七章 森の外へ
息を切らせ、会場に着くと、そこにはもう候補者全員が揃って待機していた。
人をかき分け皆が集まっているところへ行くと、前からサンジェルマンが弾丸のごとく飛び出して来た。
「セリさん! もう何やってるんですか! 心配しましたよ!! あ、すいません、セリ・ハヤカワ出場です!」
サンジェルマンが後を向き、係の男性に伝えた。男性は頷くと舞台の方へと去っていった。
「もう、もう、本当に心配したんですからね! それに制限時間四分前に到着だなんてどこで何やってたんですかセリさん! あーもう、洋服も汚れて……。着替えの時間もないしほんっとうに最悪ですよ! それに見知らぬ子供とどこかに消えたそうじゃないですか。僕がどれだけ肝を冷やしたと思ってるんですか!?」
私の両肩をがっしりと掴みながら、怒って文句を捲し立ててくる。もちろんそんなの右から左へスルーだ。
「……で、肝心のリントヴルムの一部は見つけたんですか?」
話を聞いていないことが気に入らないのか、嫌味っぽい声で訊いてくる。
「あー、うん」
私もサンジェルマンの説教に疲れたので投げやりに返してやる。
「本当に?」
サンジェルマンはイラッとしながら疑わしげな目で私をじっと見る。
「本当」
正確には黒竜だけど、ドラゴンには違いない。
「本当の本当に? 偽物をつかまされたりとかしてないですよね?」
「しつこいなぁ、本物だよ!」
そりゃ疑う気持ちもわかるけど。でもウザい。
「あ、ほら、もう行かないと! じゃあね」
舞台の方であの司会者が候補者達を呼んでいる声が聞こえたので、サンジェルマンを振り切り、私は舞台へさくっと逃げた。
「は……。随分とジャジャ馬なお嬢さんだったみたいですね。あの可愛いげのない態度。なーんか、腹立ちますねぇ。セリさんじゃなく、別の娘を拐ってくればよかったですかね? でも時間がな……」
彼女に言いたいことはまだまだあるが、とりあえずはこの勝負を見なければ。
苛つく気持ちを宥めつつ、僕は人混みを抜け、彼女の様子がよく観察できる場所へと向かった。




