続き 4
色々忙しくて更新が遅くなってしまってすいません・・・
でもこんな作品でも読んでくれている人がいて嬉しいです。
さてさて、ご指摘があったとおり少々文字がうるさくなっているなとは感じていたので順々に読みやすい文を書いていけるよう精進いたします!
七海史乃歩はもうこの世にはいないのだ。
☆
カラオケを二時間歌い、その後三人は電車に乗って20分の隣町に来ていた。
その町は一樹が住んでいる町よりも少し都会ゲームセンターやボーリング場などもある。
この三人の中でゲームセンターなどに行くのは慎之介くらいだが、久々と言うこともありそれぞれ入って楽しむことになったのだ。
そんな中一樹は、カラオケで衝撃的な話を聞いてしまった為、どこか心ここにあらずといった調子でいまいち楽しめている感じがしなかった。
「どうした一樹、具合悪いのか?」
秋雄がそんな一樹の様子を見て心配そうに顔を覗き込んでくる。
「いや、別に?」
「一樹お前、まさか・・・」
慎之介がこれだ!と言う表情で「恋だな!?」とかなんとか言っていたが一樹は「んなわけないだろっ」と突っ込みを入れた。
正直なところ、一樹の頭の中は 七海史乃歩 のことで頭がいっぱいだった。
『しのぶちゃんは小学生の時、病気で亡くなってる。それも僕たちの目の前で・・・』
一樹は慎之介の言葉が気になって仕方なかった。
カラオケの時は聞いた瞬間絶句してしまったのと、丁度頼んでいた飲み物が届いたためそれ以上聞くことは出来なかったのだ。
慎之介はそんな一樹を見て少しさびしそうな表情をした。
「しのぶちゃんの事だな?」
「それか・・・」
駅から出てゲームセンターへ歩いていく道中、両側二車線の大きな道路に差し掛かりそこの横断歩道が丁度赤になった。
「七海史乃歩のこと、何で忘れてたんだろうなってさ」
そういった一樹だが、思い出したのは名前と病院で出会ったという記憶だけだった。
こういう遊びをした。とかはまったく覚えていない。
「なんでって・・・そりゃ・・・」
「さっきの絵本あったろ」
慎之介が言いづらそうにしていると秋雄がリュックを指差した。
「あぁ」
「その本だ。俺たちは、主人公ドロシーのお供をする三人のお供だったんだ」
秋雄が過去を思い出すように空を見上げると、そこで信号が赤から青に変わった。
三人は信号が青になった拍子に鳴り出した鳥の鳴き声とともに再び歩き出した。
「そうだそうだ。場所は病院が多かったっけね。一樹が最初に仲良くなったんじゃなかったっけ?」
横断歩道を渡りきると背後で横断歩道の信号が点滅を始めて鳥の鳴き声が止んだ。
「あぁ、そこは覚えてる。たしか三人でふざけてて階段から落ちで骨折したときだ」
一樹は当時、ふざけて階段から落ちた時を思い出して苦笑した。
すると慎之介も当時を思い出したらしく、ため息がちにボソッとつぶやいた。
「あれは・・・自業自得だったよね・・・」
「だなぁ・・・」
慎之介と秋雄で妙に納得しているが一樹はふざけて階段から落ちた記憶しかない。
おそらく当時の一樹のやんちゃぶりに二人も呆れていたのだろう。
「そうだっけ・・・」
なんとなくこの話題は長引かせたくない一樹は適当に流し、本題を聞くことにした。
「それで?たしかドロシーのお供ってブリキの人形とライオンとカカシだったよな?」
「うん。僕がカカシ。秋雄がライオン、そして一樹がブリキの人形さ」
一樹はその話を聞いてもいまいちピンと来ない。本当にそんな遊びをしていたんだろうか?
秋雄が少し不思議そうな顔をしながら腕組みをやめた。
「そもそもたしか、その遊びをしようって言い始めたのは一樹だぞ?」
「そうだよ、たしかしのぶちゃんのためにって言ってたよね・・・っと着いちゃったか」
七海史乃歩の事をいろいろ聞いている間に目的地のゲームセンターへ着いてしまった。
「まぁ、とにかくしのぶちゃんの話はここで終わり終わり!せっかく久々だってのに楽しまないんじゃ意味ないぞ」
すこし心配そうな慎之介の顔を見て一樹はそれもそうだなと思い、バッグから財布を取り出した。
「たしかにな・・・よし、最初のゲームは奢ってやる!」
「おぉ、大きく出たなやるゲームは慎之介に任せるぞ」
秋雄が腕をぐるぐる回し始めた。そうやら身体を使う系をご所望らしい。
慎之介はスマホをいじりながら三人で楽しめるゲームを探し始めた。
一樹は少し思案顔になっていたが今を楽しむことにして七海史乃歩のことは置いておくことにした。
(そうだ。今日は思いっきり遊んで明日にでも夢に出てきた病院にいってみるか・・・)
その日は日が変わるまで遊び、晩御飯を街で食べてから帰路に着くのだった。
☆
ツヅク!