第6話 姉妹の悲鳴
あたしは泣き出しそうになりながらもグッと堪えた。
亡霊に生者の声が聞こえるかどうかはわからないけど、もしも聞こえるとしたら、また集まってしまうかもしれない。
そんな人の気も知らないで……
「きゃあーーー!!」
どこかで誰かが絹を裂くような悲鳴を上げた。
今まで出てきた亡霊は、声なんて出さなかったわよね。
あたしは声がした方向に顔を向けた。
たっ、たっ、たっ、たっ……
あたしの背中側。
悲鳴とは逆の方向から足音が近寄ってくる。
あたしはビクリと体を硬くした。
今までの亡霊達はどの人もみんな、音を立てずに動いていた。
それじゃあ、後ろから迫ってきている今度のあいつは?
まさか別の種類のバケモノ?
……嫌だ。
……怖い。
でも……怖いってのは、危険かもしれないってこと。
確かめなければ、もっと危険!
あたしは意を決して振り返った。
視界に飛び込んできたのは、さんざん見覚えのあるタイプの亡霊だった。
ただしその襟首は、ユリアさんの細い腕に、ガッチリと捕らえられていた。
「ハーちゃん、見ぃつけたぁ!」
亡霊が放つ青白い光を浴びながら、ユリアさんがニタリと笑う。
その姿は……何だかまるで……
ユリアさん自身が、亡霊よりもずっとキケンなヤミのカイブツみたい……
「ユユユ、ユリアさん! なな、何で亡霊を掴めるんですか!?」
「この籠手、銀だから」
「ああ」
銀に聖なる力があるって言い伝えについては、あたしのハイヒールが銀色な時点で疑ってるけど、ユリアさんの籠手には何やら意味ありげな紋様が刻まれているし、邪魔なのを我慢して身につけるだけの効果はあるってわけね。
「で、何のために掴んでいるんですか? 亡霊なんかを」
「明かり。ランタンの代わり。別に怖くないよ。顔がコレなんであたしも最初は驚いたけどさ。
それよかハーちゃん、叫ぶとセーちゃんに声がそっくりだね。さっきの悲鳴、てっきりセーちゃんかと思っちゃった」
「あれはあたしじゃありませんよ」
そう言い終わるか終わらないかのうちに、同じ方向から再び悲鳴が響いた。
今度のは、さっきの声より幼い感じだ。
「マーちゃん!?」
ユリアさんが走り出す。
あたしも慌ててついていった。




