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セーラー服と絆創膏  作者: 柚月
セーラー服と異世界
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セーラー服と異世界

「・・・ぃ・・・・・・」

「、んぅ、」

「っ・・・おい、朝日!!!」

「ぅ、え・・・?」


名を呼ばれ、目を開けたのは一体どれくらいしてからの事か。

必死さを含んだ声に薄く目をゆっくりと開ければ、徐々に見えてきたのは至近距離にある男の顔。


「朝日!!気がついたか!?」

「し、しお、くん・・・?

「大丈夫、か?」

「、ぇ・・・っっ?!」


くっつきそうな程に近づけられた顔。

意識のようやくはっきりしてきた夜は、目を見開いて顔を真っ赤に沸騰させると、勢い良く上体を起こした。


「っ・・・!!!」

「い゛・・・ッ!!?」


ゴッ・・・!!!なんて、聞いた事のないような音と共に鈍痛が脳に響いたのはその直後。

あまりに勢い良く起き上がった所為で互いの額同士をぶつけた二人は、痛みのあまり声も出せずに悶絶。


それから数秒してなんとか回復した夜は、志士臣に向かって声を掛けた。


「ご、ごめん・・・っ」

「お、ま・・・ッ、痛ぇだろーが!!」

「だ・・・だだだだって・・・!顔、近かったんだもん!!」


びっくりした、びっくりした、びっくりした。とにかくびっくりした。


至近距離で、初めてちゃんと真正面から見た志士臣の顔はあまりにも整っていて。

普段は怖くて遠目にも見たことのなかったその顔に、夜の心臓はうるさいくらいに大きく脈打つ。


なんとか気を落ち着かせようと夜は志士臣から視線を外して辺りに目を移した・・・の、だが。


「あ、れ・・・?」


真っ青な空。それ程背の高くない緑が生い茂る大地。真っ白な小石が転がる河原に、涼しげに音を立てて流れる川。

遠くに見える山脈は長く連なって、その手前には森。


そこには、学校も人も無かった。


「なに、これ・・・」


ここは何処。


意味も分からず震えだした体は、心は、これが夢なんかじゃないとどこかで理解しているという事で。

驚愕に見開かれた目は、再び志士臣へと戻された。


「志士臣、くん、これ・・・どーゆー、事・・・」



そして目に映った志士臣の異変に夜がようやく気付く。


「・・・志士臣くん?」


目の前に居るのは、確かに彼なのだ。


けれど、どこかが“違う”。



彼のトレードマークである金髪が、少し伸びていて。

同級生にしては逞しかった体は、それよりも更に成長していて。

顔つきが、大人びていて。



目が、髪の毛と同じ金色なのだ。



「っ・・・!?」



何が何なのか分からない。

何が分からないのか分からない。


不安と恐怖に支配された目に映った男は、そっと夜の頭を自分の胸へと抱き寄せると、びっくりする位の優しい声色で夜に声をかけた。 


「とりあえず、泣け。」


瞬間、涙が溢れた。 


ぐちゃぐちゃな心と感情と頭を、とにかくそとに吐き出すかのように。


「ひっ、ぅ・・・っ」

「あとで、全部話してやる。」


だから今は、落ち着くためにとにかく泣け。



そう言う志士臣にすがりつき、夜は幾度もしゃくりあげながら泣いた。




そうして、ようやく夜が落ち着いたのは、志士臣の服がなかなかに湿った後の事。

泣いた所為で赤くなった鼻と腫れた目をしながらも、夜は志士臣から離れて深呼吸を繰り返した。


「あり、がと」


何とか落ち着きました。


そう言って志士臣を見上げれば、薄く笑う口元。

大人びた顔から漏れ出したそれはなかなかに色を帯びて、堪らず夜は僅かに赤面する。


それに気付いた志士臣は、夜の頭を一撫でしてから言葉を発した。


「とりあえず、理解出来なくても話を聞いてくれるか?」

「え、と・・・うん、分かった。」

「まず第一に、」



ここは異世界だ。


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