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三章 ダンス・一

午後。

今度の会場は城の大広間ということで、昼食後、ここに連れて来られた。

昼食を取る部屋がニーナと一緒だったため、ウザくてせっかくの休憩なのに休憩にならず、午前中の疲れを引きずったままの羽目になるとは……。

(ほんっとに最悪だった……)

何で皇子自ら出題に来たんだ、最初から仕組んでいたんだろう、とかまあそんなことをネチネチネチネチと言われ続け、ご飯を味わうところじゃなかった。

むしろ、ご飯はニーナの絡みと言っても間違いじゃない。

(あの三人と一緒なら空気は張り詰めていても、静かにご飯が食べられたんだろうなー、きっと)

あの三人――、クロード王女、マルヴィナ王女、ミリヤム姫は王侯貴族ということで部屋が別。

要するに、庶民組の私達と王侯貴族組ということで部屋分けがされたのだ。

「はぁ……」

まあ、もうそんなことを思い出しても仕方ない。

私は気分を切り替えるために、大広間をぐるりと見回した。

今、私達がいるのは王族席の下辺りだ。

左右には階段があって、そこを上がると王族席に行く。

そして天井には沢山のシャンデリア。

シャンデリアに窓から入る光が当たり、キラキラと輝いていてとてもキレイだ。

内装は青と白を基調としているので、ゴージャスではあるけど、派手さは抑えられている。

そして大広間の両サイドには大勢の観客がいるけど、見た感じ貴族の人が殆どで、庶民ぽい感じの人は見当たらない。

(うーん、やっぱりお城の中だからかな?)

キョロキョロ辺りを忙しなく観察していたら、頭上から声が響いた。

「皆様、お待たせいたしました! これより第二試合を開催いたしまーす!」

声の方を見ると、さっきの司会者が右側の階段を下りて来ていた。

そして私達の横に来ると「さあ! 今回の種目はダンスです!」と、高らかに叫んだ。

(あー、だから絶対にドレスで! って、サンジェルマンが煩かったのか……)

私はチッと舌打ちして、朝の攻防戦を思い出した。

(ん? でもまてよ。確か試合内容って、事前には知らせないはず……)

なのにサンジェルマンは知っていた。

(それって不正してるってこと!?)

私は思わず観客の中にいるはずのサンジェルマンを探したが見つからない。

(もう! こういう時には見つからないんだからっ!)

私はイラっとする気持ちを深呼吸して何とか宥めた。

それに今ここでサンジェルマンを見つけてもどうにも出来ない。

(ああもうっ! 試合が終わったら絶対問い詰めてやる)

とにかく今は試合に集中しよう。

(それにしてもダンスがあるなんて。まあ、王侯貴族なら必須科目か)

にしても隣のニーナ。

ものすごい勝ち誇った顔でこっちをチラチラ見てくるのがウザい。

お昼の時もウザかったけど、今もウザい。

同じ庶民だから物凄い対抗意識を一方的に燃やしてくれている。こっちは迷惑極まりない。

絶対私がダンスなんて踊れないと思っているはず。

(だけど残念ながら踊れるのよねー)

とは言え、こっちの世界のダンスが私の踊れるダンスと同じなら、の話だけど。


「では、パートナーの方達をご紹介します!」

司会者はそう言うと私達の真正面にいた五人の男の人が私達の所へ向かって来た。

年齢は二十代から四十代というところ、かな。

そして全員イケメン。

(あれ?)

そしてその中にまたもや想像もしていない人が混じっていた。

「カール」

そう。

あの皇子殿下の側近のカールだ。

「今回の審査はパートナーの方に行っていただきます! お相手の方は今皆様の正面にいる方となります」

クロード王女の正面には、四十代(多分)の男の魅力溢れるダンディなおじ様。

おじさん、何て呼べないオーラを放っている。

マルヴィナ王女は二十代後半の、清潔感漂う爽やかな感じのイケメン。

ミリヤム姫も二十代後半のイケメンだけど、知性漂うインテリ系だ。

あの人、メガネかけたらクールさも上がってすごい似合いそう……。

ニーナには二十代前半? ぐらいで、ちょっとチャラい感じのイケメン。

衣装をスーツに替えればホストのお兄さん、っていっても違和感ないと思う。

そして、私の前には……。

「よろしくお願いします、セリ」

ニコリと微笑むカールがいた――。

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