五章 迷いの森の魔法使い・二
森の中を歩くこと、約一時間。
鬱蒼とした森の中を踏み分け、踏み分け、やっと目的地にたどりついた。
そう。アロイス友達の家……、というか屋敷、だ。
よくこんな森の中にこんな屋敷を建てられたなぁとか思ってぽかんとしていたら、アロイスは扉を叩くこともせず、遠慮なく開けると勝手に入って行くので、私はその後を遠慮がちについて行く。
「カイー、いる? いるに決まってるよねー。カーイー!」
言いながらズカズカと家の中を歩き回り、家の主を探すが出て来ない。
「っかしーなー。地下かな? ま、いいや。そのうち出て来るだろうし。お茶でも飲んで待ってよう」
そういうとアロイスは迷いもせずどこかを目指して進む。
勝手知ったる他人の家、というとこなのかな。
ついたところはキッチンだった。アロイスは勝手に棚からカップを出し、茶を探す。
「セリー、コーヒーでいい?」
「他にないの?」
「あるにはあるけど」
「あるけど?」
「ハーブティーだからクセあるよ?」
「ハーブティーかぁ」
私は悩んだ。
コーヒーは好きじゃないからいらない。
飲むなら紅茶に限る。
ハーブティーは嫌いだ。あれは……キツイ。
「紅茶はないの?」
「紅茶かぁ……」
あいつ飲んでたっけかなぁ? とか呟きながらアロイスは紅茶を探し始めた。
私は椅子に座りとりあえず待つ。
キョロっとキッチンを見回してみるが、きれいに片付いている。
流しに洗っていない食器なども溜まってない。
(どんな人なのかな、カイさんって)
何てことを考えながらぽやっとアロイスを見ていたら、いきなり右側のドアが開いたかと思えば、続いて男性の怒る声。
「アロイス! お前、勝手に何漁ってるんだ!」
「ひゃっ!」
私はびっくりして思わず声が出た。
それに気づいた男性が私の方を向き、視線が合う。
「あ、えっ……と。お邪魔してます」
とりあえず挨拶してみる。
「あ、ああ」
男性の方も驚いたようで、しどろもどろとしながらもとりあえず返事をしてくれた。
「あ、カイ! いいところに。なぁ、ここに紅茶ってあったっけ?」
アロイスが空気を読まず男性――、カイに尋ねる。
「紅茶はないな、って、それよりどういうことだ!?」
カイさんは私をちらりと見て、アロイスを問い詰める。
「何だ、ないのか。紅茶ないってさ、セリ。水でいい?」
「あ、うん……」
「アロイス、人の話を聞けっ!」
「わかってるって、カイ。あ、そうだ! ついでにお茶と何か食べる物、ちょーだい、カイ。話はそれからってことで」
アロイスはニッコリ笑ってカイに言うと、カイは「全くお前は……」と脱力しながらも棚を開け、食材の確認を始めた。




