セーラー服と異世界・2
「・・・え?」
ぽかん、と志士臣を見る夜。
確かに理解出来ないとは思うが、その度合いが想像していた以上のもので、理解どころか言葉の意味さえ分からない。
「今まで俺達が居たのは、朝日、お前の世界だ。俺は元々はそちらの住人じゃねぇ。この世界の住人だ。」
「そっちとかこっちとか、って言われても・・・」
「まぁ、そーなるわな」
けれどこれは冗談じゃない。
“世界”がまるで違うんだ。
そう言って、志士臣は首に下げていた首飾りを外すと、夜の目の前に差し出す。
「コレは、とある祠に祭られてた宝だ。売れば一生遊んで暮らせるくらいの価値がある。」
俺はコレに手を出した。ただ、自らの名声の為に。
「そして、俺は、」
神の逆鱗に触れた。
す、と目を閉じる志士臣。
蘇るのは、体に刻まれた激痛と言葉の記憶。
(貴様のような空の器に、我ら神の宝が見合う訳はない。)
(力のみを欲する輩に、神の力など授ける訳もない)
(その宝の真価を手に入れたくば、心を学べ。心を知れ。)
(その時、再びこの世に戻れよう)
力は全て奪われ、体は縮み幼子になり。
記憶だけが残った無力な手のひらで、握り締めた神の宝。
目に映ったのは見たこともない景色ばかりで、誰かの手で抱き上げられた時に始めて、己が赤子になったことを知った。
「偶然拾われて、孤児院で育てられた。」
成長するにつれて、当てもない苛立ちばかりが募り喧嘩に明け暮れる毎日。
「お前の、おかげなんだろうな。」
あの時、確かにこう思ったんだ。
守りたい、と。
ただ、傷付けてたまるか、と。
それが“心”というものなんだと、ここに帰ってこれた事が教えてくれたんだ。




