表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セーラー服と絆創膏  作者: 柚月
セーラー服と海賊
16/50

セーラー服と海賊・4

夜闇の中、黒、赤・金の順で跳ぶように駆ける三つの影。

誰の目にも映らぬ程の静けさと速さで向かう先は、波の音しか聞こえぬ海岸で。

岩場の向こうに僅かな灯りが見えてくれば、あとはもう、当然の如くそこに辿り着いた。


「めをあけてもだいじょうぶ」

「、・・・っ」


クロの声で、恐る恐る目を開く夜。

暗闇に慣れていない目は目眩を引き起こし、僅かに体がふらついた。


「ぅ、わ・・・、ッ」

「、」


と、咄嗟にその体を支えてくれたのはクロの手で。

夜は一瞬驚いてから、微かに見えるようになったクロの顔を見上げながら、薄くはにかんだ。


「すみません、ありがとうございます。」


今度はクロが驚く番だった。


刃を、つきつけたのだ。

自分は、この少女に。


それを忘れているとでも言うのか。



クロの動揺は口にさえ出なかったものの、思わず夜を凝視すれば夜の目がきょとんとこちらを見上げていて、クロは慌てて目を反らした。


と、


不意に声が聞こえたのはその時。


「てめぇの船までわざわざ連れて来て、何のつもりだ?あぁ??」

「そうトゲトゲすんなよ。せっかく宴会開いてやろーとしてんだからよ。」

「・・・はっ、ロクでもねぇ宴会に呼び出しやがって・・・覚悟は、出来てんだろうなぁ?」


言葉一つ一つに込められた殺気。

肌に感じる痛いほどのそれに、夜は思わずその場に崩れ落ちるように座り込んだ。


「っ夜!!!」


咄嗟に叫んだのはクウヤ。


慌ててそちらに近付こうとすれば、セキがそれを遮るように刃をクウヤの前に突き出して。


「・・・夜チャンのトコに行きたきゃ、・・・・分かってンだろ?どーすりゃいいか。」


「殺されてぇのか」


「冗談、」



殺してーんだよ。



刹那、散った火花。


それはクウヤとセキの顔を照らした。



怒りに哮る獅子と、


怨みに燃える炎鬼。


双方の目には確かな殺意。そして手にした刃は、容赦なく互いに振り下ろされて。



「・・・セキ、」


小さく漏れたクロの声。

それを耳に拾った夜がクロを見上げれば、そこから見えたのは何かに耐えている目。


そして固く握り締めた拳が震えるのを見て、夜はふと、何かに気付いた気がした。



クロの目線の先。

そこには闘う二人の姿。


押しているのは、クウヤだ。



刃同士が合わさった時に散る火花の明るさで見える2人の様子で、クウヤの優勢が見て取れる。


実力に、さほど差があるわけではないように見えるのに、どこかに違和感があった。



「・・・目、だ。」


そうだ、そうじゃないか。

目に眼帯をしていた。

こんな暗闇で、力の均衡した相手で、片目で戦って優勢なワケがない。



だけど、


「ここを、選んだ」


例え知っている船だとしても、灯りの殆どないこの場所を。



そして、


「一言も、言わない」


私を、人質にしようとは。



考えつかないワケがないのに。

弱みを握っているのに。


それなのに、


「なん、で、」



呟いた夜の声を拾ったのはクロ。

すっと夜の隣に膝をついたクロは、夜を立ち上がらせてやりながら言葉を発した。


「せいせい、どうどう」


ししおうにたいしては、


「それでかたないと、いみがない」


クロの言葉を全部理解した訳ではなかった。


けれど、なんとなくは理解出来たつもりで、




そして気付けば、履いてきてしまっていた宿のサンダルを、クウヤとセキの二人に向かって思い切り投げつけていた。



「フェアじゃない!!!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ