時間後くらいに行くから先に八千代の部屋に行って待っててくれ」
「了解です兄貴。三時間後ですね。道はさっき姐さんから教えてもらったので先に待ってます」
そう言うとよほどさっきのことがまずい内容だったのか耳を真っ赤にし、足早に逃げていった。




