表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セーラー服と絆創膏  作者: 柚月
セーラー服と異世界
11/50

セーラー服と異世界・10

「ツィーリさんは、クウヤの友達なの?」


ツィーリの店をあとにして、しばらく歩いた頃に夜は不意に思いついた言葉を口にした。


それにクウヤは心底嫌そうな顔をしてから眉間にシワを寄せて、夜の問い掛けに答える。


「冗談でもやめてくれ。あんなババァとダチになんざなれっかよ。」

「えー、ツィーリさん美人だしめちゃくちゃ良い人なのに勿体無い!」

「・・・無理。そもそも、俺にダチなんざ居ねぇっての。」


友達とは、きっと一緒に居る人の事を言うのだろう。

くだらない話でバカ騒ぎして、落ち込むような日には話をしたり聞いたり。

気付けば隣に居て、居る時間が長くてもまるで気にはならない。


「そんな奴、此処でもあっちでも居た事なんざねぇ。」


夜はその言葉の後、言葉を一旦止めた。


“言葉を選んで”話さなきゃいけない事なんだと、何となく気付いたからだ。



人は一人じゃ生きてけないよ。

その言葉は、16年を孤独に耐えた人に言っていいものじゃないだろう。


そんな事ないよ。

その言葉を言う程に彼の事を知っているわけじゃない。


辛くないの?

その言葉は、きっとただの憐れみにしか聞こえないだろう。



言葉を考えて考えて、ちゃんと考えて言わなければいけないことなんだと、夜の勘が告げていて。

だからしばらく考えたあと、夜はクウヤの前に回り込むとその金の双眸を真っ直ぐ見上げた。


「ごめん、何て言えばいいのか分かんない。」

「は・・・?」

「分かんないけどさ、」


そして差し出す手。

それが握手を求める物だとクウヤが気づく前に、夜は強引にクウヤの手を取った。


「クウヤ、私と友達になって。」


何からも守ってくれる、と。

そう言ってくれた事に、きっと偽りはないだろうと信じる。

だからその代わりに、


「クウヤがピンチの時には、私が助けるから。」


絶対、に。


「それを人は、友達って言うでしょ?」



じゃあクウヤと私は友達だね。




憐れみ、慰め、そんなものが含まれた言葉ではなかった。


あまりにストレート過ぎるその言葉にクウヤは一瞬で顔を真っ赤にして、それからそれを隠すように夜を追い越して歩き出した。


「ば、バッカじゃねぇの・・・ッ、っ!!」


クスクス笑う夜。

耳まで赤くなるクウヤ。


けれど離されない手に、夜の笑みはますます深くなるばかり。


「ふ、は・・・っ、クウヤ、可愛い」

「っ・・・夜、てめぇ・・・!!」


あまりに夜が笑うから、クウヤは思わず勢いよく振り返る。


その時。


「・・・っ」


目に映った、心底嬉しそうな笑顔。


目を、心を奪われるというのは、こういう事なんだろう。



「友達、より、」


恋人、に、


なんて、今の状態じゃ格好悪すぎて言えない言葉を飲み込んだクウヤは、せめての抵抗にと夜の頬を軽く抓ってやった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ