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八章 作戦会議・二

一階の奥にある俺の部屋へマユキを案内した。

正確には問答無用で俺の部屋にした、が正しいけど。

「マユキはしばらく俺と同じ部屋な。寝るときはベッドを使って」

「わかった。お前はどうするのだ」

「俺は長椅子でいいよ」

背後にある質素な長椅子を指差した。クッションと掛物さえあれば十分だ。

「にしても今日は疲れた……」

俺は長椅子に倒れこむように座った。座った瞬間に疲れがどっと襲ってきた。

午前中は島で本物の、生きたドラゴンの相手をしたりセリの蘇生やらで。

午後はコンテストや皇子のセリへの仕打ちやら呪いやらで。

ここに戻って来たら鬱陶しいカイの小言。

あぁ……ほんと疲れた……。しかも今回は精神的にくるものばかりだったな……。仕事でだってこんなきっついのはなかったぞ。

でも、こんなに面白くて退屈しない一日は初めてだ。まだまだ、面白いことはあるんだなぁ。

「ふっ」

思わず笑いがこぼれた。

「どうした」

ベッドの縁にちょこんと座っていたマユキが不思議そうに俺を見ている。

「いや、まさかドラゴンと会話する日が来るなんてなあ、と」

「そうか」

マユキは淡々と答える。

「そういえばお前、セリと俺達とじゃずいぶん人が違うよな」

まるで大人と子供の顔を使い分けているような。

「分離した人格が一つに戻るには時間がかかる。セリの前だと幼子の人格が無意識に強く出てしまう」

「ふーん。じゃあ今のお前が本当のお前?」

「どちらも私だが、より本来のという意味で言えば私だ」

「なるほど。……なあ、お前、皇子の髪、どう思う」

「どう、とは」

「どれだけヤバいとか、ああなった原因とか」

「ああ。あの呪はかなりたちが悪い。多分他も紅く染まっているのではないか」

「うわぁ……最悪」

「私に訊かずともお前ならわかるのではないか?」

マユキは何もかもを見透かす様な目で俺を見るが、俺は知らんふりで話しを続ける。

「まあ、伝手はあるから調べられるけど……。でも、関わりたくないなー。庶民が最高権力者に関わってもいいことなんてまったくないんだから。しかも忌み子だなんて別の意味でも関わりたくないよ。でもセリのためだし仕方ないか……」

ああ、本当に嫌だ。特権階級の連中なんてロクな奴らじゃない。少なくとも俺が関わった連中は性根の腐りきった奴ばかりだった。だけど腹をくくるしかない。俺はセリを失いたくない。もうあんな思いは絶対にしたくない。そのためにもまずは……。

「マユキ。これから一緒にセリを守るわけだから俺のことについて話す。けど他のやつには絶対に話すな。いいな」

「わかった」

「よし。俺の話が終わったらお前のことも話せよ」

「かまわないが、何を話せばいいんだ」

「んー、じゃあ俺の質問に答えてよ」

「わかった」

俺は自己紹介の基本、まずは名前を教えることから始めた――。

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