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セーラー服と絆創膏  作者: 柚月
セーラー服と海賊
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セーラー服と海賊・6

突如襲った激痛に、問答無用で蹴り上げられた腹部を抑えながらうずくまるセキ。

クロは直ぐにセキに駆け寄ると、セキの隣に膝を付いて大丈夫かと声をかけた。


「セキ、」

「っ・・・く、そ、ッ・・・っ」


何とか発した言葉はそれだけで、あまりの痛みで続く言葉もなく。

忌々しげに睨む先には、一回りも丈の違う少女を腕に抱くクウヤの姿。



劫火、とも言える程の怒りが、憎しみが、セキの拳を強く強く握り締めさせた。



「・・・クウヤ、」


ねぇってば、大丈夫だって言ってるんだって。



無理矢理クウヤをつっぱねようと夜が腕でクウヤの胸を押したのはその時で。

クウヤがそれに対してふっと力を抜いた、その刹那。



ダン・・・っ


と、床を蹴り上げる音がした。



「ッ、っ・・・!!!」


声を発する間もなく、夜の首に回された腕。

それは少しの力を込めただけでも夜の呼吸を奪えるように回され、その腕の主は夜の背後から声を上げた。


「大人しく、しろよ・・・?」


時々苦しげな息を吐きながらそう告げたのはセキで、未だに引かない痛みに脂汗を浮かべながらクウヤとの間合いを少しずつ広げていく。


「・・・まだ懲りねぇのか・・・」

「生憎、そんな諦めの良い性格なんて、してねぇからなぁ」


言いながら夜の首を少し締め上げるセキ。

苦しさに夜が顔を歪めれば、クウヤの殺気は増すばかり。


夜はセキから逃れようと、腕に爪を立ててみるがまるで無意味で。

耳元に息が掛かる程に近くで、セキは夜に囁いた。


「大人しくしてな、夜チャン?・・・痛い目は、みたくねぇだろ?」


からかうような声だった。

けれど、冗談には思えなくて。


夜は思わず硬直し、恐怖で浮いた涙をそのままにクウヤを見た。


「ク、・・・クウ、ヤ・・・っ」

「・・・夜を、離せ。ソイツは関係ねえだろ」

「関係ねぇ?冗談・・・てめぇに関わった時点で関係は”有る“だ」


そう言った直後、セキは息を大きく吸い込んだ。


そして、



「野郎共!!!」



一声で、空気が張り詰めた。

そして数秒と間を置かず、セキの後ろに控えるように集まる男達。


「頭!!どうしました!?」

「っ・・・獅子王!!」

「頭、これは一体・・・?」


出てきた男達は誰も彼も鍛えられ、日に焼けた肌をしていて。

それらを従えるセキという男の力量は、夜が見ても何となく差し計れた。



「“大事”な客人だ。この嬢ちゃんの相手しててやりな」 


漸く首に回されていた手は外れ、それと同時にとん、と押される背中。

その勢いで夜が吸い込まれるように辿り着いたのは、セキの後ろに控えた屈強な男達の中。


「頭、この子は・・・」

「獅子王がご執心のお姫様だ。」

「・・・コレが、っスか?」


セキの言葉に、どこかしらか漏れる嘲笑。

決して不細工ではないにしろ、それでも平凡な少女だ。

有り得ない、という思いが不躾な視線に変わり、それが夜に注がれる。


「まぁ、どうでもいいか。・・・お嬢さん、ちょっと大人しくしてろよ?」


「ゃっ、っ・・・」


手首を掴まれ、咄嗟に腰を引く。

しかしそれは全くの無意味で、容易く引き寄せられる体。


「夜!!!!」

「てめーは俺の相手、だろ?」


ドカ、と鈍い音がしたのはその直後。

鳩尾にはセキの蹴りが入り、クウヤは小さく呻いて床に膝を付いた。


「っクウヤ・・・!!」


駆け寄ろうにも、腕を掴まれ少しも動けず。

非力さに、惨めさに、浮く涙。



「夜チャン、」


コレが、お前の口出した結果だ。


「正々堂々じゃねぇ?」


ならそれで結構。



「俺は、コイツを、」


獅子の首を、


「殺るまでよ。」




鬼は、そう言い、


薄く笑った。






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