セーラー服と異世界・3
「私の、おかげって・・・?」
私は何もしてないよ、そう言って困ったように眉根を寄せる夜。
志士臣はそれを見て、困ったような笑顔を浮かべた。
「俺は今まで、誰かを守ろうなんざ思った事がねぇ。守らなきゃならねぇ足手まといなんざいらねぇっつって、誰も近付けさせた事がなかった。」
それはこの世界でもあちらの世界でも変わらなかった。
「自分の力以外、信じねぇ。」
そんな自尊心の塊に、なるほど神の力などといった恩恵など与えられはしないだろう。
「・・・お前は、俺が初めて守りてぇと思った女だ。」
こんな台詞を、まさか言うことになるなんて。そんな自嘲気味た笑みを浮かべながら、伸ばした手は夜の後頭部を押さえて。
「っ、・・・!?」
強張った夜の体を無理やり引き寄せながら、志士臣は真剣すぎる程の眼差しで夜を射抜いた。
「お前が何でこの世界に来れたかは分からねぇが、お前がこの世に居る限り、
朝日 夜、俺がお前を守ってやるよ」
低い声、強い力、
そして確かに真剣な思い。
引き寄せられる体が何をされるのか理解する前に、近付いていく互いの顔の距離。
張り裂けそうに鼓動を立てる心臓は果たして自分のものなんだろうか。そう思うほどに、今まで経験したことのない程の、痛くさえ感じる程の鼓動の高鳴り。
「ちょ・・・っ、志士臣、くん、っ・・・!!」
「・・・悪ぃが、待たねぇぜ?」
悪戯に歪んだ口元。腹の底に響くバリトンの良い声が、更に夜の体を強ばらせ。
あと少しで距離がなくなる、そんな時。
「、ゃ、だ・・っ!!!」
パチン、と。
可愛い音と共に、志士臣の頬には痒いとさえ思えるくらいの軽い衝撃。
そこには夜の震えた手があって、その突然の事に志士臣は硬直。
思わずやってしまったらしき夜も、思わず固まっていた。
「ぁ・・・」
「・・・・・・て、めぇ・・・」
そして夜が小さく声を漏らせば、眼光だけで人を殺せそうな程の目をゆっくりと夜に向ける志士臣。
「っご、ごめ・・・ッッ」
震える夜の体。
そんな夜に志士臣は顔を近づけると、
「冗談、だ。怖がらせて悪かった。続きは、俺に惚れさせてから、な。」
ちゅ、と。
夜の目に、本人すら無意識に浮いていた涙を口付けるように拭ったのだ。
「~・・・!!?」
堪らないのは夜だ。
一瞬で全身を真っ赤にさせた夜に聞こえるのは、初めて聞く志士臣の意外にも豪快な笑い声。
「こんなんで赤くなってたら、この先もたねぇぜ?
俺を惚れさせたんだ。覚悟、しろよ。」
獲物を狙う獣のような目を向けた志士臣は、まるで誓いを立てるように跪くと夜の手を取りその甲に口付けた。
「賞金稼ぎ、獅子王、呼び名はいくつもあるが、その名を持ってお前に誓おう。」
お前に、俺の命を懸けよう。
君は意外すぎるほど意外にも、とんでもなくキザな男なんですね。
真っ赤に茹で上がった夜が心の中でそんなツッコミを入れつつ卒倒したのは、その直後の事だった。




