セーラー服と異世界・6
「・・・クウヤ。」
「あ?」
「何か、目線が痛い。」
「気のせいだろ」
気のせいと言われても、気のせいではない。道を歩くクウヤと夜に寄せられる、不躾な目線達。
手を繋いで歩いてるから?それとも私、何か変?
そんなこんな考えてる夜をよそに、クウヤといえばどこ吹く風。
まるで気にした様子はなく、むしろ近付いていても離れず、更には手まで繋げている事に上機嫌なのか、口元に笑みさえ浮かべている。
「・・・獅子王だ。」
「目を合わせるな、殺されるぞ・・・っ」
周りの声はそういったものが殆どなのだが、テンパっている夜にも上機嫌なクウヤにもその声は届いていない。
そんな人々の目を通り過ぎ、クウヤが目当ての店に着いたのはそれから少しして。
「ここ、は?」
「服屋。その服じゃさすがに目立つからな。」
「そ、そっか。でも私、お金持ってないし・・・」
「俺が持ってるから気にすんな。」
「うぅ・・・じゃあ、借りる。で、返す。」
「別に返さねぇでいいっての。」
「やだ。そーゆーのはだめ。」
「お前、結構頑固だよな・・・」
「・・・よく言われます。」
そうは言っても譲りそうにない夜に、折れたのはクウヤの方だった。
「わーかった。じゃあ貸し一つ、な。」
「ん。」
クウヤが引けば、夜は嬉しそうににんまり笑いを浮かべる。
そんな笑顔を見てしまえばもう何も言えず、小さく溜め息を漏らしたクウヤ。
そして2人は店の中へと足を踏み入れた。
「わ、ぁ・・・!」
入って、夜の最初の一言はそれだった。
目に映るのはカラフルな色の様々な服。そりゃ女の子ですもの。買い物は大好きさ。服も好きだよ。
急にテンションは急上昇して、辺りを見回して目を輝かせる夜。
「おい、夜。はしゃぎすぎじゃねぇ?」
「だ、だって・・・!!」
「女の買い物に口出す男は嫌われんぞ、獅子の小僧。」
不意に、聞いた事のない声が混ざって。
え、と思う間もなく、柔らかい何かに埋められる夜の顔。
「んむ・・・っ」
「てめーに可愛い女の子は似合わねー。アタシに寄越しな。」
「っざけんなよ、このババァ・・・!」
「ババァ?てめーと2つしか変わんねーお姉様に向かってどの口がほざきやがるんだ、あぁん?」
クウヤよりも口の悪いその女性は、夜を己の胸に埋めたままクウヤと会話を交わし続ける。
「夜を離しやがれ。」
「何だ、お前この子に惚れてんのか?」
「だったら何だよ」
「っ・・・ははは!!!!何だ、人間らしくなったじゃねぇか!」
んだとババァ、ババァ言うなこのクソガキ、だのなんだのかんだの。
ゴロツキの喧嘩の様なやりとりを繰り返す2人。その間に挟まれるように女性に抱き締められた夜が、酸欠で気を遠くさせているのに気付くのはもう少しだけしてからの事。




