第二話〜天使〜
「だれだ」
俺は後を見ずに、低い声で訊く。
気配からすると、俺のベッドの上だろう。
誰かが部屋に入ってくる気配はなかった。第一どうやってこの家に入ってきたんだ。
「ごめんなさい」
そいつは謝ってきた。声は高くて女だとすぐにわかった。
振り向くとそこには・・・・・・
頭に黄色いわっか。背中には真っ白い鳥のような羽。うす水色のワンピース。
金髪の長い髪を一本に束ねていて、青い瞳。世に言う 天使 だった。
「本当にゴメンなさい。いきなり迷惑でしたよね。本当にごめんなさい」
そいつは、俺の前まで来て土下座して、謝った。
「うぜぇ」
「え?はい。ごめんなさい」
何だこいつは、さっきからゴメンなさいしか言わねぇし
ものすごく、うざい。俺はこういうのが大嫌いだ。
「ゴメンばっか言ってねぇで、お前が何なのか説明しろよ。」
天使のコスプレして、人の部屋上がりこんで、土下座して・・・・・
どう見ても普通ひとのやる事じゃねぇだろ。
俺が怒っているのがわかると、そいつは顔を上げてあわてて説明し始めた。
何処から取り出したかわからないが、分厚い本をぺらぺらめくりながら。
「ごめんなさい!!!夜久野 龍鬼さんですよね。私は天使をやっていますサン・シャイニー
って言います。よろしくお願いします。えぇーとですね、えぇーと実は今回はあなたを迎えに来たんです。えぇーとですねえぇーと・・・・」
サンは文章が考えつかないのか、えぇーとばっかりだ。
うぜぇ。天使が迎えに来たっつーことは、あれか?死んだっつーことか?
心臓発作か何かだろう。
死ぬんだったら、周りの奴にもっと嫌がらせしとけばよかった・・・・・
「うーん。よくわからないんで直球に言いますね。あなたは天使の使いに、選ばれました」
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沈黙が続く。サンはまた俺の前に来て土下座をした。
「ゴメンなさい」
うぜぇ。殺してぇ。つーか天使は殺せるのか?