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呪われ魔女は現代を生きる  作者: 奏白いずも
現代の魔女事情
13/33

新入社員の業務日誌~その1

最後の更新は一年前……お久しぶりです!

昨日は書き直しばかりでご不自由をおかけして申し訳ありませんでした。

話の流れ事態は変わっていないのですが、念のためここにも変更点を書いておきますね。


・蓮条真白→連条真白(申し訳ありません、名字の漢字を変更しております)

・1~10話までの話の区切り場所を変更→その結果11話分に

・真白は『西の魔女』を襲名していない


それでは久々の更新、まいります!

冒頭でも名乗っておりますが、新入社員のお仕事紹介的な話です。まずはリハビリがてらに小話から……少しでもお楽しみいただけますように!

 俺の名は大野木昌洋。忘れている人も多いだろうが、冒頭でメモを取っていた新入社員だ。


 俺はこの三月、通っていた理系の大学を無事に卒業した。その後、在学中に内定をもらっていた世界的大企業、株式会社ウイザードの日本支部に就職をはたしここにいる。

 当初ウイザードから内定をもらったことを伝えるや、学校親族友人たちから口をそろえて「どうやった!?」と問い詰められたことも懐かしい思い出だ。なにせ守秘義務の多い会社である。そう、表向きはな。その実態は国際魔法連盟という非現実的な団体の隠れ蓑で、日本支部はその名の通り日本での本拠地だ。


 つまりだ。

 俺も立派な魔女の一員である!


 ……といっても、俺は下っ端新入社員にすぎない。使える魔法も多くないし、だいたいからして杖も使えないし。あらかじめスマホにインストールしたアプリで魔法が使えるだけの、ご先祖様とアプリ開発者に助けられているだけの存在だ。


 それでも立派な魔女である! 


 こんなところでくらいは叫ばせてもらいたい。どうせ俺は下っ端で、外では守秘義務もあって大っぴらに自慢することも出来ない悲しい定めなのだから。


 そんな俺が入社後のオリエンテーションを得て配属されたのは本社の総務課、その第一室勤務だ。なんでも新入社員はまず本社の総務に配属されるらしい。

 何をする部署なのかと説明を受ければ、なんでもという答えが返ってきた。連盟職員の仕事は多岐にわたり、ようするに総務部とは何でも屋らしいということだ。ここで揉まれて仕事を覚えてこいということらしい。


 一日の流れは大まかにこんな感じだった。


10:00 ミーティング


 社員寮もあるが俺は実家通い組で、毎日電車通勤している。

 一日の始まりは室長指揮のミーティングから。ここで仕事を割り振られる。例えば違反魔法の取り締まりから、連盟加入者獲得なんてことも積極的に行っているそうだ。ディスクワークだけでなく外回りもあるなんて、本当に業務は多岐にわたる。案件によっては総務課○○対策班なども組織されるとか。前日のミーティングですでに仕事を割り振られている人は免除され現地直行なんてこともあるらしい。

 この日、新人である俺はまず社内を案内された。さすが世界的大企業、構造を覚えるだけで気が遠くなったが、ひとまず最低限のコンビニ・食堂は覚えたつもりだ。案内板が多いのは非常に助かる。


12:00 昼休憩


 俺は覚えたての社員食堂を使うことにしている。

 日替わり定食から、麺類、和食、バイキングコーナーとメニューが豊富で有り難い。もちろん弁当やコンビニで買ったものを休憩室で食べても良いらしい。


13:00 午後の業務再開


 ここから十八時までが勤務時間となっている。

 午後からは先輩社員について書類整理を学ばせてもらった。基本作業らしく、書類の山を整理して情報部へ提出するのが俺の役目だ。

 途中ローテーションで休憩を言い渡され、缶コーヒーで一息ついた。


18:00 業務終了


 大きなミスをすることもなく、終業の鐘に顔を上げる。無事に一日が終わったと言ってもいいだろう。緊張のしっぱなしだっただけに、ようやく解放され肩の力が抜けた。


 さて、これからどうするか……

 ここから直帰するも良し、同期で飲みに行くも良し!


「よっ、オーキじゃないか! お疲れ」


 声に誘われ振り向くとオリエンテーションの時にお世話になった尊敬できる先輩だ。その先輩から声をかけられ恐縮してしまう。ちなみにオーキというのは俺のあだ名として定着した。どうも本名は言いにくいらしい。


「今帰りか?」


「はい。先輩もですか?」


「俺は食べてからにするつもりだよ。食堂行くけどお前も来るか?」


 こうして俺たちは食堂を目指すことになった。

 食堂は寮生活の奴らと、俺たちと同じ考えで通っている奴らで賑わっている。ここ安くて美味いんだよな。下手に外で食事するより安上がりだしハズレがないので重宝されているとみた。

 軽く千人以上が働く職場、その食堂ともなれば広さも申し分ない。夕食時で賑わっていようが、向こうもプロだ。手馴れた扱いでみるみる客を捌いてくれる。


 俺たちは窓際の席を選んだ。外はすっかり暗くなっている。

 別に窓際だからといって夜景が見えるとか、そんなことはない。本社の周りは見える範囲がだいたい山なのだ。

 人気がないなんて治安が心配?

 案ずることはない。なんたって魔女の会社、セキュリティー対策も万全だ。というか働いてるのも大概魔女で、普通に俺より強かったりするからね。

 とまあそんなわけで、山に囲まれた中にぽつんと高層ビルが建っている姿を想像してほしい。あるのは駅と自然と高層ビル。主だった施設は全部ビルの中に入っているから快適だけどさ。


「仕事は順調か?」


「あー、えっと……まずは社内を案内されましたけど、広くて迷いそうでした」


「わかるわかる。最初はそうだろうな。ああ、最初にも説明したと思うけど困ったらアプリ入れた方が良いぜ」


「あ!」


 そうだった。まさかこんなに広いとは思っていなかったので盲点だった。

 広すぎる社内のため、社内専用案内アプリも開発されているそうだ。もちろん魔法で動いているから性能抜群らしい。


「すぐ入れます! えっと、先輩はどんな仕事をされてたんですか?」


 他の部屋で何が行われているのか興味があった。


「今日は一日情報部に提出する書類の山と戦ってたぜ」


「うわ……、どれだけあるんですか書類の山……」


 うちの部屋だけじゃなくて隣の部屋にもあるのか! さぞ圧巻だろう。


「処理しても処理しても襲って来るんでな」


 怖っ!!

 遠くを見る先輩の眼差しがあまりにも切なくて、先輩のためにも追及するのはいったん止めておこうと思った。


「せ、先輩は日替わり定食にしたんですね!」


「ん? ああ、焼き魚が美味そうで」


「ええっー、魚なんて止めてハンバーグにしましょうよー」


 なんてこった! 真っ向から否定されるなんて――って、違ったか。俺たちに言ってるんじゃないよな――って!


「な、何だあれ!?」


 俺の目に飛び込んできたのは黒いてるてる坊主のような物体だ。しかも浮いている。そばには若い青年と……ん? あの人たち、朝エントランスで注目を浴びてた人じゃないか?


「何って、お前と同じ第一室のメンバーだろ」


「え!?」


 そういえば……第一室は曲者が多いから気をつけろとオリエンテーション時に心配されたっけな。俺が第一室に配属されると聞いて先輩も身を案じて下さった。

 そんな俺の心配を裏切るように室長は優しそうなお父さんタイプで――というどうでもいい感想は置いておくけど、他の先輩たちもいい人ばかりという印象を抱いた。どこに曲者要素があるんだろうかというのは未だに疑問の一つだった。


「え、でも、ミーティングにいませんでしたし、研修の時も、その後の自己紹介でも会わなかったですよ?」


「女性の方、七夏さんは多忙な人だから本社で見かけないことも多いよ。出向か、あるいは長期出張してた可能性もある」


「そんなに凄い人なんですか?」


「間違いなく日本支部の……いや。世界的に見てもエース中のエースだよ」


「あの人が!?」


 どう見ても俺より年下だぞ!?

 先輩たちはこぞって彼女を褒め称えるけど、そこには憧れの他に畏怖も混ざっている気がした。遠くからしか見られない、そんな意図が感じ取れた。

 そういえば朝のエントランスでも……彼女が進道が自然と開けていた。俺も凄いと思いながら見守ったけど、そんな雲の上の人だったとは改めて驚きだ。


「黒いのは彼女の使い魔で、男の方は連条真白。まだ学生のインターン中だけど、来年には正式採用が決まってる。お前の後輩ってことになるな」


 いや先輩。黒いのの説明一文で終えてますけど、ツッコミどころ満載なんですけど。


「君、私に興味があるのですか?」


「ぎゃあ!」

 

 で、で、でたー!?!?


「そんなに驚かなくてもいいでしょう。わざわざ来てやったというのに」


「クロ、人様に迷惑をかけるつもりなら容赦しない」


 いきなり噂の彼女が現れた。

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