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六章 島にあるものは・一

魔法陣の光に包まれたかと思うと、お腹の中が浮き上がる様な感じになって、すぐに着地する様な感覚に変わった。

「セリ、着いたぞ」

「え……?」

魔法陣の光はいつの間にか消え、辺りを見回すとそこはまた森だった――。


「ねえ、カイ。ここって本当にドラゴンのいる? 島なの?」

私は信じられなくて疑いの声で訊く。

「そうだ」

カイは素っ気なく返事をすると、何かを確認する様に辺りを見回していて、つられて私も辺りを見回した。

「あ……」

その時、私はカイが言った通りだとわかった。

何故なら、カイの所はここと同じ様に暗くて鬱蒼としているけど、空気が澄んでいる。けどここは、何だかどんよりとしていてすごく嫌な感じがする。

「あー、ここ、スゴく嫌な感じ」

アロイスも同じ様に感じたらしく、両腕をさすりながら辺りを見回している。

「ああ。それに多分、魔法使いもいる」

「え!?」

私はカイを見る。

「この森、というか島全体に結界が張ってある。だから俺達が来たことは、張った奴には気づかれているな」

「カイ、どうにかできなかったの」

アロイスが、使えないなーという視線を向ける。それに気付いてカチンときたのか、カイはムッとした表情になった。

「しなかった、だ。本当なら色々調べてから動きたいが時間がないからな。相手を刺激して出て来てもらうのが手っ取り早い」

「でも逆に相手に警戒されて出てこないかもよ」

「警戒するにしても全部じゃない。厳しくなる場所があるはずだ。そこを調べれば何かしらわかるだろう」

「流石、カイ」

アロイスは上出来と、ニッと笑う。

私は二人のやり取りを見て感嘆していた。

「次は……」

カイはベルトに下げていた袋から懐中時計のようなものを取りだし、掌に乗せた。

ボタンを押して蓋を開けると、文字盤が二つあって重なっていた。

見ていると、上の方の文字盤が薄く金色に光り出し、針がくるくると回り出したかと思うとまたピタリと止まって光も消えた。

「これは……」

カイはじっと文字盤を見る。

「なになに」

アロイスもひょいと文字盤を覗き込む。

「問題ないな……」

カイが呟く。

「何が?」

私はよく解らなくてカイに訊く。

「ああ、なるほど」

アロイスは懐中時計を見て解ったらしい。

カイは文字盤から目を離さず答える。

「この島の時間が正しいのか調べたんだ」

「何で?」

「さっき言っただろう。歳をとりすぎて帰ってくる人がいると」

「うん」

「だからこの島の時間が狂わされていないか確かめた」

「えっ!? 何、魔法使いって時間も変えられるの!?」

私の声の大きさにカイが驚いて時計から私に顔を向けた。

「あ、ああ……。できるやつもいるな」

「信じられない……」

時間を操れるなんてそんなこと、と思ったとき、私はふと思った。

「じゃあカイもできるの?」

「いや、俺は無理だ。そんなこと、魔法使いだからって誰でもできるわけじゃない」

「そうなんだ」

「ああ」

まあ確かに、そんな簡単に時間を操られても困るけど。

「それで、時間は正常で問題ないんだよね、カイ」

アロイスがするりと会話に入って来た。

「ああ、そうだ。ほら、下の文字盤が正しい時間、上の文字盤がここの時間。ぴったり重なっているだろ」

カイが手に持っている懐中時計を私達に見せた。

「うん、あってるね」

確認すると、アロイスは懐中時計から顔を私たちに向けた。

「じゃあ何でここから帰って来た人達、歳とっちゃったんだろう?」

「そうだな」

うーん、と三人で顔を見合わせたが、そう簡単に理由がわかるはずもなく。歳をとってしまう恐怖もあるけど、島に来た全員が歳をとって帰って来たわけじゃない。なら私達だって無事に帰れるかもしれない。今はそれよりもドラゴンだ。

「考えてもわからないことは置いといて、時間もないしドラゴンを探しに行こうよ、カイ、アロイス」

私は吹っ切るように二人に言った。

「だね。時間は限られてるんだし。とりあえず町に行って情報収集しよう」

「ああ」

二人とも私の言う通りだと同意し、町に向かうことにした。

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