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セーラー服と絆創膏  作者: 柚月
セーラー服と異世界
10/50

セーラー服と異世界・9

ツィーリからモルガナを受け取った夜。

そんな夜に、ツィーリは腰にそれを携える為のベルトも見繕って渡した。

「ツィーリさんのお店は、宝箱みたいですね。なんでも出てきちゃう。」

「表向きは服屋なんだがね、どーにも気に入ったモンを集めちまう性分なんだ。」

それもたまには役に立ってんだろ?そう言って笑うツィーリに、夜もまた笑顔で応えた。


そんなこんなで約二時間程そこに居たのだろうか。

勘定を済ませ、店を出ようと支度をする夜とクウヤに向けて、ツィーリはある疑問を投げかけた。

「そーいや、これからどこに向かうんだ?」

「とりあえず、もう一回“祠”へ行く。何か掴めんだろ。」

夜を元の世界へ戻す鍵、それを探しに行く。

そう言うクウヤに、ツィーリの表情が僅かに固くなった。

「・・・無駄だと、思うぜ。」

「は?」

「てめぇがアソコに向かった次の日に、国王の軍勢が徒党組んで同じトコに向かいやがった。目的は、てめーと一緒だ。」

だがその軍勢は、ものの数時間で帰ってきやがった。

「理由?“先見の神子様”(せんけんのみこさま)が視たんだと。祠がきれいさっぱりなくなっちまってんのを。」

「・・・何、だと?」

「行ったところで無駄足だぜ?何せ国王様が絶大な信頼を寄せてる神子様の先見だからな。ガセってことはねぇだろ。」


確かにあそこにはあったんだ。異様な力を感じる祠が。

けれどそれがなくなったと言う。

理由は分からないが、消えたのだと。


「当てもなし、か。」


どうしたものか、いくらクウヤが思考を巡らせても出ない答えに苛立ちさえ覚えた、その時だ。


「とりあえず、今のところ時間制限はなさそうだし、」


色々探し回るしかないよねー。


困った困ったなんて呑気な笑い声。

確かに困った風ではあるのだが、そこまで気にする素振りも見せない夜にクウヤもツィーリも目を点にする。


「お前、焦らねぇのかよ?」

「え?いや、焦って何とかなるなら焦るけど、帰れないって決まった訳でもないし・・・」

「ヨル、そんな呑気な・・・」

「だってツィーリさん、とっくに私の頭はキャパオーバーですもん。今さらどーしよーとか言ってもしょーがないっすよ。」


あはー、なんて笑われれば反論する気さえ殺がれて。

クウヤとツィーリは互いを見合わせて苦笑。 

「なかなか大物じゃねぇか。てめぇの手に負えんのか?」

「うっせぇ、ババァ。負うに決まってんだろーが。」

「そりゃ上等。しっかり守れよ、クソガキ。」


ツィーリの言葉に鼻で笑って返すクウヤ。 そこに確かな覚悟を見て、ツィーリはもうなにも言わなかった。


「気をつけろよ、ヨル。特に隣のケダモノには、な。」

「はい!ツィーリさん、ありがとうございました!!また来ますね!」

「あぁ、いつでも来いよ。」


ぶんぶん手を振り遠ざかる夜とクウヤの姿。

それを見送ったツィーリは、小さく溜め息をもらした。

「・・・てめぇ、盗み見たぁいい趣味してんじゃねぇか。」

「・・・・・・・・・・・・」

「相変わらず無口な野郎だな。・・・あの子達に手ぇ出したらただじゃおかねぇ・・・って、てめぇのとこの大将に言っとけ」

「・・・きにいった、のか。」

「てめぇには関係ねぇ。」


不意に現れツィーリの背後に立った黒ずくめの男は、それだけ会話を交わすと再び姿を消して。

ツィーリは手に隠し持っていたナイフを力任せに柱に突き立てた。


「厄介なのに、目ぇつけられやがって・・・!」


その言葉もその真意も、今はまだ夜にもクウヤにも届くはずもなく、


見送った二人の去っていった方角を、ツィーリは険しい目で睨みつけた。

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