一章 2 月は全てお見通し
「本当に俺の心が読めるのか?」
「まだうたがってるの?」
「そりゃほいほいとは信じられないだろ?まず俺の名前は?」
「おにいさんのなまえはおぶきたけと。おぶきはちいさいにうわきってかいておぶきってよむんだよね。」
そう。俺の名前は珍しい小浮気武人でおぶきたけとと読む。この子が知ってるのがすでに心が読めることを証明してはあるが納得するにはまだ足りない。
「おにいさんはたかざくらこうこうのいちねんせいさんでにくみ。くらすのいいんちょうでしょう?」
それも合っている。つい一ヶ月前に入学したばかりだ。
「しゅみはげーむ!」
さっきから調べればわかりそうなことだ。もっと調べてもわからなそうな事を……。自称月の精霊は困ったような顔をして首を傾げた。
「まだしんじてくれないの?じゃあとっておきをいうね。おにいさんのつくえのしたのたなにはたくさんえっちなほんがはいってる。」
………………。何をおっしゃっておりますのですか?
「いや入ってるのはポケットサイズの生物図鑑とかだぞ??」
「ぽけっとさいずのせいぶつずかんのかばーをかけただけでしょう?こころがよめんだって。」
「疑ってすみませんでした!」
すかさず土下座する。何て顔が悪一色なんだ……。
「しかもそのなかでおにいさんがよくよむほんのだいめいは。」
大声で何を暴露しようとしているんだ……。月の精霊というか月の悪魔じゃね?
「待ってください。信じます。信じますからお許しを!」
「うん。よろしい。じゃあおにいさんのおうちへいこ?」
何がよろしいのか全くわからないのだが……。
「どうして俺ん家に?」
「とまるばしょがないから。おにいさん、ひとりぐらしでしょ?」
「ああそうだけど?」
「だから。とまるとこないの。とめてよ。」
「泊める義理なんて無いんだが。」
「じゃあわたしをほうっておいてかえれるの?かえれないよね?」
「まあおっしゃる通りなんですがあんまり自分で言いたくないが俺、ロリコンだぞ?その俺の家に泊まるのかる」
「つよがんないでよおにいさん。おにいさんっていわゆるへたれでしょ?」
ガーン。まるで雷に打たれたようにショックを受けた。
「ち、違うし……。へたれじゃないし。」
「うそついちゃだめだよー。おにいさん、ちきんでしょ?」
心を読むのは楽しいだろうが心が読まれる側からすればツラいんだけど!