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序章
『月』
それは地球から一番近い星で地球から見て太陽の次に明るい星である。
電気が通ったお陰で夜遅くも光が灯ってるのが現状だが、大昔は月明かりこそが夜の唯一の光源だった。だからなのか昔は『月』を神に見立てたり崇め奉ったりされていた。
だが今では『月』というものを崇めることは少ない。昔は月というものとの心の距離感があったが今では簡単に月に行けてしまう。
そうした様々な理由のせいで月という存在が人間のなかで軽くなっているのだと私は思う。
私はいわゆる月の精霊。
昔から人間に寄り添い人間の行動を観察し人間たちに恐れ敬われていた存在。人間たちが月に私という存在を作った。人間の意志が私を作った。
だがもう信仰されなくなり私の存在も危うい。最後にこの地球の文化というものを見に行きたい。
私は最後の力を振り絞り地球へと向かった。