九章 招待状・一
こっちに帰ってきて三日が過ぎた。
帰ってきた翌日に学校はものすっごくつらかったけど、あんなサバイバルなことなんてない普通の高校生らしい生活がすごくありがたく思えた。
今までめんどくさいなーとか思っていたこととかもあんな目にあった今では些細なことに思える。
環境は人を変えるとかいうけど、ものすごくよくわかる。本当に。
奈緒美と駅で別れて寄り道せず家に帰り、自分の部屋に行くと机の上に白い封筒があった。
「何だろ」
取って見ると、宛名も差出人もなく、蝋で封をしてあるだけだった。それに今時、普通の手紙で蝋で封をするとかないし。
(果てしなく嫌な予感しかない……)
破って捨てたいけどそうもいかないことは予想できる。かといって自分では開けたくない。つい最近の経験からさすがに用心深くなる。
私はベッドの近くに置いてある目覚まし時計を見る。
四時過ぎ……なら大丈夫か。すぐ行って帰って来よう。
私はTシャツにスカートに着替えると、封筒を持ってリビングに向かう。
リビングには誰もいなくて、キッチンの方にお菓子を漁っているお兄ちゃんがいた。
「お兄ちゃん、ちょっとコンビニ行ってくるね」
「おう。あ、ついでにアイスよろしく」
「やだ。お金持ってないもん」
「母さんに請求しとけ」
「じゃあ先にお兄ちゃんがお金ちょうだいよ。で、あとからお母さんにお金貰えばいいじゃん」
「え。それはちょっと」
お兄ちゃんが嫌そうな顔をする。
「じゃああきらめてね。いってきまーす」
ケチーとか言う声が聞こえるけど、スルーして私はスニーカーを履き、アロイス達のいる世界を念じてドアを開けた。




