えげつない悪魔とBL本と町子ちゃん!1
試験を終えてひと段落のち、俺たちは帰りの馬車でお嬢のところまで帰ることとなった。
馬車には新聞紙が置いてあり、センターの右端に薄く、俺の名前が載っていることに気がつく。
“男同士の濃密なヒストリー、新感覚の病みつきになること間違いなし”
そう見出しに書かれてあり顔写真には目のところに黒く横線が………。
興味があるのか八千代が声を出しながら読む。
「古都アルトリアによるとつい先日、謎の本が一部女性貴族の中で出回っていると聞く、それを発明したのは我らが姫セシリア嬢の部下の暦坂凪人だと言われている。私達は話を試みたが、姫は少ししか話せないといいながら本の良さを話していた………ですか」
そしてなにやら考え込みながら八千代は俺に新聞紙を渡してきた。
「これいつの日の新聞だよ?」
日にちが今何日目なのかわからないため、いつから出回っていたか知らないがあのマリーアントアネット様がまたやらかした、知らない間に変態扱いされるじゃねーかよ。帰ってから撤廃と説教だな。
ふと外の道を見ると長い一本道がひたすら続いている。そのため行きは寝ているところを担がれていて気づいたら現地にいたわけだが、いざ馬車で帰ってみるとなると気が滅入るほど長い距離だと思った。
道中やることがなさすぎてしりとりをしていたのはどうかと思うが、さすがに高校生にもなって今更しりとりは安直すぎた。
BLの記事が書かれた例の新聞紙を見て、処分がてら久しぶりに能力を試してみようと思ったのだが、自分の能力がどこまで影響を及ぼすのかがに気になる。
しかしなぜこの能力がゴミ能力なのかわかった。扱いがかなり難しい。変に速度が変化するため制御できずその上何かがないと攻撃出来ないため弱い。
だがこの前は軌道の乗った物体には反応したが、もしかしたら動かない物体にまでも影響があるとしたらゴミ能力の割に何か役に立つことに使えるのかもしれない。
そう思い、新聞紙に手を当て頭の中で書くことと逆の工程を頭に浮かべる。すると書いてあった文字は中に浮かびインクと薄っぺらい紙に戻っていった。そしてインクはいらないので馬車のゴミ置場に漏れないように包んで捨てた。
だがそれと同時に頭の中でテレレレッテレーと冒険者に似つかわしい音が聞こえてくる。
何かレベルアップしたのだろうか?自分でも何か変わったとかはあまり感じない。
「なぁ八千代?レベルアップしたりした場合スキルとかステータスとか何か変わりあるのか?」
そういう俺の問いかけに対して、八千代は少しニヤッとすると俺の冒険者カードを指差して、見てみてください?と話す。
「私たちが登録した冒険者カードにはスキルやステータスなどが書いてあるのですが、レベルや能力の使用、とある条件のクリアを一定の回数行った場合などに稀にスキルや称号などが付きます。
しかもスキルポイントに応じて新たなスキルを覚えることも可能になるらしいです。
あとは称号などは手に入りやすく、自分のことを紹介する上で必要なのでたくさん持っておいた方が良いですね。」
そう話す八千代を尻目に、自分のステータカードを眺め込むが、ステータスにはあまり変化はない。強いて言えば魔力適正とそれに応じて魔力量が少し上がったくらいだ。
次にスキルの方をみると、新スキル“語録変換”や“逆流能力のレベルが上がってレベル2”なっていた。
そして今回一番増えていたのは称号だった。
•〈巻き戻しの保持者〉・〈素材分け〉・〈勇者への憧れ〉・〈受付の極意〉・〈下級ギルド職員(仮))
とわかりやすくみると5つ新しく手に入れた。
ギルド職員に何故強さが存在するのかわからないがその称号項目一番下にもう2つ何故か付け足されていた。
・〈ホモの疑い?(笑)〉・〈BLマスター〉
………解せない。
100歩譲ってBLマスターは、最終手段として持って来させたBLを広めたのが原因なのは何となく理解しはできる。
だが頭の中でただ単純にホモに見られるのはやだなとか思ってただけなのに何故称号が与えられる。
決してホモを貶しているわけでは無いが自分でなりたいかと言われたらそうではない。
しかも(笑)とかふざけんなよ?明らかに悪意ある書き方してんじゃんかよ。
「「意味が分からん!」」
そう叫ぶと俺の称号に興味を持った八千代は顔を近づけて覗き込んできた。
そして
「!凪人さんバカみたいな称号もらってるじゃないですか!それ定期的にカードの更新をする時に見られますよ?やばくないですか?」
そう無邪気に腹を抱え、子供みたいに笑う八千代をみて、怒る気さえ馬鹿に思えてきた俺は、新聞紙を顔に乗せ被せるようにしてふて寝した。
夏休み投稿するぞ、と意気込んでいたものの用事と重なると中々手が出せませんね。
気付くと今日も溜まったアニメに手が………
そんなことより次回は町子ちゃんが来るので楽しみにしててください。




